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lunatrium/carmen forum

管理人・シュウの詩置き場です。投稿は自由です。
詩書きさんはどうぞ書き殴っていって下さい。感想・批評なども歓迎。もちろん、ぼくの投稿以外に感動されたときもレスポンスをご遠慮なく。
著作権は投稿者の方個々人に属します。無断転載厳禁。
また、詩に関連しない投稿は禁止となります。何かしら関連していれば結構です。

時折、共通のお題に沿って詩作を試みるキャンペーンを行ないます。
こんな縛りでやったら面白いのでは、というご意見があればお便りをお寄せください。

※時折背景色を変えて催しをするために、字が潰れている箇所があります。
お手数ですがそれと思しき作品は、反転をした上でご覧ください。

昔のこと / シュウ
何もない所を
目指したことがある
必要なものをただの一つも
持っていなかったから
それなら全てを手放したかった

いつも悲しくて仕方なかった
嬉しいことはすぐに
嫌な気持ちに塗りつぶされた
恒に持つことが出来なかった
風に散らばるものが全てだった

永い間
ぼくは歩いた
No.892 - 2011/10/24(Mon) 09:02:24
クリープ現象 / シュウ
今点いているテレビのことは
シュールの一言で片付けてしまって
早く買い物に行こう
泥を溜めてしまうほど
爪が伸びてしまいそうだ
待つのは好きでも
死ぬのは御免さ

ゆっくりとした移動が
二人には似合っている
追い越していく蔓草に
いつか会えたら
必ず訊こう
僕らのことを覚えてる?

途々飲むのは炭酸飲料

一人で啜るコーヒーと
二人の間に並ぶコーヒーは
同じ味にはならない

ブラストビートのような日々も
なくてはならないけれど
舌に乗るような静寂を
愛せなくてはどうしようもないよ
少しの騒擾と
野放図な愛欲で
暮らしの窓を彩れば
悪い海を空にできる
そうしたら少し飛びなよ
僕は食卓を調えながら
たまにそれを見たいんだ
No.891 - 2011/09/22(Thu) 18:29:00
/ シュウ
手品師の故郷を誰も知らない
No.890 - 2011/09/09(Fri) 09:07:53
Bind your step / シュウ
異常ではない夢を
珍しく見て目覚めると
薄明かりが吹き消される

這い入る指
魔法が無効になる時間
肌に甘すぎる刺青

英国英語
色々なものが尖る街
足跡は道ではなく
光ケーブルに残る
「ユリーカ」 何を?
「ハレーションを」

何杯かのコーヒー
ミルク
砂糖
テーブルの周りの大気
生きることの意味
混ざって胃で溶ける
世の中の全ては
心では解せないものも
胃では輪郭を喪う
見事な生存
どんな手すりも越えず
季節だけを越えていける
No.889 - 2011/09/01(Thu) 10:10:32
愛の免疫 / シュウ
雨が降る夜
一人で寝るなら
それは一人の夜だね
雨全体の柔らかな冷気も
タイヤが跳ねる飛沫の音も
君だけのものだね
僕の知らない君だけの
No.888 - 2011/08/21(Sun) 19:17:44
( I'm not, but ) Are you star? / シュウ
引力の話をしていたら
愛のことが解ったことがあったろ
あれと同じさ

不意の裏切りも
明け透けな着服も
慣れたものだね
左前で出歩くのも
グランドピアノを盗むのも
慣れたものだね
恋人を川に落とすのも
特定のゴムに穴を開けるのも

慣れたものだ
見事なものだね

飛行機が落ちてきて
映画が終われば
さよならも言わせずに君は消える
君はどこへ?
僕と同じ所へ?
良くないな
引力の話をしていたら
愛が解ったろ
あれと同じさ
良くないよ

蓮が泥から咲くなら
僕らは火から芽吹けないか
いつだったか
生きている石から聞いたあの話のように
ボンネットから生まれた虎と
倒木に棲む蟹の話

次は
タロットカードの話をしようか
嫌でなければ
No.887 - 2011/08/16(Tue) 00:13:28
/ シュウ
分からないこと
全て愛してしまおう
足りないものも全て

脈拍も忘れるトリップの中
簡単な言葉だけを使って
力のない抱擁に勝る優しさを見つけるのだ
訓練も反射もない歌は
おしなべて皆残酷で
心を冷やす
生きるために体に火を纏おう
灰になるまで燃えたとき
初めて出せる笑い声が
聴いてみたいだけだ

音楽のビートが
本当に気持ちいいとき
人は空を飛ぶものだから
僕たちは深みにはまる他ない
どこまで行こう?
どこまで行けるだろう?
どこまで行きたいかは確か
だから死んではいられない

レコードの上を針が跳ねるように
血潮が途切れることもある
いつ起きる?
分からない
僕にも起きるか?
恐ろしい
その全てを愛してしまおう

特定のことが分からぬように
予め誰もが仕込まれている
箍を外す何かを探して
恋をして
へどを吐き
雨を見上げるのだ

日が出てすぐ
海を見れば
波の上に誰かが佇んでいる
絶対に顔を見ることは叶わない
けれど誰だか分かる時がある
その時にきっと
分からなかった全てのことが
一つの線に結ばれて
もっと大きな不思議を描くだろう
No.855 - 2011/07/31(Sun) 23:04:01

解説 / シュウ
一ヶ月、自らに強いて詩を書かせてきて、まず感じたのはぼくの可能性でした。
ぼくには文章で食っていく自信はありません。実力的にも未熟ですし、思う通りの作品が出来てもかなりニッチになりますし、生意気にも出版不況の現状まで見た上での認識です。
しかし書けば書くほど自分の理想が近づいてくる実感はあります。それだけが頼りですが、一生ものを書いていく覚悟だけは、もうできています。ここ数年、原稿用紙で云う百数十枚以上の小説を書く中で、そういう覚悟がつきました。
書き続ける中での変化が、読者の視点から見れば劣化かもしれなくても止めてはいられない、というのが最近の心情です。

去年の三月に母を亡くして以来、ぼくの中で追求の対象となっているモチーフ、というか人生の指針とも言うべきものがいくつかあります。それらが原動力の一端を担っています。
まるで葬るかのようにまだ生きている人と接することの哀しさ、死者を想うこと、悔いの残らぬ愛し方をすること、相互理解の価値、救われることの尊さなどです。
最後の段落は、ある意味そういう実感の集合とも言えるでしょう。

とにかくこの詩は生きていこうと独りごちているだけの作品ですが、その一点においてぼく個人には重要な詩です。
No.886 - 2011/08/03(Wed) 13:07:02
乾杯に先駆けて / シュウ
木槿のような笑顔が
いくつもいくつも咲き誇れば
人生が続くようにパーティは続く
No.854 - 2011/07/30(Sat) 16:24:00

解説 / シュウ
これはまさに、このあとパーティがあるので書いた詩です。パーティが続くように人生が続かないものか、というのは、心から「祭り」を体感した人間すべての願いだと思いますが、《楽しかったことを数珠のように繋いで》生きていくのではない、美しい記憶に恥じないように生きていこうと努めていくことでパーティを終わらせないこともできるのではないかと思います。屁理屈かもしれませんが。
No.885 - 2011/08/03(Wed) 12:52:40
鎮魂 / シュウ
坂の上で
誰かが車を洗っている
泡混じりの水が僕の足まで
頼まれもしないのに
盲滅法滑ってくる

水は
本当は誰かの血で
坂一面を彩る失血は
もっと鮮やかだったはずの
命というものが
永遠の褪色に落ちついたことを物語る

僕たちは坂を見上げる
いずれは登りきらなければいけないから
泣きわめいても続く歩み
立ち向かい続けねばならない傾斜

怯えながら登るほかない
何度流れ来る血に驚いても
振り向いたとき
血を流す姉弟が目に入っても
誰もが登るしかない

誰かが車を洗う
暑い日の打ち水のように
秋も冬もアスファルトがそれを焦がす
死よ 匂え
坂を登る僕らを包め
泣くという手順を省略させろ
涙でぼかしたくはない
数多の死を
大地が全てで空は地獄だ
まだ見ぬこの先に悲劇は溢れている
血に濡れるのを恐れてはならない
人の血はその人が醸したものだ
遺産も病も込められているものだ
愛が汚れるのを恐れるなら
人の血で愛を雪げ
先を見ろ
これから何人も死ぬだろう
歯を噛んで忍び
声を嗄らして偲べ
胸を血で洗え
No.853 - 2011/07/29(Fri) 12:22:27

解説 / シュウ
訃報の悲しみに対抗していくために、自分の気持ちを書き残しておこうとしたものです。
人の死は世の常だと云えばそれまでですが、それでもやっぱり辛いので。
No.884 - 2011/08/03(Wed) 12:45:44
報道輝星 / シュウ
僕が飴玉を一つ
蟻にあげたら
小さな生き物が永らえた
報いとばかりに軽トラックが
主人を眠らせて僕にハグをする
施しの連鎖
折れる骨
日暮れ前 
惨劇自体は食前酒
夕方と深夜のニュースが
血に飢えた奴らの正餐だ
No.852 - 2011/07/28(Thu) 17:28:42

解説 / シュウ
凄惨なニュースは退屈している奴らには娯楽にすぎない、という詩です。夕方前にニュース速報が出て、その後の番組で詳細が明らかにされていく時の不謹慎なカタルシスのことを書いています。分かりやすいですね。タイトルは単なるダジャレですが、そこまで嫌いではありません。

「食前酒」には「アペリティフ」とルビをふりたいところです。
No.883 - 2011/08/03(Wed) 12:42:01
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