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おろち2 プレイ中です。

ネタバレ全開なので、ごりょーしょーください。







"めでたしめでたし"で終わる話 つづき

※3ベースなのに、2の幸村外伝後
※三幸
※二人だけじゃなくて、たくさんの人をハッピーエンドにしたいというのがコンセプト
※幸せな三幸というのが元々なはずが、こういう展開にしよ、ああしようこうしよう、こうなったらいいな、がいっぱい出すぎて、ちゃんと書けばそれなりの長編になりそう→よし、書きたいとこだけ書こう→色々断片です。



 まだ山と残る戦の処理になんとか一区切りをつけた三成は、怪我の療養でほぼ寝たきりになっている幸村の部屋を訪ねた。本当ならば毎日顔を出したいところなのだが、仕事が後から後から沸いてくるせいで、そうも言ってはいられなかった。それでも、仕事を運んでくる面々が代わる代わるに幸村の様子を伝えてくれるおかげで、彼の様子を知ることが出来た。今日は少し城内を歩いておられた、やら、鍛錬場で訓練している者たちを眺めていた、やら。まだ体調は回復してはおらず、城下に散歩に行くことも出来ないようだったが、時間はたっぷりあった。焦らずゆっくりと養生してほしい、というのが三成の心からの願いだ。

 戦の処理が遅延している理由は、半分は三成にあった。徳川家康に味方した諸将の処分が決まっていないのだ。それ以前に、家康自体の処遇もまだ決定しておらず、彼は今、大坂城の片隅に隔離されている。食事はきちんと用意しているし、着るものにも不足がないように手配している。流石に自由はないが、それ以外のものは十分に与えているのが現状で、待遇は決して悪くはない。東軍についた諸将たちは、自領に閉じこもって通達を待っている者や、それらを引き払って潔く大坂城で謹慎している者、加藤清正や福島正則といった豊臣恩顧の将は、ねねが大坂城を退去した後の住まいとしている京都新城に身を寄せている。
 天下を二分する程の大戦だった。当然、東軍に属した者を処罰しなければならないのだが、その量があまりに膨大すぎて、全員を減俸または取り潰すには無理があった。結論が先延ばしになっていることに三成自身気付いてはいるが、目先の仕事に追われて手付かずになっていた。清正たちの所領を取り上げる、ということに躊躇いがない、と言いきれないところもあった。身内贔屓は三成の嫌うところではあったが、いざそれを決意するにはまだまだ時間が必要だったのだ。


 さて、幸村である。そういった細々とした面倒なことなど気にせずに顔を合わせられる相手でもあった。軽い傷ならば包帯は取れただろうか。幸村のことだ、まだ早いというのに、もう大丈夫だといって包帯を取って歩き回っているかもしれない。ただ、長い布団生活のせいで体力は落ちているだろうし、手足のことを思えば、長時間の移動は無理だ。きっと部屋に居るだろうし、いないとしても移動距離はせいぜい城内ぐらいだろう。探すにしてもそう手間ではない。こちらとしては、出来れば室内でゆっくりしていて欲しいところだが、あの幸村にそれを求めるのも酷だろう。

 とりあえずは、幸村と久々に会える、と意気揚々に幸村の部屋の前で声をかけた。返事はあったが、幸村の声ではなかった。幸村の影にいつの間にやら控えている、あの女忍びのものだった。不審に思い、遠慮なく襖を開ける。くのいちは少々不貞腐れた様子で、部屋の中央に胡坐をかいていた。三成と目が合う。が、すぐにぷいとそらされてしまった。

「幸村はどうした?散歩か?」
「散歩だったらよかったんですけどねぇ。あたしも止めたんスよぉ。でも、もう大丈夫だから、の一点張りで。着いてく気満々だったんですけどねぇ、誰かが訪ねてきたら困るから留守番してろ、って。ひどい話ですよねぇ」
「…出掛けたのか」

 自然、声が冷える。幸村本人は怪我の状態にも能天気に笑っているが、長時間の移動は困難な身体なのだ。城内であれば事情を知っている者も多く、保護を買って出る者もいるだろうが、城下となればそうもいかない。幸村の顔は大坂の町では知られているし、戦後とあって大坂ですらならず者が入り込んでいる。事件に巻き込まれないとも限らないのだ。

「どこに行った。すぐに連れ戻さねば!」
「京の御所まで。正確には京都新城ですけど」
「なんだと!何故止めなかった!!」
「だから、止めたんですって。でも行くって言って聞かないし。一応護衛は連れてるんで、問題ないっちゃあないんですけどね。手出しするな、自分で馬に乗って行く、って、まあ頑固で」
「もっと全力で止めろ!」
「だーかーらー、無理なんですって。あたしじゃ幸村様止められまーせーんー」

 いつの間にやら、肩で息をしている。城内を歩き回ることすら容易に出来ぬ人間が、外の、しかも二十里以上離れている場所に出掛けて行ったという。これで慌てるなと言う方が無理な話だ。これが怪我をする前の幸村であったのなら、心配はもちろんするが、護衛がいるならば、と無理矢理にも納得することが出来たが、今の彼は決して健康体ではないのだ。どこぞの山中でへたり込んでやしないだろうか、妙な奴らに絡まれていないか、治りかけていた怪我は悪化していないだろうか、などなど、心配事は次から次へと沸いてくる始末だ。
 だが、この忍びを問い詰めていても埒が明かぬ、と諦めた三成は、いつ頃経ったのかを訊ねる。今から追いかければ、もしかしたら間に合うかもしれない。馬に乗るにも体力がいるのだ。腕や足が思うように使えない幸村が途中で休憩を挟んでいる可能性も高い。駿馬を選んで走らせれば、あるいは。

「日の出と一緒に出掛けたから、うーん、三刻は前ぐらい?三成さんがどんだけ急いで馬走らせても、追いつかないと思うにゃー」

 すぐにでも部屋を飛び出そうとしていた三成に向かって、くのいちは無情にも言い捨てた。

「三成さんが面白いぐらいにうろたえるから遊んでみたけど、そーんな心配しなくって大丈夫だって。いざとなれば、抱えてでも幸村様連れて帰ってきてくれる頼もしい忍び付きだし。二、三日したら戻ってきますって」

 ほーんと、幸村様のこととなると、冷静な治部少輔様が崩れちゃうんだから。
 と、言葉の割りにからかいの少ない調子でくのいちが呟いた。けれども三成は彼女のように気楽になれるはずもなく、幸村が戻るまでの二日間を、一日千秋の思いで過ごしたのだった。知らせが届けば、幸村に何かあったのでは!と過剰に反応し、誰かが書簡を持ってやって来れば、何か幸村に関する情報を持ってきてくれたのでは、と期待をする二日間だった。気が休まる時などあるはずもなく、それを近くで眺めていた左近などは、戦時の多忙の最盛期以上のやつれっぷりだったと零した程だった。


 ねねの住まいとしている、京都新城と大坂城とは、約二十里の距離である。馬を飛ばせば一日で往復できぬ距離ではないし、前の幸村であったのなら、軽く行き来してしまうだろう。けれども、今の幸村の身体を思えば、一日をかけて京都新城へと辿り着き、また一日をかけて戻ってくる、というのが妥当だろう。一晩をねねの元で過ごす、というのも、実は三成の懸念の一つなのだ。今、ねねの元では、先の戦で敗者となった者たちが多く世話になっている。西軍勝利の功労者である幸村に危害を加えるような分別のない者はいないと信じたいが、そこは何とも言えないのが現実だ。いじめられてやいないだろうか、いわれのない非難を受けてやしないだろうか。そんなことばかりをぐるぐると考えてしまう。もちろんねねを信頼しているし、清正や正則はそういった人間から庇ってくれるとは思うが、人の負の感情というのは、何をやらかすか分からぬものなのだ。ああくそ、どうして幸村は出掛けて行ってしまったのか。その行く先が、どうしておねね様のところなのか。帰って来たら説教だ、兼続にも声をかけておこう、と、一刻も早く無事に戻ってくれるよう祈るしか出来ないのだった。


 悶々としながら眠りについたせいで、あまり寝た気はしなかった。ひどい顔だという自覚はあったが、案の定左近に指摘され、無言でにらみつけておいた。鏡を見る勇気はなかった。どうせ顔色は最悪で、連日蓄えた隈がいっそう濃くなっているのだろう。ああそんなことより幸村だ。まだ戻ってこないだろうか。

 執務中も始終そんな調子であった。左近があからさまにため息をついても、文句を飛ばす余裕はなかった。ため息をつく暇があるのなら、お前はひとっ走りして幸村を迎えに行けばよいのだ。
 そう叫びそうになったところで、ああ俺がやればいいのか、と思い立った。立ち上がったところで多少の眩暈はあったが、ただの立ちくらみだろう。少しばかりじっとしていれば治まる程度だ。左近は唐突にゆらりと動き出した三成に驚いたようだったが、三成は構わずに部屋を後にする。歩き出してしまえば、案外に元気なことに気付いた。これならば、馬を全力で駆けさせるぐらい他愛無い。背後では、三成の様子を不審に思った左近が後に続く。
 城内をずんずんと歩き馬小屋まで辿り着くと、流石に左近も三成の行動の意図を覚ったようだった。がしりと腕を掴んで、
「なに考えてんですか。待ってりゃ帰ってくるんですよ」
 と、正論を言う。正論かもしれないが、三成にとってはあまりにも非情に聞こえた言葉だった。
「お前は心配ではないのか!一人山中で泣いていたらどうするのだ!」
「幸村に、一人山の中で遭難して泣くような可愛げはないと思いますが、」
「左近!お前に人の心はないのか!」
「いえ、ですから、」

 わいわいと三成一人で騒ぎ出すが、左近に腕を取り押さえられている以上、そこから動くことが出来ない。左近は三成の怒号に辟易し、三成は三成で聞き分けのない家臣に苛々している。とにかく落ち着いてくださいよ、殿。うるさい俺は冷静だ、だから離せ、離さんか左近、とまあ、その繰り返しだ。
 そんな応酬が何回続いただろうか。くすくすと女の笑い声が降って来たことで、二人は言い争いをやめた。馬小屋の屋根から二人を見下ろしているのは、くのいちだった。

「朝から元気ですねぃ、お二人さん。こういう時は忍びにお任せ〜。ちゃんと要所要所に配備させてますから、幸村様がいつ頃到着するか、そのうちに報告が来るはずですぜい」
「本当か!」
「本当本当、大マジです〜。つぅわけで、お二人さんは門の前で待っててくださいね。下手に動かれても邪魔なんで。そいうわけで、どろん」

 とぅっ、とくのいちが起き上がったと思ったら、その姿はどこにもなかった。忍びは妖怪変化の類じゃないんで、ちゃーんと種も仕掛けもあるんですよ、とくのいちは言ってはいたが、実際目の前から急に姿を消されては、どこに種や仕掛けがあるのか、皆目見当のつかない二人だった。

「とりあえず、馬で追いかけるのは諦めてください」
「うるさい、分かったから離せ。俺は門の前で待つぞ」
「くのいちが知らせてくれると言ってたじゃないですか。その刻限に向かえばよろしいでしょうに」
「もしかしたら、予測を間違えるかもしれんからな」
 はいはい。もう勝手にしてくださいよ。と呆れ顔の左近を他所に、三成は意気揚々と門へと足を向けるのだった。まだまだ知らせは届きそうにないな、と左近が思うのを尻目に、三成は今に幸村が姿を現すだろうと心を弾ませるのだった。


 真田忍びの報告は常に正確だった。今回もまた同様で、くのいちから告げられる、あと四半刻で戻る、という報は全く狂いもなく、その通りになった。幸村の姿が遠目に見えれば自然三成の機嫌も上昇したが、馬に二人乗りしている状態に気付けば、自然、三成周辺の空気の温度は下降していった。長時間の乗馬で足も腕も力が入らないだろうことは三成にも簡単に想像できるのだが、身体を預かるように腹に回されている太い腕だとか、それに安心しきってもたれかかっている幸村だとか、三成から冷静さを奪った。離れていては支えきれないことは分かっているのだが、ぴたりと密着している状態が、嫉ましいやら羨ましいやら。

 幸村を出迎える面々は、時間と共に増えて行った。三成たち(主に三成が、だが)が騒いでいたせいもあって、城内にあっと言う間に広まったのだ。あとは野次馬が集まる如く、暇を持て余した者たちがわらわらとやってきたのだ。幸村が到着する頃には人がずらりと並んでおり、壮観でもあり、思わず引き返したくなる程のごった返しぶりだった。

 中央に居たせいか、不機嫌オーラを発していたからだろうか、幸村が一番に気付いたのは三成の存在だった。腕を組んで仁王立ちしている姿は異様であり、威圧感があり、左近などは逃げ出したい限りだが、幸村は三成を見つけるやにこりと微笑む程だった。横にいた左近が、思わず、あ、と声に出してしまうぐらい急速に、三成の機嫌は回復した。ただ本人は、幸村を説教せねばならない!という使命に燃えていたせいで、眉間に寄せた皺の数はそのままだ。だが、親しい者であれば、三成の空気の険が和らいだことなど、簡単に見て取ることが出来た。生憎と、幸村もこちら側なのだ。

「三成どのー。どうなさったのですか、この人だかりは」
「皆、お前の帰りを待っていたのだよ。お前はまったく、人に心配をかけさせてばかりだ」
「無断で抜け出したことは謝ります。ご迷惑をおかけしました」
「いいか幸村。お前はまだ病み上がりだ。もっと自分を大事にしてくれ」

 馬を寄せる幸村たちに、三成は見上げながら説教をこぼす。幸村はふふふ、と笑うばかりで、うんとは頷かなかった。本当に柔らかく笑うようになったなあ、良い傾向だなあ、と幸村の笑顔に流されそうになって、ああそれでは駄目だ!と首を振って、つとめて厳しい顔を作る。彼をここで甘やかしてはいけないのだ。

「幸村、お前は自分の身体のことをちゃんと分かっているのか?供をつけるなり、もっと体力が回復してからなりにしてくれ」
「それは今回で痛い程身に染みましたよ。そう大した距離ではないと思ったのですが、途中、何度も休憩を挟まねばなりませんでしたし。終いには、山菜摘みにいらしていた清正どのに保護していただきました。帰りはこの通り、世話になりっぱなしです」

 幸村が後ろを振り返り、ありがとうございます、と軽く頭を垂れるものだから、三成も後ろの男に視線を向けなければならなかった。清正だ。出来ればここではいない者として扱いたかったのだが、そうもいかなかった。

 幸村は三成の元までやってきて、案外にしっかりとした様子で馬から降りた。多少ふらついたものの、三成が手を出して支えるよりも先に、自分の足だけで立っている。清正もまた馬から飛び降りる。幸村を支えながらの馬旅だったろうに、疲労の様子は全くなかった。この男の体力馬鹿なところは三成にはない部分であり、少しばかり羨ましいところでもあるのだ。

「それで、何の為におねね様のところへ行ったのだ?書状では駄目だったのか?代わりの者では?」
「おねね様にはちょっとお願い事を。内容が内容ですので、直接お伺いしたかったのです」
「願い事、とは?」
「それは今は秘密です。でも、すぐに分かると思いますよ」

 秘密、と言われて、思わず清正を見やった。この男は知っているのだろうか。むかむかとした気持ちがそのまま顔に表れてしまったようで、無意識に睨み付けていた。いや、この男と顔を合わせれば睨み合いをするのは、最早癖のようなものか。

「幸村は無事送り届けたし、俺は戻るからな」

 三成の視線に怯みもしないくせに、清正はさっさと踵を返そうとする。それを引き止めたのは三成だ。

「少し休んでいけばいいだろう。来て早々帰らねばならぬ程、貴様は忙しいわけがない。どうせ山菜摘みも暇を持て余してのことだろうが」
「今となっちゃあ、天下の石田三成"サマ"に比べりゃあ、俺は暇で暇でしょうがないんだろうがな。俺がここに居ること自体が厄介事だってぐらい、俺にだって分かる。さっさと退散するに決まってるだろうが」
「清正どの!」
「お前の言い分は分かる。少し、考えさせてくれ」

 三成を置いてけぼりにして繋がった二人の会話に、三成の眉間の皺が少しばかり深くなる。清正は敏感にも気付いたようだったが、片眉がぴくりと動いただけで、それ以外の反応はなかった。

 じゃあな、と素っ気無く言葉を残し、清正は本当に今来た道を帰って行った。成り行きではあるものの、その後ろ姿を見送る羽目になってしまった。


「幸村、それで、怪我などはないな?あちらでは何もなかったな?」
「はい、おねね様には随分とよくしていただきましたし、清正どのと正則どのには世話ばかりかけてしまいました」
「本当に、大事ないのだな?」

 嘘をついても見破ってやるぞ、と幸村の顔を覗き込めば、幸村はふにゃりと笑った。まさに、ふにゃり、と表現するしかない、だらしないというのか、緩みきったというのか。気を抜いた、安心しきった笑顔だった。説教の言葉もどこか飛んでしまった。きっと幸せな笑顔、というのは、こういうことを指すのだろうな、と三成の心に温かいものが生まれた。
 けれども、三成がその余韻に浸る間もなく、幸村の足ががくりと崩れた。咄嗟に身体に腕を伸ばして抱きかかえるようにして支えれば、触れた肌からは高すぎる温度が伝わった。

「お、おい!熱が出ているのか!」
「さっきまで大丈夫だったんですけど、」

 そういう幸村の声は、どこかふわふわしている。高すぎる熱に意識が朦朧としているのかもしれない。これはまずい、と幸村が倒れないようにしっかりと身体を抱き締める。幸村の足は既に力が入らないようで、三成に体重のほとんどを預けている。

「三成どのの顔を見たら、ほっとしたようで、ふふ、力が抜けてしまいました」

 そう耳元で囁かれては三成も正常に彼の言葉に反応できず、幸村のふわふわとした様子がうつらないように、腕に力をこめなければならなかった。





***
長いよ!
短いから、と三成サイドを選んだのに、すんげぇ長い。蛇足多い。いいんだ、このページは、その時その時の書きたい!と思った場面を、自由に書く!だから。
ところどころ支離滅裂なのは、推敲しないからです。
勢いも、大事!

あ、まだこの二人、くっ付いてません。というか、告白してません。でも各自、自覚済みです。清正の辺りもっと掘り下げたかったけど、既に長くなってることにひぃひぃ言ってたので端折り気味。

この後、幸村のおねね様へのお願い事が何なのか分かる話も書きたいし、三幸!って全力で言える話も書きたいし、お正月だしおねね様主催の仮装大会しようぜ!な話も書きたいし。ネタは尽きないわけでして。

あ、BGMはさよなら/ポニーテールです。あの素朴でやわらかい雰囲気がこの三幸にぴったりだなあ、と思うのです。

莉緒
No.1919 2013/01/31(Thu) 23:08:58


"めでたしめでたし"で終わる話

あ、ここのカウンターの88888は俺のもの!って思ってたのに、いつの間にか過ぎてます、ね。。。基本、自由だー!精神でここのページは成り立ってるんですけど、概ねしょーもないことしか書いてないんで、ちらっと覗いてくださる方には、ホント申し訳ないというか。。。

んで!
久しぶりに三幸熱が高じてきたので、なんか書きます。書かんと寝れへん。興奮して。
というわけで。


例によって色々厄介な設定。
3ベースに、2の幸村外伝をええーい、と投入してみた。以下、こういうコンセプト!メモ。

※三幸
※両片想い
※みっちゃんはヒロイン
※幸村は色々と人生のリハビリ中です。
※ハッピーエンド万歳。人が死ぬとかCENSOREDとか、そういう話物騒だしやめない?
※これは三幸です。



 正直な話、三成は今すぐにでもこの場から逃げ出して、布団でも被って隅の方でぐずぐずとやっていたい気分だった。あまりに感情のままに言葉をぶつけてしまった。取り乱すなど、ああこの俺が!なんとも無様な姿をさらしてしまったものだ!
 興奮がまだ残っている。しんとした部屋の中に響くのは、己の荒い息遣いだけだ。気まずい。何故こういう時に限って、兼続は口を噤んでいるのだろうか。こういう時の為の饒舌ではないのだろうか。他の二人の様子を見るまでもなく、顔を赤くしているのは自分だけだ。ついでに立っているのも自分だけだ。兼続はあぐらを掻いているし、幸村も布団から半身を起こした状態で座っている。三成一人が熱くなって、あんな子どもの癇癪のような言葉を喚いて、ああ、ああ、穴があったら入りたい!誰かその上から土をかけて埋めてくれないだろうか!

 到底二人の顔など直視出来ず、三成はそっぽを向く。幸村の私室は寂しいな、殺風景過ぎる。うむ、今度花を持って来よう。掛け軸もいいだろう、この部屋に似合う茶器を探すのはきっと楽しいだろうな。と、現実逃避に走る三成の耳に、兼続の笑い声が届いた。さも嬉しげな様子で、ふふふと笑っている。思わずそちらに視線を向ければ、
「お前は本当にすごいやつだなあ」
 と、やけに幸せそうな笑顔をしていた。ここ数ヶ月、顔を合わせれば戦や時勢の話しかしていなかったからだろうか、彼の、彼らしい笑顔を見るのは久しぶりな気がした。じん、と胸が熱くなる。ああ自分は大事なものを守ることが出来たのだな、と今更ながら実感した。

「そうだな。確かに、我らの勝利は幸村がもたらしてくれた。だからと言って無茶を見過ごすわけにはいかんな。怪我をしたら手当てしろ、手当てをしたら傷が治るように養生しろ。それが守れないのなら、戦場に来るな。心配で心配で、こちらが病を患ってしまいそうだ」

 それは、先程三成が叫んだ言葉の一片だ。兼続は大仰な仕草で膝を叩き、
「私も同感だ。何一つ訂正することがないな!」
 と、朗らかに笑っている。三成としては、癇癪のように喚いた言葉でもある。あまり穿り返して欲しくはないのだが。

「三成、何をそう恥かしがっているのだ。お前とて人だ、感情的になることもあるだろう。私はそれが嬉しい。こと、それが大事な友である幸村を想ってのことならば尚更だ」

 ちらりと幸村に目をやる。丁度幸村もこちらを向いたところだったようで、ばっちり目が合ってしまった。幸村はどこか呆けた表情をしていた。あっけにとられたとでも言うのだろうか。おそらく、三成の癇癪に驚いたのだろう。怒鳴りつけている姿を見せたことはあれど、理屈抜きに感情のまま叫んだことは、ほとんどない。呆れられてしまったのかもしれない。

「幸村、お前も何か言ったらどうだ。私の説教より、三成の言葉の方がきくだろう?あの理屈詰めの男が、お前を想うとああも感情の制御が出来ぬらしい。お前もそろそろ、我らの我侭を知っておくれよ」

 幸村がゆっくりと微笑む。彼は常に笑顔を絶やさぬ青年だったが、それでもどこか影が付きまとっていた。戦の只中で死ぬのが己です、と既に悟っていたからだろうか。笑っているのに、物悲しい。笑いかけてくれているというのに、素直に喜ぶことが出来ない。それが、今の幸村にはなかった。意味もなく、泣きたくなった。彼にしがみ付いていた死臭が、ゆるゆると溶けて消えて行くような、そんな幻覚すら見えるような気がした。もうこの男は、槍を片手に死地を突き進むようなことはしないだろう。

「幸村、」

 その先の言葉が続かなかった。先程の剣幕は、勢いはどこへ行ってしまったのだろう。すとんと腰を下ろす。見守るように自分たちを眺める兼続の視線が優しくて、むず痒くて、恥かしくて、あたたかかった。

 布団の上に添えられている幸村の腕は包帯で覆われている。腹も胸も足も腕も、無傷の箇所を探す方が難しい程に、幸村は負傷している。それでも、幸村は戦ってくれた。三成率いる西軍を勝利へ導くために。嬉しいと思う反面、不甲斐ないと思う。己の為の無茶に喜び、同時に憤る。自愛せよ、と思う。幸村は、人に対しては過保護になるというのに、己の身を省みなさ過ぎるのだ。
 さきの戦の傷が元で、幸村は身体に障害を負った。日常生活を送る分には問題ないらしいが、以前のように槍は振るえまい、というのが医師の下した判断だった。足の筋と腕の神経が損傷しているらしい。長時間酷使すれば、次第に手足がしびれ熱を持ち、鋭い痛みが出るのだという。それを聞かされても、幸村はほとんど動揺しなかった。むしろ、同席していた兼続と三成の方が息を飲んだ程だった。泰平になった。それでも、あの幸村の槍さばきが見えぬとなれば、心にくるものがあるというものだ。たとえ、その槍が彼をCENSORED為だけのものだとしても、だ。
 幸村は静かだった。それは本当か、と医師に掴みかかるでもなく、うな垂れるでもなかった。そうですか、ご面倒をおかけしました、と。本当にそれだけだった。あるいは、自分の身体のことだ、気付いていたのかもしれない。

「三成どの」

 幸村の真っ直ぐな目が、三成をゆっくりと見つめる。その目はどこまでも穏やかで、澄んでいる。いいな、と思う。好きだと思う。彼を作っている悉くが好きだ。槍働きしか出来ぬ自分など、と幸村は卑下するが、三成には彼の戦場での働きなど正直どうでも良いことであった。無事に戻ってさえくれるのであれば、彼の武功など二の次で良いではないか。自分には戦しかない、戦場で生きるしかないと幸村は言うが、三成の執務室に女中の真似事をして茶を運んでくれる幸村も、確かに三成にとっての幸村なのだ。戦しかない、とはもう言わせやしない。お前が細やかに世話を焼く、あの姿を幻になどさせるものか。

「本当は関ヶ原で死ぬつもりだったのかもしれません。この戦で勝てずば、何が真田幸村だ、何がもののふの意地を貫く、だ、と。そう考えていたのかもしれません。わたしがあの地で死んでも、あなたが勝つことが出来れば、それで良いではないか、と」

「幸村!」

 先の興奮が一気に蘇る。咄嗟に声を上げたが、兼続が腕を掴んで制止をかける。幸村の話を最後まで聞け、と三成を落ち着けるように腕を引っ張り、立ち上がりかけていた三成の勢いを何とか押し留めた。兼続の目を見れば、彼にあまり似合わぬ真剣味の強い、強張った表情で頷いた。
 三成は深く息を吸い込んで、もう一度幸村に視線を戻した。幸村の目は、やはり真っ直ぐ三成を射抜く。彼の目はあまりに真摯で、そらしてはならぬ、と三成も腹に力を込めた。

「戦は勝ちました。ただ、わたしの手足はもう使い物になりません。きっと、前のわたしなら、取り乱していたと思います。いえ、もっと酷い。下手をしたら、舌を噛んで自害していたかもしれません」

 ぞっと背筋に冷たいものが走る。それは、三成が容易に想像できたからかもしれない。戦をする為に。そうやって生きてきたのです。そう幸村は言っていた。知っているのだ。幸村ならば、そういう言葉を選択した幸村ならば、その道を選んでも仕方がない。仕方がない、と思いたくはなかったが、その道を選びたい、と思ってしまうだろうことは簡単に想像することができた。三成の知る真田幸村とは、徹頭徹尾そういうもののふだったのだ。
 けれども、薄暗い目で語っていた姿が、今の幸村には重ならない。その目は秋の空のように澄んでいた。ああ、兼続が止めた理由はこれか。

「…三成どの。わたしはもう、武働きであなたをお助けすることが出来ません。だというのに、わたしはあまり焦っていないのです」

「三成どの、」

 声にならなかった。じっと目を見つめることで、その先を促す。幸村は穏やかな表情で、その先を告げた。


「わたしは、あなたの隣りに居ていいでしょうか?」


 ああもちろんだとも。
 そう言葉にしたかった。当たり前だ、当然だ、最初から、それこそ出会った頃からそう言っていただろう。ようやく気付いたのか。
 けれども三成は、言葉にすることよりも何よりも先に、込み上げてきた衝動のままに、彼の身体を抱き締めるのだった。




***
時間がなかったんでは端折ったところがあるのが残念。こんな感じの話をもう数話書きたいところです、が、明日の気分によるので(ごにょごにょ)
長くてすんません。

莉緒
No.1918 2013/01/29(Tue) 02:57:43


更新&拍手お返事

書き溜めていた話をちょっとだけアップしました。
比較的、明るいほう、かな?
にしても、更新したのに広告消えないんですけどー。時間差?



んで、溜めに溜めてた拍手お返事です。


11月14日の方

はじめまして。最近は、、、あんまり三幸更新してなくって、ちょっと申し訳ないです。。。いや!好きなんですけどね!うちは基本的にアップしたものは下げずに置いてあるので、昔のものではありますけど、三幸の話はそこそこの量置いてますので、少しでも楽しんでいただければ、幸いです。拍手ありがとうございました!



12月1日の方

最近は特に、幸村さん捏造が激しいので、そういうコメントいただけて嬉しいですv更新のペースがめっきり遅くなりましたが、自分なりに納得したものをアップしてるので、小説を褒めていただけるのは本当に本当にありがたいです!
高幸、というか、高+幸?な話はちょこちょこ書いてみましたので、お時間がある時にでも読んでいただければ、と、思います。
体調のお気遣いまで、ありがとうございます!日々元気に生きてますので!大丈夫です!最近は冷え込むことが多くなりましたので、お風邪など召されませぬように!ありがとうございました!

莉緒
No.1912 2012/12/24(Mon) 20:46:29


(No Subject)

TOX2クリアしました!これからが長いんですけどね!EXステージを色々クリアしたいので、まだまだ睡眠時間削るよ!


というわけで、ネタバレなので、一応伏せで。

攻略サイトでいうところの、トゥルーEDだけ見ました。っていうか、えええー、っていうのが正直な感想。そこは融通利かせて二人生存でいいじゃん。メインキャラがそういう展開になるのって、ご都合主義・ハッピーエンド好き・やっぱり王道がいいよね派には、結構ダメージが高いというか。。。

ルドガーが全然喋らないせいで、無口キャラだと勝手に認識してますけど、そうじゃないよねー多分。イベントのアニメでユリウスさんと普通に喋ってて、!!!状態になりました。そ、そういう感じで喋るのね!っていう。
っていうかね!最初にお兄さまをどう呼ぶかで、ずぅっとその呼び方固定とか!言ってよ!兄さんって呼ばせたかったよ!割と遅くまで、きっと血は繋がってない兄弟なんだな、とか思ってたよドちくしょう。

今回はいっぱい泣きました。涙腺が弱くなってるせいもあるかもしれないけれど。

以下、メインキャラについての感想というか、ぼやきというか、そんなん。

・ジュードくん
最初、髪の毛いじってるのは、多忙過ぎて寝癖やら傷みやらのまま放置してるからだと思ってたんですけど、ちゃんとセットしてるんですね。おおうマジでかー。
ちゃんと男の子として成長してるんですけど、やっぱりジュードくんというか、お母さん系がチラリズムしてますね。
個人的に、ジュードくんは将来レイアちゃんと何だかんだくっつけばいいと思います。好きだなあって気付いた時、お互いに、いや相手にとっちゃあただの気安い幼馴染でしかないだろうしなあ、と諦めてる期間があると思います。公式ではほんのりジュード←レイアなのかもしれないですけど、サブイベとかチャット見る限り、まだそう言いきれるところまでレイアちゃん自身の感情も育ってないんじゃないかなーと思うんですよ。ジュードくんにとって、ミラは恋の相手じゃなくって、どこまでも憧れだと思うし。うんうん。

…もっと短くまとめるつもりだったんですけど、なんか長くなっちゃいました。ほかのキャラ、っていうかガイアス様について色々書きたかったんですけど、そろそろ眠いので次の機会にします。

莉緒
No.1905 2012/11/12(Mon) 02:27:47


(No Subject)

どうも莉緒です。土曜日、勇んで親知らず抜いてもらいに行ったんですけど、一筋縄ではいかない生え方をしてたみたいで、その日にすぽーんと抜いてもらうことが出来ず、通うことになっちゃいました。めんどうくさいよねー。で、何だかんだと治療中なんですが、痛いです。初日のようなずっとズキズキ痛いわけじゃないんですが、地味に痛い。どこが痛いのか分からないけれど、なんか、痛いなーって感じで。一応痛み止め貰ってきたんですけど、そこまで痛くないし、我慢できるし、という程度で。痛み止めを使うタイミングを完璧逃しました。痛い!と少しでも思ったら使うべきだったのかなー。それとも、今は我慢できるけど、その内ドでかい波が来るかもしれないから、その時の為にとっとこー、であってたのか。


未だに、るろ剣とクロニクル2ばっかに現抜かしてます。で、相変わらず、好きなもの×好きなもの=めっちゃ好き!の方程式に当てはめて、戦ムソでるろ剣パロとか考えてました。珍しく原作沿ってます。私にしては、ですけど。

というわけで、個人的にうふふとする為だけのひどい設定です。最近とんと書けなくなった、三幸です。

明治時代、と言いたいですが、時代背景が全然まったく分からないので、想像の明治設定です。こうだったらいいのになーという時代背景に、戦国っぽい要素も混ぜてるので、明治のよーなところ、という大雑把な設定。

・幸村(ポジション:剣/心)
 女の子です。あ、女の子って歳でもないか。そこは原作に忠実で。見た目若いけれども。身長は三成と同じぐらいで。三成が平均なので、女の子にしては大きい方です。ただ、男顔で常に男装してるので、見た目はカッコ良い男の人、にしか見えません。身長ちっちゃくしただけで、顔のパーツはそのまま。
 武器はさかばとうですが、一番得意な得物は槍です。ただし、携帯に不便なのと、殺傷能力が高すぎるので、戦争でしか使用していません。影のお仕事時代はもっぱら使い捨て日本刀。ちなみに、遊撃剣士時代の幸村の刀は武蔵作のものです。槍も預かってもらってます。
 武家の出ですが、色々あって路頭に迷うことになって、お館様のところで槍や剣の腕だけではなく、兵法を学びます。女の子として身体が作られる時期にも厳しく身体を鍛えていたので、背は伸びたものの女らしい柔らかさはなく、脂肪率は低い。胸はどうにか寄せ集めてAぐらい?晒巻いちゃうと真っ平らになっちゃいます。
 出会いは原作同様、幸村さんの偽者が現れて、それを捕まえようと三成に斬りかかられたところから。最初、三成は幸村が女の子だと気付かずに、居候するにあたって、幸村からカミングアウトしました。町の人々も幸村を男の人だと思ってて、幸村が人助けした女の子とか、普通にファンがいます。
 過去を色々考えてはいるんですけど、敵対するキャラに当てはまる人が思いつかなくって、肝心なところが穴空いてます。巴さんポジに、血の繋がってないけど、兄弟のように育った信幸兄さんを当てようかな、とか。子ども出来たけど死産だったよ、とかひどい設定を、うん。

・三成(ポジション:薫)
 貧乏道場の師範代、です。三成に日本刀は似合わないかなーとも思いましたが、案外様になるんじゃないかと思い直しまして。若いです。幸村より若いのは、私の個人的な趣味です。年齢下克上が好きなものですから。


ちょっと眠くなってきたので、他の人の設定は簡単に。

・慶次(左之)
・兼続(恵さん)
・正則(弥彦)
・清正(由太と燕ちゃん辺りのちゃんぽん)
・左近(妙さん)
・半蔵(斎藤)
・甲斐(操ちゃん)
・政宗(蒼紫様)

こんなところでしょうか。あと、武田・北条のお館様も一応のポジションがあります。武蔵と小次郎も。

莉緒
No.1901 2012/10/09(Tue) 01:02:42

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