◆米国で鳥インフルエンザ発生によるニワトリの殺処分が再開。過去1カ月で400万羽が処分されている
投稿日:2025年10月10日 in deep
意味のない大量殺戮
米 NBCニュースなどによると、夏の間に停止されていた米国の鶏の大量殺処分が再開されたようです。
名目は「鳥インフルエンザの発生」で、アイオワ州の養鶏場で鳥インフルエンザ H5N1 が検出されたことにより殺処分が始まりました。
10月9日までの 1カ月で、すでに 400万羽以上が殺処分されたとのことです。
アメリカでの殺処分数は、今年 1月にピークとなり、
「 2025年1月だけで 2300万羽が殺処分された」
ことが記録されています。
その後、今年 6月からは殺処分は完全に止まりましたが、また再開されたようです。
ずいぶん以前にも書いたことがありますが、鳥インフルエンザは(発生が人為的でないのなら)基本的に世界中を周遊している渡り鳥などから感染が拡大するもので、たとえば、世界の渡り鳥の経路マップは以下のようになっています。
鳥たちはこれだけ世界中で交錯しながら周遊しているのですから、どこかひとつの地域で大量殺処分をしても意味がないのです。
これについては、2020年の以下の記事で書きました。
・世界的単位で見れば「意味がない鳥インフルエンザでの殺処分」。しかし、世界の鳥インフルエンザでの殺処分数はすでに数百万羽規模に 地球の記録 2020年12月9日
むしろ自然感染での集団免疫の機会を逃すために、実際には状況は悪化していく可能性も高いですし、そこから、人への感染が起きるということもあり得ないことではありません。
鶏の大量殺処分は米国では毎年のように行われますが、9月、10月でこの状況では、今シーズンも記録的な大量殺処分に結びつく可能性もあります。
またしても、タマゴ価格などが上昇するというほうの懸念もあります。
この無意味性に誰かが気づかないと、合理的ではない殺戮が今後も続くだけとなってしまいます。
大量殺処分の批判的な医学者の投稿をご紹介しておきます。
(続きはリンク先でお読みください) https://earthreview.net/usa-bird-flu-mass-culling-resumes/ 。。。。。。。。。
◆AIバブルは2001年に弾けたドットコムバブルの17倍。それが崩壊の瀬戸際にあるとしたら…
投稿日:2025年10月7日 in deep
収益性が崩壊しているAI業界
昨日、金融というのか市場というのか、あるいは景気というのか、やや懸念の方向性が出てきていることについて以下の記事を書かせていただきました。
・怒濤の狂乱の中でカタストロフに向かう天井が垣間見え In Deep 2025年10月6日
現在、アメリカでも日本でも、株価などを盛り上げている最大の要因は AI 関連で、仮にこの AI バブルが崩壊したら、何が起きるのかということは、なかなか壮絶な様相を想像させるものがありますが、
「どうも、このバブルは危うい状態」
のようなのです。
マーケットウォッチという金融メディアのグローバルマクロ経済担当であるスティーブン・ゴールドスタイン氏という方が、最近、AI バブルに関連した、いくつかの記事を書いていまして、それを読みますと、結構暗澹とした現実がそこにあることを知ります。
まず、わかりやすい問題として、
「 AI は全然収益を上げていないし、かかった費用を回収できる目処もない」
ことがあります。
スティーブン・ゴールドスタイン氏は、ヘッジファンドの創業者である人の記事を引用して以下のように書いています。抜粋です。
スティーブン・ゴールドスタイン氏の記事より
ヘッジファンドのプレトリアン・キャピタル創業者、ハリス・クッパーマン氏が今夏に行ったざっくりとした計算では、企業はデータセンター支出の現状水準を満たすだけでも 4,800億ドル (約72兆円)の収益が必要であり、来年の支出を満たすには 1兆ドル (約 150兆円)以上の収益が必要であるという。
その見解によって、彼はデータセンターの関係者(設計者、所有者、貸し手)と話をするようになり、自分が重大な間違いを犯したことを確信した。
結局、クッパーマン氏は計算ミスを犯していたことが判明したのだ。それはハイパースケーラー (※ 膨大なコンピューティングリソースとサービスを提供するクラウドプロバイダーの総称)にとって不利なものだった。彼は 10年の減価償却期間を想定していたのだ。
「ここ 1ヶ月間の会話に基づくと、物理的なデータセンターの耐用年数はせいぜい 3年から 10年だ」と彼は新しいブログ記事で述べている。さらに以下のように言う。
「冷却システム、チップとラックの設計、電力システム、そして全体的なレイアウトの変更は、建物自体の減価償却もかなり急速に進んでいる可能性が高いことを意味する。さらに、1〜 2年ごとに登場しているように見える新しい GPU (※ 数学的計算を高速に実行できる電子回路)のイテレーション (※ 短い開発サイクルを繰り返し、段階的に製品やプロジェクトを改良していく手法)が、実質的に以前のモデルを時代遅れにしていることを考慮すると、資本構造全体でもっと速い減価償却曲線を採用すべきだったことに気付くだろう」
クッパーマン氏の計算によると、業界は毎月約 300億ドル (約 4兆5000億円)を支出し、10億ドル (約 1500億円)の収益を得ている。
「このミスマッチは驚くべきもので、2026年には無数のデータセンターが新たに建設されるが、その存在を正当化するためには追加収益が必要となるという事実を無視している」とクッパーマン氏は言う。
いろいろと複雑なことが書かれていますが、つまり、今の AI 業界は、
> 毎月 4兆5000億円を支出し、約 1500億円の収益を得ている。
という状態なのです。まったく収益になっていない。回収できる見込みもほとんどない。
しかも、AI の場合、他のさまざまなものとは違い、
「型遅れのもの(前世代の AI モデルなど)はまったく無用になる」
わけです。
そして、開発の速度は驚くほど速く、次から次へと型遅れの遺物だけが残っていく。
「減価償却」という言葉がありますが、まったく、その言葉を適用できないまま突き進んでいるのが、今の AI 業界の実態のようです。
実は、私自身も「 AI 企業って、どうやって収益を得てるんだ?」とは思ってましたけれど、こういう数字が現実のようです。
今は GDP における AI の割合も大きいです。ゴールドスタイン氏は以下のように述べています。
クッパーマン氏の推計では、AI の実際の成長は今年の GDP の約 1.5%を占め、乗数効果を加えると合計で 2%に達する可能性がある。
富裕効果と合わせると、今年の経済成長のすべてを AI が担っていることは想像に難くない。経済の他の分野が景気後退にあると考えると、AIの貢献度はさらに高まる可能性がある。
AI バブルが崩壊すると、2001年のドットコムバブル(ITバブル)の崩壊や、2008年の金融危機(リーマンショック)などを上回るショックとなる可能性があるようなのです。
そして、この AI バブルは上で示したような「収益性の異常」が改善されない限りは、当然「いつかは弾けるバブル」のはずです。
逆に、
「 AI バブルは必ず弾ける」
と言ってもいいものだとさえ思える「理想と現実に、異常な乖離が見られる」ものなのですね。
マーケットウォッチのスティーブン・ゴールドスタイン氏は、AI バブルに関して他の記事も書いていて、それをご紹介します。わりと難しい言葉が使われている部分が多く、適度に説明を入れています。
AI に依存する今の世界は、結構危うい状況にあることがわかります。
(続きはリンク先でお読みください) https://indeep.jp/the-over-inflated-ai-bubble/ |
12/10/2025(日) 16:40:50
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