映画「バベル」の試写会に行ってきた。開場30分前に会場に向かったところ、入り口前の広場全体が行列で埋まっていた。そんなに無料で見たいか。ワシもだ。映画は一言でいうと、壮大なる失敗作、か。あまりに冗長すぎる。空虚にすら感じた。あの切迫感のなさは何かの狙いか。前情報などをほとんど持たずに見て、そして書いている。映画はあらすじも含め何も先行情報を知らずに見るのが一番いい。素直に自分の目だけで見ることができる。人と人との関係、つながり、異文化、他者との出会い、親子、家族の愛情。それらはどの国でも地域でも共通のものである。しかしその質に違いはあるだろう。米国と日本とでのぼんやりとした空虚さは、その関係性の綱渡りのような希薄さゆえか。しかしそれを切実に感じられなかった。ある種の人間不信も感じたが、その撮り方が成功したとは思えない。日本のシーンは、あの「アモーレス・ペロス」のコンビであってもこうなってしまうんだなと少し落胆した。まるで韓国のように見えたがワシは韓国をほとんど知らないので気のせいかもしれない。モロッコのシーンはどの場面も深く印象に残る。あの構成だけで一本映画を作ってほしいと思ったほどすばらしかった。それはやはり、人間がしっかり生きている、そうやって撮られている、ということだと思う。 |
No.3117 - 2007/04/07(Sat) 23:57:37
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