>歌詞を訳すのは日本昔話や新聞よりもっと難しいです
エモーショナルな部分が大きいからでしょうね。単に直訳ではダメで、どう具体的に崩して、あるいは補って、歌われている感情を上手く表現するか。そのためには曲調も背景も加味して、トータルで考えなければならない。
英語ですけど、「ビートルズ詩集」(岩谷宏訳、シンコー・ミュージック、1985)という本があって、この岩谷氏の「訳」は抜群にウマイ。例えばこんなところ(あげれば切りがない)。
to lead a better life , I need my love to be here 好きな人と一緒にいなくては 良い生活とは言えません (here there and everewhere いずくにてもあなたと)
I give her all my love , that's all I do あのひとを想う気持ちで 僕の胸はいっぱいです (and I love her 好きですあのひとが)
「翻訳とはしょせん訳者の作品でしかない」と岩谷氏は述べています。訳者は何らかの意思を持って翻訳を実行します。例えばyouを「あなた」とするか「君」とするか、単語ひとつひとつに対してですら、訳者は積極的関与(選択)を免れえません。どんな訳も訳者自身の考え・感覚が表現されたものに過ぎず、つまり絶対的に「正しい」訳というのは存在しない。Aleidaさんには釈迦に説法だと思いますが、歌詞の訳ということで改めて思い出したので書きました。とにかくこの岩谷氏の訳ほどビートルズの音楽を見事に表現しているものを他に知らない。これが目標。シルビオ待ってろよ!(こればっか) |
No.429 - 2004/09/11(Sat) 10:56:57
|