「キスミー・ケイト」(昭和41年2月東宝劇場)の劇評を、かねてより探していたが、 それの載った「演劇界」を、先日やっと見つけた。 「演劇界」は歌舞伎中心の演劇誌なので、当時は特にミュージカル等の扱いは小さかった が、異例の2頁見開きグラビアの舞台写真もあった。このチエミさんは、実に生き生きと 自信に満ち、輝いて美しい。 当時20歳の私はこの舞台を見ている。楽しかったし素晴らしかった。 チエミさんにとって、誇り得る立派な「仕事」であり「成果」であった。
素適なチエミさんの写真とは別ページの批評にはこうある。 「江利チエミと宝田明は熱演でよく役をこなしているが、『ソウ・イン・ラブ』や 『夢に見たあなたの顔』などの歌は、コール・ポーター独特の甘美さを持って いるとは云え、うっとりするほどではなかった」(原文ママ、市川雅=舞踊評論家)
チエミさんの歌唱に甘さが不足とは「アニーよ銃をとれ」の「ゼイ・セイ・イッツ・ ワンダフル」等でも、既に同じ「演劇界」で安部寧氏が指摘している。 但し、私はこれはチエミさんの特性で「しっとり」ではなく「あっさり」「さっぱり」 「歯切れ良く」歌うからこそ、「江利チエミ」なのだと思う。そう言うチエミ唱法に 「うっとり」するんだけどね、私は。
私の隣の席のママと一緒に来ていた坊やが、舞台にチエミさんが出て来ると 「サキコさんダッ!」・・・「・・・サキコさん」とつぶやきながら、大いに笑い、 飽きもせず眠りもせず、楽しんでいた。(咲子さんちょっと、がいかに人気があったか)
チエミさんは満を持して「レコーディングも済んでるの」と語っていたが、公演の後半が 「東宝演劇部の屋台骨を揺るがす不入り」(菊田一夫)で、翌月の名古屋公演を主役交代 となり、このミュージカル自体封印された感があった。
しかし、先入観のない若いファンの皆さんにも、是非このミュージカルを知ってもらい たいと思う。レコーディングされた音源はキングにある筈だ。久保家にはないのか? 宝田さんは持っていないのか?実は「でぶりライブラリー」に既にあるのでは?
まぁ、オヤジのグチはともかく、チエミさんの素敵なこの笑顔を見てやって下さいな!
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No.298 - 2007/08/06(Mon) 15:55:41 [p2064-ipbf607fukuokachu.fukuoka.ocn.ne.jp]
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