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百部隊の燃料庫は、まだ真黒い煙を吹き上げている。 鉄筋造りの弾薬庫は穴だらけだ。宿舎・教育棟・発動機整備棟など 百部隊の施設は全滅だ。
航空廠と飛行場を結ぶ誘導路は軍の生命線であるだけに、 米軍は一生懸命、破壊しようと、狙ったのだろうが、 飛行進路を直角に横切る誘導路には仲々命中しなかった。 その中で唯一の成果は、菊池橋(通称爆弾橋)袂の道路を 半分抉り橋脚を露出させたのが唯一の戦果だろう。 航空廠のシンボルとも謂われ、偉容を誇った機体工場。 青い色に輝いていた総ガラス貼りの大きな妻、 見学で機体工場の横を通る毎に、新鋭機の姿と共に若人を 魅了してやまない、憧れの機体工場ーーー今は無惨にも 鉄骨は垂れ下がり、スレートは吹き飛ばされ飛行機の残骸は 隅に押し付けられ燻ぶっている。ガラスを吹きとばされた 西側の妻には破れ残った白いカーテンが、鉄格子を慰めるように、 優しく旗めいていた。 工場前のエプロンには九七式重爆が無惨にも焼け落ちて 原型を止めず。先輩が2年半の歳月を費し修理を終えたところ だったという。此の九七式重爆は昭和12年製造発注、 支那事変で活躍した飛行機で戦争末期には特攻機として 熊本の健軍飛行より沖縄の飛行場に突入したという。
工場には爆弾が5発命中していたが意外にも穴は小さく浅い 直径3〜4m 深さ2m位だったように記憶している。 瞬発信管はコンクリート床の場合、地中に深く潜ることなく、 瞬時に爆発するので、広く地上のものを破壊する。 穴が小さく浅いのはその故かなァ……と、今もって疑問に思っている。
つづく 〜追伸〜 全編の約半分のところまで、書き込みさせて頂きました。 後半のもう半分、お付き合い頂ければ嬉しく思います。 どうぞ、よろしくお願い致します。 今回も、読んで下さりありがとうございます。
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No.1367 2010/04/03(Sat) 03:00:42