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lunatrium/carmen forum

管理人・シュウの詩置き場です。投稿は自由です。
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時折、共通のお題に沿って詩作を試みるキャンペーンを行ないます。
こんな縛りでやったら面白いのでは、というご意見があればお便りをお寄せください。

※時折背景色を変えて催しをするために、字が潰れている箇所があります。
お手数ですがそれと思しき作品は、反転をした上でご覧ください。

百舌 / シュウ
雨ざらしの虹に
幌を掛けたのか
君は疲れ切っている
継子のように心を砕いたせいで
風とも戦おうとしている

時間の渦の中で
無垢であろうとすれば
命がけでないといけない
苦し紛れのCENSORED未遂で
全て贖おうと思っても
血の単価がこうも下がっては
手首を切るのも馬鹿らしい

血潮を惜しむ
布も満足に染められず
調味にも使えない
廉価で甘やかなこの液体を
大事に指先へと回す
世間に肌を洗おう
清められた肌膚
賤しい液体の熱が伝わる
そして誰もが知る
安値がつくより昔から続く
血を流す事の哀しさと
それを舐めとる獣の優しさを

人に倣って血を流そう
傷口を縫い止める民間療法を
皆とっくに覚えているはずだ
 
No.831 - 2011/07/07(Thu) 14:52:54

解説 / シュウ
うつ病を患ったり、その手前にいる友人たちや、かつて自傷をしていた友人など、とにかく口さがなく「病気」と呼ばれてしまうことに(ぼくが)耐えられない、そういう人たちに勝手に寄せたものです。

彼らは回復にたどり着いたとき、かつての自分をバカにしがちで、それは正気を保つための手段なのかもしれないと思いますが、やはり過去のダウンと今のアップを分断するのは理想的ではないと思います。ぼくもそうやって努めていくから、君たちもできるだけ、辛い記憶さえ大事にしてくれ、と言いたかったわけです。勝手に。
No.862 - 2011/08/01(Mon) 17:40:41
自ずと伸びる手 / シュウ
浸透圧
遂に戻らぬ硬さ
フラッターエコー
金塗りの釦
星雲の周り
墳墓
球技のゴール
用意されていなかった検知器

懐かしむこともあるだろう
ある夜眠りにつく時

キャラヴァン

汚れぬスピン
町医者の隠し財産
流氷の下に固まる光
"All I Need Is One Mic"
尽きせぬ攻撃
地雷
ノンアルコール飲料
水になること

悔いることもあるだろう
死を前にしなくても
 
No.830 - 2011/07/06(Wed) 20:39:15

解説 / シュウ
方法に関して言えば、以前よく書いていたような、言葉の羅列でイメージを乱射させたりリズムを作ったりするタイプの詩を書こうとして作られたものです。

前半は、かつて馴染み深かったり印象的な記憶になっているもののこと。
後半は、もう手に入れることはできないだろう、手に入れようとはしないだろうと思われるもののことで、そういうものに自分の手が伸びるのに理由はいらない、ということを言いたかったのだと思います。

"All I Need Is One Mic"はNASですね。移り気な自分への皮肉です。
No.861 - 2011/08/01(Mon) 17:35:02
/ シュウ
灯りのない牢獄で
歯で石を彫り続け
お前は小説を書けるのか
一日に二度投げ込まれるパンが
この骨よりも硬くとも
No.829 - 2011/07/05(Tue) 16:52:24

解説 / シュウ
自分をむかつかせる表現者に対する批判では全然なくて、自戒の文句です。
No.860 - 2011/08/01(Mon) 17:28:17
彼は誰ぞと問うた日に / シュウ
一頃よりも
アスファルトは柔らかくなり
影も目覚め出す時間
家に帰る僕たちがいる
何が待っているとも思わない
何を忘れたとも気付かない足取り
玄関の戸を引けば
就寝へのシークエンスの始まり
表で起きることの全ては
怪談でしかなくなってしまう
短い夜
夏の濃い短い夜
虫の足音も騒がしい
水気を吸った闇が手招きをしていた
暑くて大きな季節が終わるまでの
淫らな空転に
僕はいつでも巻き込まれようとした
寝苦しい夜
窓辺にはいつも風が立ち尽くして
僕と目を合わせようとしていた
振り返ってはならない坂を
鼻歌交じりに進むように
命を
懸けて
無為な遊びに務めていた
あの季節
戻らば戻れ
僕はそうしない
足を踏み外す恐ろしさを
あれからもう知り過ぎてしまった
僕は遠く望もう
寄せては引くあの予感はそのままに
もっと鋭い恐怖へと挑もう
刺青を幾度も彫ってなお
まだ血を流さずにはおれない
空へと
 
No.828 - 2011/07/04(Mon) 18:14:01

解説 / シュウ
夏の詩を書こうとしている時点で、想像力が目の前の対象にしか及んでいないということの表れで、当時の自分の鈍りみたいなものを恥じるばかりです。

誰もが体験したような普遍的な瞬間を描けたんじゃないか、という手応えはそこそこありますが、幼かった当時に戻りたくないという個人的な実感が表出しているのが、作者個人としては面白いです。
子供の頃、ぼくはかなり幼稚な人間で、人がよく「小さい頃は何も考えなくて良かった」みたいに懐古していると反発を覚えずにはいられません。「物を考えるようになって、比較にならないほど矯正できたのに!」みたいな。
特に痛々しく思われるのは中学前後で、当時の自分が今のぼくの前に現れたなら、どこかの私塾にでもブチ込みたい気持ちでいっぱいです。今の自分の基礎にはなっているので否定だけはしたくないんですが。
No.859 - 2011/08/01(Mon) 17:26:58
どこにでもある泉 / シュウ
朝に花咲かす野良犬に似て
肋も麗しい少女がひとり
男のことを思考から排して
崖っぷちで眠る夜のことだ

働き疲れた小間使いに
太った主人が夜伽を命じる
弱い香水が褥に沁みて
肉欲が香りに化ける唯一の夜だ

重力が逆巻いては
星の死骸も僕らに近付き
大地が甘えて泣き声を上げる
孤独の唾に濡れた夜のことだ

金ぴかの城
オイルにまみれろ

欲望に樹液が絡んだら
朝焼けも場を読んで止まる
目も綾な水中写真
ありふれた魔手
向こう側の向こう側へ伸びて

金ぴかの城がオイルにまみれて
あとは燃えるだけ
 
No.827 - 2011/07/03(Sun) 10:42:42

解説 / シュウ
最近には珍しく、官能的な表現をしてみたくて書いた詩です。色々な婉曲を試みた挙句、直截な表現に踏み切るというのはまあ的外れな方法ではないと思いますが、タイトルといい、「欲望に樹液が絡んだら」とかどうなんでしょうね。即物的と言われるとグウの音も出ません。

「欲望に」〜「向こう側へ伸びて」は、冨田ラボ feat. キリンジの『乳房の勾配』からかなり影響を受けていると思います。最近キリンジにハマっています。特に高樹氏の作品。
No.858 - 2011/08/01(Mon) 17:17:18
毎夜のイップス / シュウ
籤引きの繰り返しで幸せは決まる
海の上で渇いて死ぬような
出来過ぎた悲劇はざらにある
いつまで僕たちは生きていくだろう?
そのうちに幾たび死ぬだろう?
No.826 - 2011/07/02(Sat) 21:56:53

解説 / シュウ
1ヶ月こうして詩を書いてきた訳なんですが、こういう試みは初めて行なったので、記念がてら解説を付けていきたいと思います。

本当に気分が落ち込むと、ぼくは身動きが取れなくなります。文字通り。この詩はその時の心情を書いたものです。
「籤引の繰り返しで…」というラインは、最近話した人から「結局職選びなんて運だ、職種や業務も上司や同僚次第で嫌にもなれば楽しくもなる」と聞かされたとき、それは真理だし、それを真理と言うことで喰らう反論や批判があるよな、と思って出てきたものですね。

医者にかかるまででないにしろ、自分の躁と鬱を御しきれてない自覚が、最近特にありますが、そういう浮き沈みは自分の営為だけの上で起こっているわけではない、ということをこの詩で俯瞰しようとしている……のだと思います。
No.856 - 2011/08/01(Mon) 17:02:06

『ゲームの中の町』解説 / シュウ
当該記事にレスを付けられなくなっているので。

まあ東京近辺にお住まいの方には説明が要らなさそうですが、新宿についての詩です。一段落目は東口を出てアルタを横目に、まっすぐコマ劇場の方へ歩いていく様ですね。

「盗んだ自転車を…」は実体験ではなく、小説でそういうシーンを描いたというだけです。そのシーンは別にうまくできたわけじゃないんですが、東口のそばを歩く時はなぜだかそのイメージが思い出されます。

「ノイズに浴したあの映画館」はテアトル新宿のことです。昔『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』を観ました。

新宿はドライというか、どこからともなく放り出された気になるのが心地よい街です。
No.857 - 2011/08/01(Mon) 17:10:49
ゲームの中の町 / シュウ
東口を出たらハウリングで
進めばフルーツは棒の上
道端に雑誌の平積み
喧噪は排気ガスのよう
知らないビルがほとんど
見たことのある看板ばかりでも

雪の日も夏のような温気に出くわし
炎天下でも秋のようにうら悲しい
つまり全てがある町
何も求められないけれど

コーヒーを飲むには事欠かない
軽食と軽食を繋ぐ
僕たちは学生DJ
レコードとCDを探せば
どこもかしこも友達ばかり
西口にも追憶の8mmフィルム!

盗んだ自転車を浮浪者に任せて
ビールとソーセージをやっつける
向かいには蕎麦屋
それから金持ちの小部屋

授業も放り出して
ノイズに浴したあの映画館
見上げた照明
今でも忘れていない
黒子の多い背中のようだった

どこへでも行けるから
どこからでも来られる町
 
No.824 - 2011/07/01(Fri) 11:33:06

(No Subject) / シュウ
7月は毎日ここで詩を書きます。

ここでこんな風に言うのもどうかと思うんですが、余程のことがないと「ルナトリウム」はもう更新しないでしょう。個人的なことを書くには色々なことが起きすぎたり、一次創作的に個人的な事件のことを記述するなら、それを小説で書きたいと思うようになったためです。小説公開用のブログも削除する予定です。
代わりに、何かの感想などについて書くブログを始めています。現在エントリを増やしてまして、近くこのBBSからリンクさせます(恐らく新ブログにはBBSのリンクは貼りません。趣が違うので)。

手前味噌で恐縮ですが、ぼくはこの空間が気に入ってますし、ここに来て下さる皆さんのことも特別に思っております。
実はもう5年以上存続している(アクセスカウンタは何かの拍子にリセットされちゃいましたけど)このBBSですが、まだまだ続けていく所存です。ぜひ今後ともご贔屓に。
 
No.825 - 2011/07/01(Fri) 12:51:52
間違った綴り / シュウ
じゃれてばかりの吐息
水たまりも焦がす
冬はまだ降りてこない
リュバーブを煮ようか?
不思議な前線もまだ少し
乱暴なままなことだし

ふざけてフィキサチーフ
そんなつもりもないまま
吸える空気を駄目にした
ダクトも血まみれにして
甲高い断末魔を上げた
今は生き延びるために息をして
刑期をやり過ごすだけ
また生まれるために

摩天楼が悲しいと言っていた
それでもう充分だったと
あの頃の俺は言うだろう
下らないかい? その通り
その通りなの?

ふざけてフィキサチーフ
何も考えないまま
諸々駄目にした
思いのほか低温のスチーム
それでも俺の髪を焼いて
おおかた駄目にした
次はない? その通り
その通りなんだね
 
No.823 - 2011/06/19(Sun) 00:49:18
レモン頭の子どもたち / シュウ
さあ! 機械が道を作る
腕が大気を呑む
まるで悪の全てを焼いて
寺院を信仰の風で雪ぐように

夜か昼かも定かではなく
ハーディ・ガーディの響きは絶えた
喪われた祝詞も
防人が愛した酒も
土にすら覚えられていない今
如何に歌うべきか?
如何に踊りを捧ぐべきか?
ビルを支えるようにしてだ
街を揺るがすようにしてだ

死を狙え!
お前等の足掻きだけが貫こう
どこにもない窓を
胃がカクテルを燃やす
色欲の眼も下水を洗う
不健全な照明
イリーガル・ハイの足音
全ては幻肢痛?
笑う前に死を狙え!
いつでも死はお前等を殺せよう
どこにもない窓から

「嗚呼」と嘆く暇もなく
悲劇は瞼に生える
神の指だけがその根を抜けたが
ギターにジャックが出来た時に神の心臓にも穴が開いた
然らば救いは誰に拠るか?

死を狙え!
躊躇いもなく
影から影へ飛び移り
世紀の暗君をCENSORED許せ!
異教徒とも踊り
魚にも酒肴を振る舞い
開かなくなった雨戸も蹴破れば
虹も固まって調味料になっている

東の空が明るんで
まだ太陽は覗かない時
厄はそこから走り去る
存えてやっと朝は来る
それを知って初めて僕たちは生き始めるのだ
「斥けた死が誰かにまとわりついたとして
彼らもまた祓うための何かを知っている」
そう信じて初めて僕たちは認められるのだ
 
No.822 - 2011/06/11(Sat) 16:50:14
窓辺 / シュウ
不意に思い出す
月並みな不幸せ
衣擦れも聞こえない
豪雨の夜
「この世が水ばかりになって
殴り合う人も火も
失くなってしまえばいいね」
ぼくは頷けないでいる

絡げられる努力もないまま
生きるのを難しがるのもいいさ
どれだけ風を読んでも
草むらには地雷が潜むから
ワインを飲んで話そう
栓を抜いて
グラスを回して
重たい香りで部屋を充たすためだけに
このままじゃ
安易に「全ては」とか言い出してしまうよ
もう少し簡単さ
違うかい
もう少しは簡単さ
No.821 - 2011/05/28(Sat) 13:38:45
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