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「葬」題進行中です。配布元:http://www.geocities.jp/monikarasu/
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匂葬
/ 銀時×高杉
引用
音や匂いで過去の記憶が呼び覚まされることがままあるのだ。
それは俺の記憶力が抜群に良いからであって、
決してアイツのことを忘れられないから、ではない。
「ああ、くそ」
カラリという下駄の音、ふわりと漂う香の匂い。
紛らわしい真似をするなと、斬り捨ててやりたくなるではないか。
No.151 - 2018/12/18(Tue) 23:56:05
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形葬
/ 銀時×高杉
引用
新しい着物が欲しいという銀時の言葉に耳を疑った。
「お前でもそんな気持ちになるんだなァ」
「うそでしょ、そんなしみじみ言うところなの?」
俺が見繕ってやろうかと言うと、その言葉を待っていたとばかりに嬉しそうに頷いてみせるので、いよいよ熱でもあるのではないかと、俺もキャラクターを忘れてやけに心配したものだ。つまりそれらは幸せな記憶で、過去で、思い出で、結局そんな着物を見繕うことはなく、奴はいつもの一張羅を着たまんまだった。
No.150 - 2017/11/17(Fri) 01:50:42
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産葬
/ 銀時×高杉
引用
いつどこで生まれたのか、なんて勿論覚えちゃいない。
誕生日なんて適当だ。覚えていたのは名前だけ。
これだって、本当に親がつけてくれたものなのかはわからない。
だからといって由緒正しい家柄の高杉を羨ましいと思ったことはない。
そういう発想すらなかったからだ。
なぜならば高杉は俺と同じ目をしていて、
いつどこで生まれたのかなんて関係ないってツラで生きていたからだ。
それは初めて会ったときから、今まで、こうして死の淵であっても変わらない。
なあ高杉、生まれなんてどうだっていいんだ。
死ぬときこうして、お前がそばにいてくれるなら。
No.149 - 2017/11/17(Fri) 01:19:25
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嵐葬
/ 銀時×高杉
引用
左眼が事切れる寸前に見たのはアイツの泣き顔で、
それ以来、この瞳は何も映したことがない。
死んでしまったのだから当然だ。
それなのに、死んでいるはずなのに、時たまこの左眼は、生きているかのように騒ぎだす。
殺せ殺せと呻いて暴れて、俺は手をつけられずにあの日の泣き顔ばかりを思い出す。
一体、何を殺せと言っているんだ?
お前はもう、死んだんだよ。
アイツの涙に葬られて。
俺の心に墓石をたてて。
まるで亡霊のように、俺は左眼の亡骸を抱えて、悲しいくらいに生き残っていた。
No.148 - 2017/06/11(Sun) 21:16:43
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静葬
/ 銀時×高杉
引用
まるで精巧なからくり人形のように、
それの歯車が壊れ倒れているように、
だらりと手足を投げ出して地面に転がっているソノ姿に俺はぴくりとも表情を変えなかった。
これは夢だと、もうわかっていた。
何十回、何百回、何千回と見た夢だ。
高杉が俺の目の前で、気付いたら死んでいて、気付いた時にはもう遅い。
どうして死んでいるのかもわからない。
ただ目が開ききって既に濁り始めている。
わけもわからず、亡骸を抱きしめたのは最初の数回だけで、
あとはもう、ただ無表情で目が覚めるのを待っている。
これが現実だったら、と、ふと思う。いつか、この光景が現実になったら俺はどうする。
目が覚めない夢だとして、でも俺は、慣れきってしまった光景を、無表情で見送るのだ。
No.147 - 2017/06/11(Sun) 21:03:00
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噺葬
/ 銀時×高杉
引用
目を閉じるってなんだっけ、なんて神楽の言葉で銀時は昔を思い出した。
目を閉じるのが怖い、と思っていたあの時のことを。
それはきっと高杉も同じだったろうに、彼はそんな弱音を吐ける性分ではなかったので、可愛くない奴だと思っていたことも。思い出す。
目を閉じて、もう二度と、開かなくなる仲間たちを何度も何度も見てきたからこそ。
次は己の番に思えた。この目を閉じて、また目が覚めるなんて保証はないと思えた。
きっと次は、俺の番だろう。
No.146 - 2015/11/10(Tue) 20:57:58
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廃葬
/ 銀時×高杉
引用
空を見上げて、白い雲が流れていくのをただ見ていた。
ガラクタだらけの世の中でも、唯一綺麗なままなのが空と、雲だと思っていた。
それなのに今や飛空船のオンパレード。
上下左右がガラクタだらけ。
綺麗なものなんて、なあ、どこにあると思う?
「……そんなもん、」
銀時に問いかけると、頬をかいた後で俺にキスをした。
ゴミのようにくだらない言葉が続きそうな気配だったので、それが声になる前に、お返しに腕を絡める。
(なあ、ここにはないと言ってくれ)
(世界のどこにもないと言ってくれ)
No.145 - 2015/06/14(Sun) 18:47:37
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骸葬
/ 銀時×高杉
引用
悲しいことに、俺がその知らせを受けた時には、もう奴が死んで三年も経った頃だった。
知らせるな、悟られるなと、奴は言ったらしい。
ああ、完璧だったとも。
会えない日々は俺達を益々恋しくさせているのだと思っていたとも。
ああ、完璧でいてくれた。
悲しいことに、彼の骸を見ず、弱っていく彼を見ずに済んだことが、俺は嬉しかった。
No.144 - 2015/06/14(Sun) 18:43:08
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柔葬
/ 銀時×高杉
引用
俺たちがまだ子供だった頃の話。
高杉は時たま、まるくやわらかな頬を膨らませて飴玉を舐めていた。
俺に見せつけるように自慢げな表情をするのを小憎らしく思っていた。
「欲しいんだろう」と彼は言う。俺の心を見透かすように。
「欲しいって言ったらくれんの」と俺は問う。お前の心を見ないふりして。
(けれど、違うのだ)
(俺たちは根本的に)
ああ、もちろん欲しかった。一度良いから、舐めてみたかった。
その甘く、まるい、やわらかそうなほっぺたを。
綺麗なお前の瞳を。
死んでしまったらそれも叶わないのだなぁ、と、今わの際に気付いたって。
No.143 - 2014/04/10(Thu) 22:39:02
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愚葬
/ 銀時×高杉
引用
わたしの御墓の前で泣かないでください、と、そんな唄を歌ったことがある。
歌詞も曖昧で、なんとなく、口ずさんだだけだけれど。
高杉に向けて歌えば彼はどんな酷い顔をするだろう。
かつてないくらいに顔を顰めて、手近にあるものをぶん投げてくるかも知れない。
でも、きっと、あいつは泣くだろう。
俺の墓の前で。俺がいなくても。(もしかしたら)(俺がいないことに)
No.142 - 2013/12/22(Sun) 04:19:08
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