| | Disc3にはコンクールと定期演奏会の音源を収録。
1995年 第43回全日本吹奏楽コンクール金賞 課題曲:野村正憲作曲/アップル マーチ 自由曲:O.レスピーギ作曲/小長谷宗一編曲/バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より ソロモーネの夢〜バッカスの踊り 中澤氏にとっても野庭高校にとっても最後の全国大会となりました。この演奏は高校の部で第1位を獲得する得点だったようですが、まさに高校生離れした完成された演奏です。前年よりもさらに透明感あふれた磨かれた音色で落ち着きのある響きを聴かせています。外面的な演奏効果を極力抑制しています。自由曲では、金管が鳴らずテヌート気味に演奏しています。とても健康的な演奏で、初めて聴いたときにはビックリしました。何度聴いてもいい演奏です。まさに名演。 タワーレコードの特典としてついてきたこの演奏(1996.10.28 普門館)のDVDを見ました。中澤氏の指揮姿が見れる大変貴重な映像です。中澤氏は頬がやせているように見えますが、このときすでに病に冒されていたとのこと。意外にも少ない動きで冷静に指揮しています。楽器編成はコントラバスが3人いるのが特徴で、低音を重視した音楽作りをしていたことがうかがえます。生徒たちは中澤氏の指揮を鋭い目つきでにらみながら演奏しています。楽器を上下左右に揺らして演奏している生徒が多く、アンブシュアが崩れないのか少し心配になりました。また、女子生徒のスカートがものすごく長いのにもびっくり。イスに座ると靴が見えません。演奏後の起立も軍隊のように動作がそろっています。野庭高校の伝説を今に伝える貴重な映像です。
1996年 第2回東関東吹奏楽コンクール金賞 課題曲:松浦欣也作曲/般若 自由曲:A.K.グラズノフ作曲/林紀人編曲/バレエ組曲「ライモンダ」より スペインの踊り〜ピッチカート〜ギャロップ 中澤氏は1996年8月18日に亡くなりました。この演奏は中澤氏が指揮した演奏ではありません。誰が指揮したのかCDに記載がないので分かりませんでした。野庭サウンドは健在ですが、聴き手に訴えてくるものが減ってしまっています。課題曲はソフトすぎて物々しさがありません。自由曲も響きの密度や集中度が薄くなってひ弱な印象を受けます。
CDで収録されているコンクールの演奏はここまでですが、その後も野庭高校は毎年コンクールに出場しています。部員数が少なくなっても、高校Aの部で出場しました。成績のみを書いておきます。 1997年 第3回東関東吹奏楽コンクール金賞 1998年 第4回東関東吹奏楽コンクール金賞 1999年 第48回神奈川県吹奏楽コンクール優秀賞 2000年 第49回神奈川県吹奏楽コンクール銅賞 2001年 第7回東関東吹奏楽コンクール銀賞 2002年 第51回神奈川県吹奏楽コンクール金賞
続いて毎年3月に開催された定期演奏会の音源が年代順に収録されています。コンクールにくらべると練習時間が少ないせいか、演奏の完成度は落ちます。中澤氏はポップスも指揮していたことが分かります。
J.F.ワグナー作曲/行進曲「双頭の鷲の旗の下に」(第3回定期演奏会 1983.3.21 磯子公会堂)は、録音状態がよくありません。速めのテンポで雑な演奏ですが、勇ましい行進曲を聴かせます。
兼田敏作曲/シンフォニック バンドのための序曲(第4回定期演奏会 1984.3.27 神奈川県民ホール)は、ぐっとレベルがアップします。速いテンポに必死になって演奏しています。
W.シューマン作曲/吹奏楽のための序曲「チェスター」(野庭高祭 1984.6.10 野庭高校体育館)は、文化祭での演奏にしては本格的な選曲。よく鳴っていますが、鋭角的な表現に対応できていない側面があります。
W.バーカー編曲/ガーシュウィン!(第6回定期演奏会 1986.3.22 神奈川県民ホール)は、豊かな響きに包まれた美しいポップスを聴かせます。
W.バーカー編曲/ハリウッド万歳(第7回定期演奏会 1987.3.19 神奈川県民ホール)は、「酒とバラの日々」や聴いたことがある曲(曲名は知りません)のメドレー。ハリウッド万歳は最後に少しだけ登場します。
保科洋作曲/古祀(第8回定期演奏会 1988.4.5 神奈川県民ホール)は、強奏でリズミカルに拍感を出しています。
A.バロッソ作曲/岩井直溥編曲/ブラジル(同上)は、野庭高校定演の定番曲のようで、他の年の定期演奏会でも演奏されています。速いテンポでノリがいい。あふれんばかりの熱さを感じます。「ブラジル!」の発声も元気いっぱい。 |
No.267 - 2005/06/16(Thu) 00:26:35 |