| 「PHILIPS Super Best 100」からの1枚。
ストラヴィンスキー「兵士の物語」は、クラリネット、ファゴット、トランペット、トロンボーン、パーカッション、ヴァイオリン、コントラバスという7名の奏者で演奏される作品です。シャイー指揮/ロンドン・シンフォニエッタによる組曲版を所有しています(ロンドン DCI-1058 非売品=ロンドンNEWモア50シリーズの特製CD)。このマルケヴィチのCDは7名の奏者に、語り手、悪魔、兵士、王女のセリフを含めた全曲を収録しています。台本はラミューズ。
この作品の副題に「読まれ、演じられ、そして踊られる物語」とあるように、セリフが大きな部分を占めています。セリフの対訳が封入されていますが、全部で16ページ。なかなかの長さです。登場人物の喜怒哀楽が、俳優の声色によって巧みに表現されています。特に語り手のコクトーの声は独特で忘れがたい。コクトーは画家、映画制作者、デザイナーなど多彩な芸術活動を展開した有名人物とのことですが(私は知りませんでした)、これはコクトーが亡くなる前年の録音ということです。語りは演奏中にも挿入されます。兵士と悪魔の丁々発止のやりとりもおもしろい。それ以外にも、「電話のベル」「ノックの音」などのBGMの指示も台本に書き込んであります。語りがない組曲版よりも、演奏時間はほぼ倍の長さですが、語りがあったほうが断然雰囲気が出ます。ちなみに全曲版では「兵士の行進曲」は3回登場します。
マルケヴィチ指揮による演奏は、個性の競演といった様相で、積極的なアンサンブルが展開されます。音色は洗練されていませんし、個々の奏者が他の楽器との調和をあまり考えないで演奏しているように聴こえます。これはこれで作品の魅力を引き出しています。
しかし、この演奏が1,000円で聴けるのはすばらしいですね! 買いです。
フィリップス UCCP-7070 |
No.323 - 2005/10/12(Wed) 00:50:58
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