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lunatrium/carmen forum

管理人・シュウの詩置き場です。投稿は自由です。
詩書きさんはどうぞ書き殴っていって下さい。感想・批評なども歓迎。もちろん、ぼくの投稿以外に感動されたときもレスポンスをご遠慮なく。
著作権は投稿者の方個々人に属します。無断転載厳禁。
また、詩に関連しない投稿は禁止となります。何かしら関連していれば結構です。

時折、共通のお題に沿って詩作を試みるキャンペーンを行ないます。
こんな縛りでやったら面白いのでは、というご意見があればお便りをお寄せください。

※時折背景色を変えて催しをするために、字が潰れている箇所があります。
お手数ですがそれと思しき作品は、反転をした上でご覧ください。

流離のためだけのハード・バップ / シュウ
貫かれたならそう言え
空への接吻まで許されて
いつまで渋れば気が済むのだ
僕たちの悲劇に貫かれたならそう言えってんだ

腐れば腐るほど天国は遠ざかる
行けよ ぐずぐずするな
タイミングはその時々
力学を無視するだけでいい
燕の蔭がきらめくとき
僕も久しぶりに氷を作ろう
少しだけ皆の酔いを円くするために
苦しそうな喘ぎの中に
ひと節の鮮やかな吐息を喚ぶために

放っとけば僕たちはいつも
正義と嗚咽を混同して
他の人に自分を見出そうとしてしまう
それは嘘だよ
望ましくない
冷たくされても言い訳できないし
余計な眩暈まで引き起こす
健康はたいてい味方になるが
ときどきは世界一迷惑なテロリストで
制限された自由に滑り込み
種銭でぱんぱんの財布の紐を
ショコラティエの手つきで緩めてくる
ふざけた姿勢はとっていいから
早くたくさんのトリルで充たせよ
外連味だけで部屋を埋めろ
僕の体を正六面体にしてくれ!

機嫌の良い時だけ善人は
コーヒーとマフィンを奢ってくれる
カナビスカップの話題で盛り上げれば
二杯目にはキリマンだって頼めるだろう
舌先三寸で時間を買う僕を
笑える奴はこの世にいないはずだから
同じ道理で君も恥じなくていい
僕たちが新星をいつまでも抱きしめていたいように
君も自分のアウラだけを描けばいい
大人になることは酒を飲めるようになることで
子供でいることは菓子を好きでいることだから
怖がる必要は少しもないのだ
第一そんなに怖くないんだろ?
いつも楽しそうなくせに

どれだけエアラインが減ったとして
――国自体が減ったとして
ビバップはどこにでも流れるし
穀類の収穫は続くだろう
毒性の強い化学物質と
技術の粋を凝らした食餌で
今日も野生動物が生き存えている
人造肉はひとの妄想にこびりつき
うつくしいオリーブオイルが高値で取引される
でもそれが何だっていうんだろう?
僕の頭上には雲が広がっていて
宇宙からこぼれ落ちた光のしずくが更に漉されて
ちょうど小説の一節のようなのに
シネ・カ・ノン
やっぱり僕と理性と魂は一緒くたで
シネ・カ・ノン
ものごとに境目なんてひとつもないよ
No.808 - 2010/11/05(Fri) 21:33:07
夜のふくろう / シュウ
夢のなかでそれが起きたら
今でもぼくは
君に電話したくなるだろう
No.806 - 2010/10/26(Tue) 23:15:52
叙説 / シュウ
無色透明な舞台の上で
繰り返したアフォリズムを
あと少しだけ
もう一度だけ
確かな発音で聴いてみたいだけ
風が通りすぎたときの申し訳なさと
晴れた日に死にたくなる情けなさと
鉄柵の冷たさを
いつまでもあのひとと重ねていたいだけ

ピッチャーいっぱいのルートビアをひとりで飲んだら
ロマンを無視した散歩に出て
少しでも長く曇り空の下を歩こう
いつ どこで
誰と会いたいか見当がつかなくても
歩いていくほかは無い
No.805 - 2010/10/26(Tue) 11:06:17
結果 / じめん
跳ねるような人格があって
私はそこにいないとして
爆ぜるような輪郭があって





反射する言葉に 
宙釣りの視線に
明確な悪意に

私は発見される
No.802 - 2010/10/01(Fri) 22:20:49

Re: / シュウ
久しぶりの投稿ありがとう。お元気そうで何より。
あいかわらずのドラマツルギーのなさに感動します。素体的というか。そこから見えるもの「だけ」が描かれているというか。

ところで君の押韻へのこだわりには今でも違和感を覚えています(最近君らの自主盤を聴き直したからなおのこと思うんだけど)。君の目が向いている先にあるとおぼしきものと、押韻の重視がうまく連関しない。気が向いたらでよいので、解説してもらえると嬉しいです。
No.804 - 2010/10/10(Sun) 14:51:13
パス / シュウ
険のある距離が
今のなかに満ちた
不意に浮き出た青が
上滑りして僕の中に落ちた

力さえも奪われて
封じ込まれた水辺
まだそこから出られなくて
祭りも禁じられた夕べ
輸血で存える風景
懐かしいだけどうでもいいね

僕の眼に溢れるものは
あなたの匙で掬えないから
すぐに頬から落ちてしまう
気づきもしないあなたを憎んで
ここから脱け出せたなら

欲しがった全てを与えてくれても
満たされやしないけど
一つきり分けてくれたら
何だってしてあげよう
今だけ話してよ すばらしいことを
雨が降りだしたら黙っていいから
オーロラ一枚噛ませた二つの唇
その動きを見せて

力さえも奪われて
封じ込まれた水辺
まだそこから出られなくて
生じる必要のある空華
霧のような規模の湯気
それは夢
最後の機会を持ち越すための術
No.803 - 2010/10/10(Sun) 12:42:26
スクCENSORED / シュウ
ひどい出来の笑顔まで
愛してもらえた記憶さえあれば
誰をだって抱きしめていける
No.801 - 2010/09/30(Thu) 20:46:38
当たり前の血しぶき / シュウ
低くも高くもない地点から風を見よう
黒くて汚らしい眼球が
つやめきぐらい失わないために
冒険の代わりになることをすれば
解るだろうことがきっとある

ぼくの街は長い夢を見ていた
住宅の隙間にある透明ではない時間の中に
その神経を張り巡らせて
脈絡しかない夢を見ていた

間抜けな夢のなかで生まれて
ぼくは間抜けな夢のなかで生まれて
それよりもう少し間抜けに生きている
殆ど病気のような国の
ごく僅かに健康な街にある
つまらない家で
許しを乞いながら過ごしている
ハンドルの付いた時間を

何だか近ごろ嵩を増したい
誰もが持つ 自分の体の外の血管を通じて
死ぬまで水位を上げ続けなければいけないあの赤い海の
嵩をもっと
No.800 - 2010/09/11(Sat) 23:45:03
レーゲン・マイスター / 太郎

薄暮の匂いに 目は覚めて
降らない路面 心を濡らそう

帰る所こそ 遠い出先だと
鏡を見る度 洒落になればと   

普通でいれたら
悲しいほど 鮮やかに
思い出せるんだ もう時間がない

これが欲しかったよ
魔法みたいにさ すぐ止むけれど
道行く人の上
さわれない 流れ落ちる色

薄暮の匂いに 体起こして
さっきまでの未来 通り過ぎた

部屋を出たなら
弾みだけで 柔らかに
忘れてしまうよ 時間があり過ぎる

いつか一人で
いずれ一人で 君だって
もう仰げないのに
 
これが欲しかったろう
魔法みたいさ すぐに止むけれど
横たえた心の上に
拭えない 流れ落ちる色
No.797 - 2010/09/05(Sun) 19:10:39

Re: / シュウ
題以外には「レーゲン」が現れない潔さに感服します。ぼく自身はなかなかこうした意識を持てないので。
太郎さんの詩に見られる、一種類のアクションを、微妙に言葉を変形させて、タイミングをずらして描写する手法に、いつも映画的なドラマティゼーションを感じます。映像的イメージを集中させることしかできない自分の詩の貧しさを知らされます。
「降る」という受動の感触がとても普遍的に詩に充ちていて、その感触の優しさが感じられる作品です。優しさの中に、冷厳さもどうしようもなさも混在するあの感触が、とても如実に表現されていると思います。

投稿まことにありがとうございました! 小説への没頭の仕方を覚えて以後、いよいよ詩を書く機会が減ってしまったので、最近は意識してここへのポストを増やすようにしています。お時間があれば、ぜひ覗いてやってください。
No.799 - 2010/09/05(Sun) 22:39:49
ダンスフロア / シュウ
反復するビートのちょうど隣で
口づけの残像が消えかかる
まどろみに似ていた
ビルから投げたバターみたいだった
金蒔絵のようにおいしそうで
カットケーキより澄まし顔の夜のこと

着信音をオペラの一節にして
君の気を引いたつもり
めちゃくちゃにカクテルを呷って
典雅に酔っ払った芥みたいな男
首をすげ替えても不細工な
虹を見ることさえ許されない動物
いつか厭いの極みに晒されて
人知れず荼毘に付されるはずの

目にしたことさえある音楽で
インプロヴィゼーションを気取る
苦笑しか産まないファルスを演じて
夢見の悪さを人のせいにする
ぼくもそれが嫌いだね

鱗を生やしてでもあなたを手に入れたいのに
ぼくが泳ぐだけの水も用意してくれない
なのにどうして踊り続けるのだろう
すぐにもギターが弾ければいい
あなたを殺せるだろうから
最高と最低の区別がずっとつかなくて
レコードの聴き方も忘れたから
本当はもう踊れないんだよ
レッツ・ステイ・トゥゲザーと
彼がまだ歌っているはずなのに
No.798 - 2010/09/05(Sun) 22:09:47
/ シュウ
健康であることに飽きて
体の動かし方を確かめたくなったとき
夏を冷たくしようとしたことが
何度かあった

花を基点に逆転を図って
むしろ痛めつけられてしまい
誰の慰めも買えなかったことに泣いた
商店の陳列に紛れ込んで
自分の温感をひっくり返そうとしても
いくらかの小銭と引き換えに
不潔な飲料を求めても
狂っても
全部無駄
駄目だった

震えるしかない
明日も
No.796 - 2010/09/03(Fri) 13:24:38
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