1、家には缶きりがないので、缶詰などを開けるときはナイフでごきごき開けていた。だから日本から栓抜き(&缶きり)を持っていき渡した。その後使っているところをこっそり覗いてみると、変わらず力ずくでごきごきやっていた。それでも少し開いたので、わたし結構やるでしょ、みたいな顔して笑った。コツを覚えるにはもう少し時間が必要みたい。
2、買って来たばかりのラジカセを隣の部屋で開封していたボニータが、ラジカセ抱えて俺のところにやってきて叫んだ。「ないわよ!電源ケーブルが!ここについてないのよ!どうする?」。え、そう?。部屋を出て、ボニータが開けた箱の前に立ち、中を覗く。いやあるんだがここに・・・。本体にくっ付いているものと勘違いしたみたい。結構あわて者のボニータであった。もうかわいいんだから。 |
No.1470 - 2005/07/30(Sat) 04:46:00
☆ ボニータ・エピソードその2 / りーど [JAL] | | 3、Gパンが好き。それも色がすすけたような、使い古したようなやつが好き。ミュージシャンとかがはいてるでしょと言う。ある店でそういうのを見つけて買いたいと言ってきたけど、ムヘールにはそれはふさわしくないと言って俺はやめさせた。ボニータは素直に俺の意見を聞く。もうちょっとキレイなのを着ていてほしい。でも1着ぐらいはいいかな。キューバにはあまり服の種類がないので探すのに苦労する。
4、近所の通りなどで知人や親類と出会ったときボニータはそのつど俺に紹介してくれる。こちらはミ・エスポーソ、と言って。挨拶して別れたあと俺は必ず訊く。どういう友だち?どういう親類?。あるときボニータが言った。私にはアミーゴはいない、あるのはアミスタだけ。俺は訊く。どう違うの?どっちが親しいの?。アミーゴよ、でもアミーゴにはトライシオン(裏切り)があるから。、、、たまにはこういうちょっと深い話もする(笑) |
No.1471 - 2005/07/31(Sun) 06:38:35
|
☆ ボニータ・エピソードその3 / りーど [JAL] | | 5、ニーニョのことを誰よりも深く愛している。いまは目に入れても痛くないという表現がぴったり。あるとき部屋のベッドの上で一緒にアルバムを見た。ニーニョの写真が出てくるたびに、何度も見直しながら、「ん〜チキティーコ・デ・ママ、ん〜ベシート」といって悩ましげな表情で写真に口づけている。こういう洒落っ気のあるボニータが好き。そういえば俺はボニータの写真で同じようなことをしてるかもしれないが、それは意地でも彼女には内緒。
6、俺と一緒に出かけるときは大体ニーニョの世話をママに頼むのだが、ママも時間がとれないときがある。ある日、ママに強引に預けて出かけて、家に戻ってきたらニーニョがいない。ボニータはあせって叫ぶ「マミィ、ニーニョをどこにやったの!教えてよ!」。ママはとぼけた顔をして笑っている。「問題ないよ、エルマーナが連れてったんでは?」と俺が言っても、「いや、私には問題なのよ!ねえマミィ、早く言いなさい!」と必死。そうこうしているうちにニーニョはエルマーノと一緒に戻ってきた。そのときのボニータのほっとした顔を忘れない。 |
No.1473 - 2005/08/01(Mon) 05:31:24
|
☆ ボニータ・エピソードその4 / りーど [年内] | | 7、お風呂が家の外にあるので、夜は必ず懐中電灯を持参する。俺はボニータの着替え、石鹸などを抱えてお供する。ボニータは風呂に入る前、戸を開け、戸口に立って、懐中電灯で裏庭全体を偵察する。一家を守る主のようなまなざし。ボニータが風呂場に入ってからは、俺が戸口に立って、外の星空などを眺めながら、たまにボニータを覗きながら、指示に従い、脱いだ服を受け取り、タオルを渡し、石鹸を渡し、最後に着替えを渡す。そして一緒に部屋に戻る。
8、近くの町には乗り合いタクシー(マキナ)で出かけることが多い。車がやってきたらドライバーに「te vas?(町に行く?)」と確認して急いで乗り込む。急がないとすぐ満員になってしまう。席がぎゅうぎゅうになったとき、ボニータは俺の膝の上に乗る。席が前と後ろとで分かれてしまったときは、心配そうに後ろにいる俺をさがす。横に他の男性が来たときは、俺が気にしてるのを察知して、必ず俺と場所を変わる。のろけです。 |
No.1476 - 2005/08/02(Tue) 08:15:57
|
☆ ボニータ・エピソードその5 / りーど [年内] | | 9、一緒に庭で洗濯をしているときボニータが笑って言う「私があなたのjefe(ボス)だから」。「うんうん、今はね」。「いや、いつもよ」。「いやいや、通常は俺が君の」。よく言い合う。
10、一緒にでかける予定だったが少しもめて、ボニータだけ先に行ってしまった。ニーニョを乳母車で連れてるので遠くにはいけないはずだとママたちは言うが、いやボニータならやりかねん。しばらくして近所へ探しに行ったが、見当たらない。いつもマキナを待つ場所の家の叔父さんに訊いてみる。「ブエナスタルデス。きょう僕の妻を見なかった?」。「いーやきょうは見てないねえ」。家に戻る。30分ほどしてボニータも戻ってきた。近所の親類の家に行ってみたのだという。俺が尋ねた叔父さんとも話したそうで、機嫌は直っていた。 |
No.1477 - 2005/08/03(Wed) 10:10:47
|
☆ ボニータ・エピソードその6 / りーど@日課 [年内] | | 11、ハバナの貸切カサは豪華な部屋で、貴重品などがあり、主人から伝えられる注意事項も多かった。ボニータが言う。「あなたが賛成してくれるなら、ほかを探したいわ。ここは気をつけることが多すぎて心配」。大丈夫だよ、心配なものは最初から使わなければいい。ニーニョが一番心配だったので、触れる位置にあった貴重品は戸棚にしまったり、高いところに二人で移動したりした。俺たちは客なんだからそんなの主人にやらせればいいと思うところでも、ボニータは自分で床掃除などを一生懸命やっていた。
12、キューバの店では、商品やその陳列棚が、カウンターの奥にあって、客からは見づらいところが多い。でも皆遠くから覗いてるだけだ。ボニータもそう。中に入れそうな隙間があると、俺は必ず「プエド・パサール?(入っていい?)」と訊いて中に入り、近くで見るようにしている。外国人だから入れてくれるのかもしれない。ボニータにもそれを薦めるが自分からはしようとしないので、俺が先に入り、ボニータを呼ぶ。この方が楽でしょ? ボニータはうれしそうにうなづきながら商品を眺めている。 |
No.1479 - 2005/08/04(Thu) 07:16:55
|
☆ ボニータ・エピソードその7 / りーど [年内] | | 13、初めの頃、最初に気にいったものをすぐ買おうとした。あとからもっといいのが出てくるかもしれないから全部見たあとで一番いいのを買いなさい、とよく言い聞かせた。最近では、俺がもうこれでいいじゃんと思うときでも、いやあっちの店も見てから、と完全に会得した様子。良い傾向である。ああボニータに会いたい。
14、昼間職場で仕事をして、夕方には俺のカサに来る予定だったが、7時半を回ってもまだ来ない。心配になり玄関先に出て通りを見ながら待った。きのう町で別れたきりだったので、もしかしたらその後事故にでもあったのではといったことまで考え始めて、いてもたってもいられなくなった頃、ボニータの乗ったモト(バイク)がやってきた。職場に向かうときニーニョが恋しがって泣いていたので、仕事が終わり次第すぐまた家に戻ったのだという。途中で一本電話くれよ、こっちも心配なんだから。うんうん、とうなづいていた。 |
No.1481 - 2005/08/05(Fri) 10:16:04
|
☆ ボニータ・エピソードその8 / りーど [年内] | | 15、電報が届いた。「feliz 4 de agost ボニータとニーニョより」。ワシの誕生日だった。よく覚えていてくれたなと思う。何にも話してなかったのに。きょう電話して聞いたら、「なぜ4日に電話くれなかったの。淋しかった」。めんごめんご。仕事で日中はいないと思ったんです。プレゼントも買ってくれてるらしい。9月行くまでグアルダロ。冗談のように言ってみる。ねえボニータ、俺の顔を忘れないでね。「夫の顔を忘れるわけないでしょう」。
16、俺の髪が伸びてくると散髪してくれる。「髪切らなきゃ。はい、外に出て」。お互い立ったまま、ボニータがはさみを入れていく。切った髪が身体にかかるので、俺は上着を脱ぐ。さくさくっと終わる。決してうまい切り方ではないが、どんなうまい切り方よりも、誰にしてもらうのよりも、一番うれしい。エルマーノがポジート(鶏の頭のようだ)と言ってからかうが、二人とも気にしない。ボニータに着替えを出してもらい、風呂に入る。 |
No.1489 - 2005/08/07(Sun) 08:44:28
|
☆ ボニータ・エピソードその9 / りーど@やたら忙しい [年内] | | 17、ハバナでタクシーに乗っていた。もう何度も利用している経路だったが、きょうのドライバーは違う道を行く。しかも妙な遠回りをしているような。大丈夫かな〜と思いボニータの顔を見るが特に気にする様子はない。と思ったらボニータが口を開いた。「ねえなんでこの道行くの?普通はあっちでしょ。何があなたにとって得なの?」。いつも店員などには従順なボニータだが、やはりこういうときにはたよりになる。
18、子供のころケンカして叩かれたりしたことはなかった?「学校で同級生を私がなぐったことはあったわ(笑)相手はすっごく大きな子だったのよ」。なんで? 「その子が先生に失礼なことを言ったから」。で、どうなった? 「向こうも手を上げたけど、さっと両腕でガードしたわ(笑)」。やる〜。先生のために、というのがボニータらしいと思った。 |
No.1495 - 2005/08/11(Thu) 20:07:04
|
☆ ボニータ・エピソードその10 / りーど@キューバ欠乏症 [年内] | | 19、戸口に立って俺を誘う。ほいほいと側に寄ると、「おんぶして」と言う。これまたほいほいと背におんぶして裏庭に出る。あっちあっちと庭の奥を指差す。ほいほい。雨で地面がぬかるんでいる。えへへ足に泥がついちゃうよボニータ。二人で騒ぎながら行く。みかんなどが生っている木のところで降ろす。熟して食べられそうな木の実を探している。俺も探すがどれがいいかよくわからない。ボニータが全部見つけて渡してくれる。高いのは木をゆすって落とす。一つづつその場で食べたあと、いくつか手に抱えて家に戻る。
20、「洗濯するわよ、手伝わない?」。手伝います。洗濯物を一塊づつ抱えて庭に出る。手伝うといっても俺は大体見てるだけだ。料理・掃除・洗濯はやはり自分の(女性の)仕事らしい。俺がたまに水を絞ったり、手洗いしてみせると、まだまだ足りないとダメを出す。ニーニョのウンチがついているやつなどは俺にやらせず自分でやる。最後干すのぐらいは手伝わせてください。水を絞ったのを俺に渡す。干してると寄ってきて言う。「裏返して干して」。なるほど。最後二人で手分けして干し終わって家に戻る。 |
No.1516 - 2005/08/25(Thu) 05:09:27
|
|