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文体診断ロゴーン / ちあき@管理人
eruさんのサイトでご紹介されていました。

物書き屋としてはヒジョーに気になるサイトです。

というわけで、サイトで書いた文章のいくつかを診断してみました(^^ゞ


−−−−−−−
■虹色のオーラ(16・決起の6)■

一致指数ベスト3

名前 一致指数
1 浅田次郎 60.7
2 阿川弘之 55.2
3 吉川英治 52.8

一致指数ワースト3

名前 一致指数
1 岡倉天心 16.1
2 岩波茂雄 19.3
3 三木清 19.7

文章評価

評価項目 評価とコメント
1 文章の読みやすさ A とても読みやすい
2 文章の硬さ E 文章が硬い
3 文章の表現力 A とても表現力豊か
4 文章の個性 A とても個性的

−−−−−−

■海のトリトン(仮)「ワレアの島」■

文体診断結果
一致指数ベスト3

名前 一致指数
1 小林多喜二 81.6
2 浅田次郎 81.4
3 松たか子 78.3

一致指数ワースト3

名前 一致指数
1 岡倉天心 26.6
2 岩波茂雄 39.8
3 吉田茂 41.7

文章評価

評価項目 評価とコメント
1 文章の読みやすさ A とても読みやすい
2 文章の硬さ C 文章がやや硬い
3 文章の表現力 B 表現力豊か
4 文章の個性 A とても個性的

−−−−−−

■ニルスのふしぎな旅 外伝■
一致指数ベスト3

名前 一致指数
1 浅田次郎 89.6
2 松たか子 79
3 小林多喜二 78.1

一致指数ワースト3

名前 一致指数
1 岡倉天心 32.5
2 岩波茂雄 43.5
3 三木清 46.6

文章評価

評価項目 評価とコメント
1 文章の読みやすさ A とても読みやすい
2 文章の硬さ A 適切
3 文章の表現力 A とても表現力豊か
4 文章の個性 A とても個性的

−−−−−−−

■ある日のブログの文章■

一致指数ベスト3

名前 一致指数
1 浅田次郎 57.1
2 吉川英治 52.3
3 大宅壮一 50.3

一致指数ワースト3

名前 一致指数
1 三木清 22.4
2 岡倉天心 24
3 井上靖 27.3

文章評価

評価項目 評価とコメント
1 文章の読みやすさ D 一文がやや長い
2 文章の硬さ D 文章がやや硬い
3 文章の表現力 A とても表現力豊か
4 文章の個性 A とても個性的

−−−−−
■ある日のブログの文章2■

一致指数ベスト3

名前 一致指数
1 野間清治 69.1
2 太宰治 68.2
3 佐高信 65.3

一致指数ワースト3

名前 一致指数
1 岡倉天心 30.7
2 伊藤正己 37.7
3 三木清 38.1

文章評価

評価項目 評価とコメント
1 文章の読みやすさ A とても読みやすい
2 文章の硬さ A 適切
3 文章の表現力 A とても表現力豊か
4 文章の個性 A とても個性的

−−−−−−−−

いつも、いい評価がもらえるわけではないのだ(笑)


決まった作家さんの特徴をあらかじめデーターに入れてるのでしょうか。
なぜか、ビミョーに似ているような…(^^ゞ

この診断では「ニルス」のような文体が「ベスト」という結果ですが、実際の診断ってどこにあるのかな…。


気になる方、試してみませんか…?

http://logoon.org/


(eruさん、話題の便乗を許してくださいね〜(^^ゞ)

No.9 - 2010/04/25(Sun) 11:23:03
拍手お礼 / ちあき@管理人
昨日、コメしようとして何度もESCを押してしまってめげてやめてしまいました;;
気分を変えて改めまして…(^^ゞ

>Sさん
ほとんどネット落ち状態でご心配おかけしてます;;
首凝り、いまいちなので、もう少し養生しますが、ネットはやめませんので、これからもおつきあいしてくださいね。
Sさんもお体お大事にしてくださいませ〜。

>Tさん
トップ、プリティーに模様替え(^^ゞ
乙女チックになりすぎた感もありますが、春だし…と思って(^^ゞ(なのに、この寒さは何…?)
ご指摘ありがとうございました。気がついてなかったです(^^ゞ
てっきり正しいと思い込んでチェックを怠ることが多くて…。
先日も、「銀河鉄道物語」の副題を間違えていたのに気づき、3年ぶりに修正しました(^^ゞ
「失われた」ってなんで表記してたんだろう。「忘れられた」なのに…;;
「ニルス」、そちらでは放送中ですか〜。
アニメの良さをフルに詰め込んだ作品だと思いますよ!
アッカ隊長、年を重ねたものだけが感じられる「萌え」ですね〜。私もあの方(ガンだけど)に憧れちゃいます〜。

アンソロ本の編集者さんと、先月、Tさんが参加されたアナログ展に行きました。
1日ずれていれば、Tさんにご紹介できたのですが…。またの機会に期待します!
「ニルス」に反応くださってありがとうごぞいます〜♪


頭痛解消と首凝り改善のために通いだした別の鍼灸院。
いいところだと思いますが、自分にはちょっと刺激がきつすぎるようで…。さらに痛みがひどくなってるこの頃。(好転(めんげん)反応かもしれないけど、過誤か見極めが難しい)
でも、体質に合わせてくださるようなので、もう一回、行ってみることにします。
これが吉とでるか凶とでるか…。

ひょっとして、これが新年おみくじで引いた「吉凶あいまじる」の正体…?

No.8 - 2010/04/23(Fri) 18:12:37
「マイマイ新子」の最新情報は… / ちあき@管理人
公式ブログで発表中。

現在上映中、または今後上映予定される地域など発表されていますので、どうか参考に!

http://blog.goo.ne.jp/maimai_1121/c/8a89dcc47ebe90edc8d9a5721150a6f1

No.7 - 2010/04/19(Mon) 13:45:46
「マイマイ新子」の特集が… / ちあき@管理人
BS2で放送されたと他所様の情報で知りました。


監督の影響か、ネットなど、一部マニアの熱意で公開されてるという印象がある「マイマイ新子」。

確かに、私が行った映画館でも拍手する観客がちらほらといた。

それはそれでいいとして、ですが、ただのマニア向けという印象だけが強調されてしまうのは…。

自分も、ネットの評判を感じて劇場にいったけど、見た後に、純粋に作品に感動して、自サイトで感想をあげようという気持ちになった。

ネットで感想をいうと、何でも「マニアの感想」で、くくられてしまいそうでちょっと不安。

「こだわり」はファンにそれぞれあるかもしれないけど、やっぱり自分が見てほしいと思うのは、アニメにこだわりをもたない若い子達。

宮崎作品ほどメジャーになれないかもしれないけど、通じるものは「マイマイ新子」にも十分あると思う。

ただ興業的なメリットを考えてか、子どもがみられないレイトショーが多いようで。

この作品の「こだわり」や「クオリティ」は、わかる人が思うだけでいいわけで、本来の「作品のメッセージ」は別にあるはず。

ネットの片隅で主張するだけで精一杯ですが、マニアだけが盛り上がるという認識が先行するのは避けてほしいと思うのです。



こんな話題で始めてしまいましたが、記事の本題は拍手お礼です〜

>Hさん
懐かしさに共感してもらって嬉しいです!
私が聞いた「アニメトピア」は、全体の極々初期のところだけで、ほんとのブームは第二期、第三期にあったようですね〜。
数年前、「アニメトピアR」というリメイクがあったそうで。
アニラジの元祖という殿堂は素晴らしいと思いますよ〜。
第三期にも、西川のりおさんが出演されていたのですか!
吉本芸人がゲストに来てくれるのも、大阪の番組ですね〜。
しかし、第二期のパーソナリティの田中真弓さん、息が長い〜。このまま第一線でがんばっていただきたい!


他のポチさんも感謝です。(同じメッセージだけですみませぬ〜;;)

No.6 - 2010/04/19(Mon) 11:14:23
拍手お礼 / ちあき@管理人
すみません〜;; 少しこもってました。
しばらくぶりにページを作ったのですが。
すっかり忘れて悪戦苦闘;;
よけいに肩が凝ってしまった(悪循環;;)
いろいろやらなければならないと思いつつ、もう少し養生させてくださいね。(でないと頭痛が治らん;;)


めげずに拍手お礼です〜

>こっそりさん
90000お祝いコメ、嬉しいです〜♪
何もせずにカウンターだけが回ってた現状。本当にすみません〜;;
最近はもっぱら拍手メッセージのほうが多いので、レス必要ないか〜とばっさりカット!
ミョーなところは潔いのですが、「やっぱり復活」という意見が増えたら、また考えてみたいです。
(そんな要望はないと思うけど(笑))

>SSもイラストも両方楽しめるサイト
気が多いせいで、ますますわけわからん範囲にまで広がってます。
これでいいのかな〜?
「いいとも〜」といってもらえたら最高なんですけど…(^^ゞ
ブームに弱いやつで、すぐに話題のものに飛びつこうとする節操なさもありますが、「宣誓、これからもわたくしは〜、「萌え全開」をアピールし〜、わが道を貫くことを誓います〜」(笑)

こっそりさんの楽しいコメントを拝見するのが、密かなお楽しみになってます〜。
ええっ。もう種類は問いませんので、どんどんと突っ込みしてくださいまし〜♪

例の申し出は、くれぐれもご無理がないように♪(でも、密かに期待してます〜♪)


>Kさん
ご無沙汰してます〜。
お祝い、ありがとうございます!
思いついたことを何も考えずにいっちゃう無節操サイトですが、共感してもらえるものがあれば最高です!

>枚パー
関西人なら誰もが通じるご当地テーマパーク。
まさか100年を迎えるほど続くとは思わなかったです(^^ゞ
私ももう何十年もいってないので、どうなってるか想像がつきませんが、今年は100周年記念行事とかがありそうですね。
私も関西に戻ったら、CM、チェックしたいです。

>三谷ドラマ
実はまだ最終話だけが見られてないという…(^^ゞ
玉山鉄二さんは、柴咲コウさんが演じた長女の最初の婚約者役でした。大浦竜伍さんのキャラが地味すぎて、わかりずらかったかな…(^^ゞ

ほとんど「組!」の役者さん目当てでみてたこのドラマ。
まさか、明里さんまで出演されるなんて♪
一応、メインは副長に沖田くんに鴨。武田観柳斎に永倉さん。後、八木源之丞に佐藤彦五郎、佐久間象山、西郷隆盛にお登勢さんも出演されたという…(笑)
もう一度、ドラマできるじゃん!と思ったのは贔屓目ですが。とっても懐かしいメンツでした。
Kさんも同じ趣味で嬉しいです〜♪



>Mさん
遊びにきてくださってありがとうございます〜。
いろいろお忙しかったのですね。リンクのお知らせくださってありがとうございます♪
見に来てくださるだけでありがたいことです!
こちらこそ、ロムばかりで失礼してすみません〜;;
私の方もまた遊びにいかせてくださいね〜。


他のポチさんもありがとうございます〜。


TEXTにあげたのは前の文章ですが、改めて再録しなおしましたので、興味があればみてくださいませ(^^ゞ

No.5 - 2010/04/14(Wed) 20:17:57
90000ヒットしました / ちあき@管理人
のべ90000ヒット達成しました。
所用でバタバタして、すぐに何もできなくて心苦しいですが、次の更新の励みにします!
皆様、ここまで応援くださってありがとうございます。
そして、これからもよろしくお願いいたします!

No.4 - 2010/04/11(Sun) 12:27:56
拍手お礼です・・・! / ちあき@管理人
>こっそりDさん
オサレですか〜? 嬉しい突っ込み、ありがとうございます〜。
最近、お絵かきしてないので心苦しいですが、少しづつリハビリがんばります〜。

他のポチさんもありがとうございます♪

No.3 - 2010/04/04(Sun) 11:54:15
トリトン外伝は残します。 / ちあき@管理人
この文章は過去ログからこちらに転載しました。
連載形式をとりますので、つなかりを明確にするためです。
ご了承くださいませ(^^ゞ
−−−−−

(仮)「ワレアの島」

注)このSSは、先の「管理人日誌」とまったくリンクしていません。独立した話です。
また、これは勝手な「理想」です。
「本編」と食い違うところが多々ありますがご了承ください…

(トンさんへ…素敵なお話のイメージをいただき感謝いたします)


−−−−−−−−−

  (1)


 「あの日」から幾日が過ぎただろう。
 思えば、そんなに時間はたっていない。
 だが、「あの日」がもう遠い出来事のように感じられる。
 大西洋を旅立って数ヶ月後。
 いつのまにか、南の無人島に、トリトンはたどりついた。
 そこでは、イルカを中心に海の生き物達が、またあの頃のようにトリトンの周りに集まってきた。
 凱旋したかのような盛り上がりに、トリトンは嬉しさと困惑を覚えた。
 嬉しかったのは、一度、火山の爆発で消滅したはずのイルカ島が、ちゃんとイルカ達の努力で再建されていたことだ。
 彼らのゆるがない生命力の強さを身近に感じたトリトンは、大きな活力を得て心を弾ませた。
 が、その反面、ますます英雄のように称えられることが辛かった。
 いつかは忘れられるだろう。いや、忘れてしまわなければ…
 心に芽生えて住みついた複雑なわだかまりを打ち消すように。
 トリトンは、その日から暮らしの向上に努めだした。
 気がつくと、毎日、何かの道具を作ることに没頭している。
 ゆったりした環境の中で、唯一、トリトンが打ち込めるもの。
 そんな暮らしになじもうとすればするほど、心のひずみはしだいに大きく膨らんだ。
 島に着てから大きな変化があった。
 ピピの思いもよらない成長。
 トリトンとって、それが何よりの希望のはずだった。
 なのに。
 その喜びさえも、心の傷は容赦なく奪い去る。
 日々は自然に流れていく。
 しかし、トリトンの心は「あの日」のまま、少しも流れていない。
 人知れずうなされて、満足に寝られない日がどれだけ続いたか…。
 トリトンは、ようやく気がついた。
 周囲からどう思われようと構わない。
 自分がそこにいるだけで、ピピやイルカ達に迷惑をかけてしまうなら…。
 その日の朝、代表のイルカ達の前で、トリトンは芽生えた気持ちを静かに打ち明けた。
「…俺、しばらく一人で旅に出ようと思う…」
 思わぬ言葉は波紋のようにイルカ達の中に広がった。
 動揺しつつも、冷静さを欠かさないよう努めるルカーが、躊躇いがちにいった。
「どうしたのですか? 突然…」
 トリトンは視線を落とした。
 しばらくの間をおいて、ポツリといった。
「…いろいろありすぎて、疲れたんだ…。一人でいる時間がほしくなった…」
 ずっと一緒にいたイルカ三兄弟の次男坊、カルが文句をいった。
「ここがそんなに気に入らないのかい?」
 三兄弟の長男、イルが軽い口調で言葉を添えた。
「のんびりしてていいとこじゃん。邪魔者は誰も来ないし。俺達の好きにできるんだぜ」
 トリトンはかぶりを振った。
「それはわかってる。ただ自由が許されるなら。一度、そうしてみたいんだ」
 自嘲気味に笑みを作ると、トリトンは続けた。
「ずっと前から考えていた…。どこかで…。この気持ちを清算しないと…。俺自身が変になっちまうって…」
 カルはますます目くじらをたてた。
「もう十分、変だよ。この島に着てからいつもぼーっとしてさ〜。なんか、元気なさげだし」
 ルカーの参謀として、戦いの後に合流した若いオスのイルカ、ラグーンもトリトンを責めた。
「しっかりしてくれよ。戦いは1年も前に終わっちまったんだぜ」
「そうだな」
 同意しながらも、トリトンは他人事のように返した。
「だから、どこに行っても安全なはずだ」
 ルカーは、ハッと思いついて口にした。
「まさか…。おじいさんの元に帰るなんてことを…」
 トリトンは思わず目を見開いた。
 しかし、すぐに笑みを作ると軽く首を振った。
「あそこにはもう戻らない。そう決めて、あの時に出てきたから…」
「とかなんとかいっちゃってさ〜。ちゃっかり陸の人間に戻りました〜じゃ、卑怯だぜ」
 イルが突っ込みを入れると、トリトンは肩をすくめた。
「ありえないよ。あのままじっちゃんとこで暮らしてたって、いずれ、あの村を出て行くことになっただろうからね」
「知ってたの? ルカーが迎えに来るって」
 三兄弟の末っ子、フィンが驚いたようにいうと、
「まさか。進学っていって、高校生になったら、別の学校に行くことになってたんだ。そうなったら、じっちゃん家にいられないだろ」
 トリトンは呆れた口調でいった。
「なんかよくわかんないけど、「進学」っていうの、今、やるつもりかい?」
 カルが聞いた。
「学校に行ってなきゃ、「進学」できないよ」
 トリトンは答えた。だが、すぐに笑顔は消えた。遠い視線を海に向けた。
「そういうことじゃないんだ…」
 一同は押し黙った。
 どうにもできない空気が漂った。
 その時。
 ざっと砂浜を踏みしめる音を聞いて、彼らは視線を向けた。
 白いドレープのワンピースを着た金髪の少女が取り巻きの中に入ってきた。
 トリトンと同族の少女、ピピ。
 人間の少女の姿に変貌したピピは、堂々とした風格も身についた。
 それは、海の生き物達からも女王としての敬意を受けるほどだ。
 不安げにピピは聞いた。
「トリトン、もうここには戻ってこないつもり…?」
「いや…。俺にはここしか帰ってくるところがないから…」
「でも、行ってしまうんでしょ?」
 トリトンが笑顔で言い聞かせようとしても、ピピの気持ちは揺らいだままだった。
「信じてくれよ。ほんの少し、考えたいことがあるだけだ」
 いいながら、トリトンはピピの前に近づいた。
 目の前で、肩に巻きつけていたマントをはずすと、ピピに差し出した。
「これを預けておく」
 目の前に出された赤い布を見つめ、ピピは身をすくませた。
「マント…。はずしていくの…?」
 トリトンはかすかに頷いた。
「トリトン族の服とは意味が違うかもしれない。でも、前に聞いたことがある。ギリシャ人が赤いマントをつけるときは、寒さを防ぐ以外に戦いに赴く時だって。戦いはもう終わった。だからもう、これは必要ないんだ」
 震える手で、ピピはトリトンのマントを握り締めた。
 トリトンが海に戻った時から、ずっと身につけられていたそれは、すっかりくたびれて色あせはじめている。
 そのマントが、今のトリトンと重なっているように思えた。
「トリトン、あなたは変わってしまったの? 違うよね? 私は何も変わってない。だったら、トリトンだって…」
 ピピは言葉をなくした。
 トリトンに優しく抱きしめられた。
 息を飲むピピの耳元に、トリトンは優しい声をかけた。
「…変わっただろ? ピピは…綺麗になった…。前よりもずっと…」
 トリトンはピピをから離れると、ゆっくりと背を向けて歩き出した。
 胸元にマントの裾を手繰り寄せて、ピピは去っていくトリトンの後姿を切なげに見つめた。
 イルカ達がトリトンを引きとめようと、呼びかけ、ジャンプし、パフォーマンスを繰り返した。
 その合間を抜けて、トリトンは海の中に消えていった。
「ねぇ、いかせちゃっていいのか?」
 イルカ達は、我先にトリトンを追いかけようとした。
 その様子を見ていたピピが、突然、叫んだ。
「みんな、待って!」
 イルカ達は泳ぎをやめて、陸に立ち尽くすピピを見上げた。
「ピピ、トリトンを追いかけてはいけませんか?」
 ルカーがいった。
「待ちましょう」
 ピピは自分の思いを打ち明けた。
「私はこの一年、ずっとトリトンを和ませようとがんばってきたわ。でも…。トリトンの心はあれからずっと閉じたまま…。私にはもう思いつかないの…。だったら、トリトンの思うとおりにさせてあげても…」
「でもさ〜」
 カルが反論しかけると、ピピはさらに主張した。
 トリトンは自分達のことを思えば思うほど、自分の気持ちを押し隠して無理しすぎてしまうと…。
「逆にトリトンの優しさに私達が甘えてしまうわ…。トリトンはそれほど優しい人なのよ…」
「それが、トリトンのためだと…思うのですね…?」
 ルカーはフッと頭を下げた。
「ルカー、お願い。私を信頼して…」
 ピピは強く彼らに訴えた。
 だが、不安な気持ちはいっそう深くなった。




 数日、トリトンはあてどもなく、太平洋の真ん中を泳ぎ続けた。
 途中、夜が来ると、近くの島に上陸して野宿をした。
 一人になって、何が変わるのか。
 孤独と静寂。
 昼間は黙々と泳ぎ続ける。
 後は何も考えられずに眠りにつく。
 少しだけ眠りが深くなった。
 それだけはありがたいと思えた。
ー問題はこの先か…ー
 木陰で体を丸めながら、トリトンはふっと考えた。
 生きていくのは簡単だ。
 だが、「あの日」から生きる術をなくした自分は、何を目標にすればいいのだろう。
 生きる目標を探すとしても、いったいどこから。そして何を…
ーまるで荒行やってる修行僧だな…ー
 挙句の結論は、そんな揶揄めいた皮肉だった。
ー俺はあの時、一緒に死んでいればよかった…。たぶん、それが一番正しい選択だったんだ…ー
 トリトンは顔を歪めた。
 いつも同じ疑問。そして、同じ結論になる。
ーこんな悩みに押しつぶされるのはもうごめんだ…。他の何か…。別の何かがあればいいのに…ー
 悶々としたまま、また新しい朝を迎える。
ー繰り返される毎日…。だけど、俺は死んだのと同じだ…ー
「死んだ人間は…どこに行けばいいのかな…」
 トリトンはぼんやりと立ち上がった。
 朝まで燃やした焚き木を素早く消して、また海に向かおうとした時だ。
 突然、喧騒を目撃した。
 トリトンがいる島の数キロ先の沖で。
 数隻の小型船が抜きつ抜かれつの競り合いを起こしている。
 ただの競争ではない。
 船員の何人かは銃でお互いを撃ち合っている。
「一体、何が…」
 トリトンに緊張がみなぎった。
 このまま見過ごせば巻き込まれない。
 しかしー
 動揺が高まった。
 力をこめて握った拳が小刻みに震えた。
 状況は最悪の展開を迎えた。
 競り合う片方が、相手の船に手榴弾を投げ入れた。
 とたんに一隻が爆発した。
 船員の何人かが吹き飛ばされた。
 はっきりと炎に焼かれた人間を見てしまった。
 さらに、互いの攻防は烈火する。
 激しく呼吸を繰り返すトリトンの精神は、瞬間、突き動かされた。
 もうごめんだ、戦いは。殺しあうのは…!
「やめろ!」
 トリトンは反射的に海に飛び込んだ。
 猛然と沈む小船に泳ぎよっていく。
 先はわからない。
 おぼれた人を助けたい。
 その一心の行為だ。
 またもう一艘、別の漁船が爆発した。
 攻防はやっと静まった。
 やられた側の船団が、ようやく逃走のために進路を変えた。
 漂う油の下の海中を、トリトンは夢中で泳ぎ回った。
 助けられそうな人間を必死で探す。
 そして、やっと一人の若者の体を抱きかかえた。
「しっかりしろ!」
 若者は意識を失いかけている。
 普通の人間はトリトンのように海の中で呼吸する能力がない。
「くそっ…」
 とりあえず、一度、海上に出なければ。
 トリトンは油の海域を急いで離れると、青年とともに海上に頭をだした。
 目前に船が通り過ぎようとしていた。
 わかっていたが、他に方法がなかった。
「おいっ!」
 トリトンが船に向かって叫んだ。
 すると、銃を構えた男がトリトンを睨みつけた。
「まだ生きていやがったか! このゲリラ野郎!」
 トリトンが否定する間もない。
 即座にライフル銃が連射される。
「わっ!」
 トリトンは慌てて海の中に身を隠した。
 が、わずかに対応が遅かった。
 直前、肩口に激痛を感じた。
 鮮血が飛び散った。
 海面を自身の血が染めていく。
 同時に意識が薄れた。
 体の力が抜けて、抱きかかえていた青年の体を手離してしまった。
「そんな…」
 愕然としながら、トリトンは海底に落ちた。
 光が遠く消えていく。
 トリトンの意識がなくなった。



ーーーーーーーーー
 潮騒の調べがトリトンの耳に穏やかに響いた。
 暖かな日差しが上半身に降りそそぐ。
 まだ意識はぼんやりとしている。
 しかし、どこかの浜辺に打ち上げられたことは認識できた。
 トリトンの頭の方で光が遮られた。
 同時に犬の鳴き声がした。
「しっかり。しっかりしたまえ、君…!」
 トリトンには犬の鳴き声も「人の言語」として伝わる。
 相手はオスの大型犬だ。
 さらに、人間の子どもの声も聞こえてきた。
「お爺さん! 生きてるよ、このお兄ちゃん!」
「待ちなさい。この子は怪我をしている。急に動かすと危険だ」
 トリトンはそっと目を見開いた。
 ぼやけた視界に入ってきたのは、10歳くらいの黒人の子どもと、優しい笑顔を浮かべる白人の老人だ。
「…………」
 トリトンはかすかに息を漏らした。
 言葉が出てこない。
 老人は頷くと、優しく声をかけた。
「無理せんほうがいい。もう大丈夫だよ」

 
 トリトンは、この出会いをきっかけに、ある事件を知るのだ。

No.2 - 2010/04/01(Thu) 18:40:55
新掲示板仕様です / ちあき@管理人
お待たせしました。
シンプルな仕様に変更しました。
アップロード機能が省略された以外は、今までのものと変わりません。
最近の使用頻度にあわせて、レス機能を省略しましたが、様子をみながら少しづつ改善していきます。
当面はこちらの形式でよろしくお願いします。

No.1 - 2010/04/01(Thu) 18:32:23
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