黒澤明は音楽の使い方が上手い。「天国と地獄(High&Low)」で、刑事が死体を発見するシーンに流れる音楽を、本当はプレスリーの「イッツ・ナウ・オアー・ネバー」を使いたかったそうだが、使用料の関係とかで元歌の「オー・ソレミオ」になったとか(このシーンは映画の音声を消して「イッツ・ナウ・オアー・ネバー」をかけて見ると、黒澤さんの狙いが判る)。小津安二郎の魅力的な失敗作「東京暮色」の、都落ちする夫婦の上野駅のシーンには明大の応援歌が延々と流れる。哀しいシーンにポルカを流す小津ならではのセンスだろう。
映画の主題歌は別として、映画の中にチエミさんの歌が流れたものは? 日本では遺族の意向で上映されなかった、ポウル・シュレイダーの「MISHIMA」に「チェンジング・パートナーズ」が流れる。若い作家(三島)が恋人の男の子に呼び出されて、心変わりをなじられるシーンに聞こえる。歌の題が何とも意味深だが、チエミさんの乾いた歌声がカッコ良かった。 オムニバス形式のこの映画の「鏡子の部屋」の部分には、TV画面の中に雪村さんの「スィート&ジェントル」が白黒画面で出て来る。ジャンケン娘からの借用である。
美空さんの歌が映画のシーンに流れたものは?ある意味戦後の象徴みたいな人だから、沢山ありそうだが。
今村昌平は美空さんのファンだったのか?「にっぽん昆虫記」の主役に美空さんを交渉したとかで、(ゴシップでは)美空さんが「何でアタシが昆虫記なのヨォ〜」と怒ったらしい。「赤い殺意」のキャバレーの屋上のシーンでは、楽団員が下手糞なトラペットで練習しているのが「りんご追分」で、これも延々と流れる。しょぼい楽器の音色が、この映画の重喜劇的なノリに効果的だったと思う。
昭和27年の新東宝「東京のえくぼ」は松林宗惠監督第一作だが、主題歌の歌詞に ♪街に流れる「テネシーワルツ」・・・・とあるので、テネシーワルツが当時のビッグヒット だったことが判る。 直接テネシーワルツが流れる訳ではないが、DVDで見て何だかうれしかった。
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No.252 - 2007/07/21(Sat) 22:25:58 [p2193-ipbf610fukuokachu.fukuoka.ocn.ne.jp]
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