| こんにちは、勉強していてどうしても分からない問題に出くわしました。 解法又はヒントをお願いします。どうか宜しくお願いします。 問題 a,b,c,d,は、正の数であるとする。 不等式 s(1−a)−tb>0 −sc+t(1−d)>0 を同時に満たす正の数s,tがあるとき、二次方程式 x^2−(a+d)X+(adーbc)=0 は、−1>X>1範囲で異なる2実数解を持つことを示せ。
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No.3278 - 2009/06/15(Mon) 01:14:00
| ☆ Re: / 河童 ♂ [中国] [塾講師] | | | | けん太郎さん、はじめまして。河童です。
ポイントは、連立不等式
s(1−a)−tb>0 −sc+t(1−d)>0
を満たす、s, t が存在するための必要十分条件を求めることです。 それが求まるまで、問題の2次方程式は放っておきます。
このふたつの不等式は、s と t について、どちらも1次式になっています。 このような場合は、s と t の比を考えます。 つまり、s/t または t/s について連立不等式を解きます。
さて、このふたつの不等式をどうすれば、s/t (わたしは t/s で解きました)の式になるでしょうか?
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No.3283 - 2009/06/15(Mon) 13:37:25 |
| ☆ Re: / 浪人生けん太郎 ♂ [近畿] [高校1年生] | | | | > けん太郎さん、はじめまして。河童です。 > > ポイントは、連立不等式 > > s(1−a)−tb>0 > −sc+t(1−d)>0 > > を満たす、s, t が存在するための必要十分条件を求めることです。 > それが求まるまで、問題の2次方程式は放っておきます。 > > このふたつの不等式は、s と t について、どちらも1次式になっています。 > このような場合は、s と t の比を考えます。 > つまり、s/t または t/s について連立不等式を解きます。 > > さて、このふたつの不等式をどうすれば、s/t (わたしは t/s で解きました)の式になるでしょうか?
こんばんは、河童先生。ご指導宜しくお願いします。 先生のメール以来、ずっと考えました。 それで、t/s ということですから、sで式全体を割るのですね?すると 1−a−t/s×b>0 −c+t/s×(1−d)>0 となると思うのですが。 あっ! なんかちょっと分かりました。 それぞれの不等式を 1−a>t/s×b t/s×(1−d)>c としたらいいように思うのですが。 そして辺々かけると、 (1−a)×t/s×(1−d)>t/s×b×c ですよね。 そして両辺をt/s>0 で割ると、(1−a)×(1−d)>b×c となりました。 これは、展開すると、1+ab−a−b>bc となります。 でも、ここからどうしていいか分かりません。
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No.3303 - 2009/06/17(Wed) 23:36:08 |
| ☆ Re: / 河童 ♂ [中国] [塾講師] | | | | けん太郎さん、こんばんは。 あ、そうそう、このスレは、けん太郎さんとわたしだけの、一対一の学習の場ですので、引用はあまり必要ありませんよ^^ ただでさえ、わたしの回答は長いですから(汗;)がははは(^_^;)
さて、けん太郎さんの処理はたいへんエレガントに思えるのですが、実はちょっと問題があるんです。 2点挙げますね。
まずは、その一。
> sで式全体を割るのですね?すると > 1−a−t/s×b>0 −c+t/s×(1−d)>0 となると思うのですが
その通りで、s で割るのはいいのですが( s > 0 ですから問題ないですね )、 2行目で展開したのがちょっとマズイかな。
あ!!展開してないですね。ごめんなさい。(^_^;) 投稿した後気付きました。これは編集で書いています。 展開については一般論として読んでください。ほんとにごめんなさい。
問題の連立不等式はこうなってますよね。
s(1−a)−tb>0 ……(1) −sc+t(1−d)>0 ……(2)
何故、最初から展開してないんでしょ?そう思いません? わたしには、「このまま扱ってくれよ」という出題者の意図のように感じられますが。そう思いません? もし、このまま扱うと、こんな風になります。
( 1 - a ) > t/s × b ……(3) t/s ( 1 - d ) > c ……(4)
ここまでくると、t/s について解きたくなりませんか?わたしの前回のレスでも、そう書きましたね。 そこで、(3)の両辺を、b で割るのですが、b>0 ですから、問題ないですね。 また、(4)の両辺を、1 - d で割るのですが、t/s も c も正ですので、1 - d > 0 で、これも問題ないですね。 どうでしょう? こんな不等式が得られますよね。
c / ( 1 - d ) < t/s < ( 1 - a ) / b ……(5)
では、次に、その二です。
> それぞれの不等式を 1−a>t/s×b t/s×(1−d)>c としたらいいように思うのですが。 > そして辺々かけると、 (1−a)×t/s×(1−d)>t/s×b×c ですよね。 > そして両辺をt/s>0 で割ると、(1−a)×(1−d)>b×c となりました。
実は、結果的には正しいものが得られているんです。それは、次の回答でお話しますね。 でも、わたしが上でやった変形と比べてみてください。違いが分かりますか?
わたしがやった変形で最後に出てきた (5) の不等式は、元の連立不等式と同値ですね。 分かりますか? では、けん太郎さんが導いた
(1−a)×t/s×(1−d)>t/s×b×c
これはどうでしょう? 元々はふたつの不等式だったのが、ひとつになっていますね。おかしいですね。何故でしょう? 実はこの変形は、必要条件を出してしまったんですね。元に戻るの、たいへんでしょ? この問題に関しては、たまたま、これでもいいんですよ。 でも、今後このような問題を扱うときを考えて、わたしの変形を真似てくださいね。
ここまではいいでしょうか?
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No.3307 - 2009/06/18(Thu) 02:57:41 |
| ☆ Re: / 浪人生けん太郎 ♂ [近畿] [浪人生] | | | | 河童先生、こんばんは。 丁寧な御指導をいただいて、ありがとうございます。 展開しないで扱ってくれよ、という出題者の意図は、なんとなくわかるような気がします。 でも、河童先生にはっきりと指摘をしていただき、そうなんだと改めて納得しました。
今回、僕にとって一番の難所は、不等式の変形が同値変形なのか、必要条件だけになってしまっているのか、というところです。そこの見極めがつかないのですが。 判断基準はなんでしょうか?どう考えたら違いがはっきり分かるでしょうか?
それと、今回、初見で全く手がつけられない問題だったのですが、河童先生に不等式をt/sについて解くようにとご指導いただいて、少しは式変形できたのですが、この後がまるで方向が掴めません。
返事の書き方に不慣れで、引用してしまいました。すみませんでした。
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No.3318 - 2009/06/20(Sat) 18:22:01 |
| ☆ Re: / 河童 ♂ [中国] [塾講師] | | | | けん太郎さん、こんばんは。
> 返事の書き方に不慣れで、引用してしまいました。すみませんでした。
とんでもない。わたしこそ、つまらないことを言いましたね。ごめんなさいね。
では、いきましょう。
けん太郎さんが最後に出された式
> 1+ab−a−b>bc (あっ、ab は、ad のミスですね)
これを左辺に移項した
> 1 - ( a + b ) + ( ad - bc ) > 0 ……(6)
これを利用して、とりあえず、問題を片付けてしまいましょう。 ところで、(6) の式は、どっかで見た記憶がありません? まあ、それはあとのお楽しみとして……
実は、わたしの式変形でも、(6) とまったく同じ式が出るのですが、 何故、同じ式が出るのかとか、同値、必要条件など、けん太郎さんが一番気になっているところは、問題を片付けてからお話ししますね。 とりあえず今は、けん太郎さんの式が正しいとしてやってみましょう(というより、ほんとに正しいんですが^^)
ちょっと問題を整理しますね。
問題を解くのに必要な材料は、
0 < a < 1 , 0 < d < 1 , b > 0 , c > 0 ……(7)
1 - ( a + b ) + ( ad - bc ) > 0 ……(6)
このふたつです。 (7) の条件は忘れがちですので注意してください。a と d の範囲は、よろしいですか?
さて、それでは、問題の2次方程式の判別式と、左辺を f(x) とおいたときの、f(1), f(-1) の値、 それから、y = f(x) のグラフの軸の位置をそれぞれ出してみてください。
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No.3321 - 2009/06/21(Sun) 00:00:47 |
| ☆ Re: / 浪人生けん太郎 ♂ [近畿] [浪人生] | | | | 河童先生、こんにちは。いつもご指導いただいてありがとうございます。
まず、先生から与えていただいた課題の結果から書きます。 判別式は、 D=(a+d)^2-4(ad-bc)>0 軸の存在範囲は、 -1<1/2(a+d)<1 なので -2<a+d<2 それから f(1)=1-(a+d)+(ad-bc) f(-1)=1+(a+d)+(ad-bc) となりました。
あっ! 先生の(6)の不等式の左辺と同じ式があります。f(1)=1-(a+d)+(ad-bc)ですね。 あ〜なるほど、そういうことだったんですね。ちょっとグラフを書いてみますね。 1つ分かりました。y=f(x)が、-1<x<1の範囲に2つの解を持つには、判別式>0となり、 軸が、-1<x<1 の範囲に存在に無ければならず、f(1)>0となって、f(-1)>0とならなければならない。 そうでしたよね。
そして、条件不等式をとにかく変形させたのが 1-(a+d)+(ad-bc)>0 で、つまりf(1)>0を証明できてるってことですね? 先生、ありがとうございます。1つ分かりました。
しかし、0 < a < 1 , 0 < d < 1 , b > 0 , c > 0 の条件のうち、最初の二つの不等式 0 < a < 1 , 0 < d < 1 がどうしてそうなるのか、分からないのですが。
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No.3323 - 2009/06/21(Sun) 15:53:22 |
| ☆ Re: / 浪人生けん太郎 ♂ [近畿] [浪人生] | | | | 河童先生、こんばんは。
これまでの式変形などを振り返っていたら、1−a>t/s×b t/s×(1−d)>c というのがあって、よく考えてみたら、文字は全て正の数なので、1−a>t/s×b>0であるし、 t/s×(1−d)>c>0であるから、1−a>0、1−d>0 となることに気付きました。よって、0<a<1、0<d<1 となることは、了解しました。
そうすると、この二つの不等式を辺々たすと、0<a+d<2 となりました。しかし、軸の存在範囲とは、完全に同じにはなってませんが。でも、−1<x<1の範囲内に軸があることは、証明されたような気がするのですが、いかがでしょうか?
次に、判別式ですが、展開すると、D=a^2+d^2+2ad-4ad+4bc=a^2+d^2-2ad+4bc=(a-d)^2+4bc>0 俊樹変形して、証明できました。
最後は、f(-1)>0 の証明ですが、これがうまくいきません。
ここまでの僕の考えはいかがでしょうか? それと、f(-1)>0 の証明は、どうしたらいいでしょうか?
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No.3331 - 2009/06/23(Tue) 00:38:17 |
| ☆ Re: / 河童 ♂ [中国] [塾講師] | | | | けん太郎さん、こんばんは。
返事が遅くなり申し訳ありません。 6/21 のけん太郎さんの返信で、課題の結果の部分の、判別式と軸の部分が気になり、 ひょっとしたらけん太郎さんは問題を勘違いしているのかなと思い、さて、どう回答すればいいだろうと悩んでおりました。 今日のお返事を見て、安心しました^^
さて、まず、軸に関してですが、軸は x = (a+d)/2 ですので、0<a+d<2 から、0<(a+d)/2<1 となり、確かに -1<x<1 の範囲内ですね。
判別式に関しては、最高です!!
f(-1) についてですが、f(1) と比べてみてください。 明らかに、f(-1)>0 であることが分かりますよ。 証明としては、f(-1) - f(1)>0 をいえば良いと思います。
とりあえず、これで問題自体は片付いたと思うのですがどうでしょうか。
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No.3332 - 2009/06/23(Tue) 01:09:38 |
| ☆ Re: / 浪人生けん太郎 ♂ [近畿] [高校1年生] | | | | 河童先生、こんにちは。 お返事いただいて、ありがとうございます。
判別式のところ、先生に誉めていただいて、とても嬉しいです。ありがとうございます。
最後のところは、f(-1)-f(1)>0 を示すわけですね。なるほど、納得しました。つまり、 f(1)=1-(a+d)+(ad-bc)であり、f(-1)=1+(a+d)+(ad-bc)なので、1+(a+d)+(ab-bc)-1+(a+d)-(ad-bc)=2(a+d)>0 ですね。 するとf(1)>0であるから、合わせて考えると、 f(-1)>0 となるということですね。河童先生、とてもよく分かりました。ありがとうございます。
ところで、最後に悩んだf(-1)>0 の証明ですが、その後、僕なりにこんな風に考えてみました。
これまでの経過で、軸が 0<(a+d)/2<1 の範囲内にあること、f(1)>0 であることが 証明されたので、二次関数のグラフの対称性より、f(-1)>0であるといえる。というのは、 どうでしょうか?
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No.3342 - 2009/06/24(Wed) 11:41:55 |
| ☆ Re: / 河童 ♂ [中国] [塾講師] | | | | けん太郎さん、こんばんは。
なかなか冴えてますねえ^^
だからこそ、f(-x)>f(x) が言えたんですね。 というか、当たり前だったわけですね。
今までの経過から分かったと思いますが、問題の後半は単なる2次関数の解の配置問題で、 前半の式変形で問題が解けるかどうかが決まってしまいましたね。
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No.3351 - 2009/06/26(Fri) 00:08:39 |
| ☆ Re: / 浪人生けん太郎 ♂ [近畿] [浪人生] | | | | 河童先生、こんにちは。いつもご指導いただき、ありがとうございます。 またまた先生に誉められて、とても嬉しいです。益々頑張ろうと思います。
先生のおっしゃる通り、終わってみれば、解の配置問題でした。やはり、基本が大切ですね。 確かに、前半の不等式の扱いがポイントですね。改めて、不等式の扱いなどの基本的な計算力の大切さが分かりました。
河童先生、本当にご指導いただいて、ありがとうございました。また、分からないことや疑問なことがありましたら、掲示板にやって来ますので、宜しくお願いします。
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No.3356 - 2009/06/26(Fri) 11:41:46 |
| ☆ Re: / 河童 ♂ [中国] [塾講師] | | | | けん太郎さん、こんにちは。
実はこの問題、まだ消化不良なんですが、わたしの言いたいことはお手持ちの問題集の解答に書いてあるかも知れませんね。 お聞きになりたいことがあればいつでもいらしてください。
どうぞ、これからも頑張ってくださいね。
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No.3360 - 2009/06/26(Fri) 13:43:20 |
| ☆ Re: / 浪人生けん太郎 ♂ [近畿] [再受験生] | | | | 河童先生、こんばんは。 実は、手持ちの問題集では、答えが記載されてないんです。答えが値となる場合は、その値だけが記載され、証明などの場合は記載されてないです。 本門は、一切の記載がありません。 どうか、教えてください。もし、消化不良の点があるとするならば。宜しくお願いします。
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No.3367 - 2009/06/27(Sat) 00:45:41 |
| ☆ Re: / 河童 ♂ [中国] [塾講師] | | | | けん太郎さん、こんばんは。 うだるような暑さで、頭の皿の水が乾いてしまってふうふう言ってます^^ けん太郎さんとは比較的近くのようですが、そちらも暑いんでしょうね。 お互い体には気を付けましょう。
さて、唐突ですが、問題文を前半と後半のふたつに分けましょう。 ……正の数s,tがあるとき、までが前半で、ここまでの文章にAと名前を付けます。 そのあとの2次方程式からが後半で、ここから先がBです。 すると、この問題は、『AならばB』を示せ、ということになりますね。 Aという条件を用いて、その必要条件を示せ、ということですよね。
そこで、ちょっと考えてみてください。 わたしたちは、最初の連立不等式を上手く変形して、まんまとBを証明してしまいました。 たしかに、『(1) かつ (2)』から『(6) かつ (7)』が導けましたので、証明できているようですね。 でも、これってたまたま上手くいったという感じがしませんか? ちょっと例を出しましょう。
x = 3 のとき、x^4 = 81 を示せ。
くだらない問題で恐縮ですが、これをこう解いたらどうでしょう。
x = 3 ならば x^2 = 9. また、x^2 = 9 ならば x^4 = 81. よって、x = 3 ならば x^4 = 81.
正しいですね。もっともこんなふうには解きませんが^^ でも、正しい。 では、次の問題はどうでしょう。同じ x^2 = 9 を経由しますよ。
x = 3 のとき、2x = 6 を示せ。
x = 3 ならば x^2 = 9. また、x^2 = 9 ならば x = ±3. また、x = ±3 ならば 2x = ±6. よって、x = 3 ならば 2x = ±6.
あれ? おかしいですね。何故でしょう? 同じものから出発して、同じものを経由したのに、解ける問題と解けない問題が出てきましたね。
わたしが、たまたま上手くいったと言った意味が分かりましたか? でも、たしかに上手くいった。何故でしょう? それを次回お話ししましょう。
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No.3370 - 2009/06/27(Sat) 02:54:59 |
| ☆ Re: / 浪人生けん太郎 ♂ [近畿] [浪人生] | | | | 河童先生、こんにちは。今日も本当に暑いです。でも頑張ろうと思います。
さて、本問を質問させて頂いた最初に、先生が同値のことや必要条件のことをおっしゃっておられました。僕もそのことが気になっていたので、いろんな本を読んでみたら、ある本に「両辺を二乗するというのは、典型的な⇒(必要条件)の関係なのである」と書いてありました。
ですから、x = 3 ならば x^2 = 9. また、x^2 = 9 ならば x = ±3. また、x = ±3 ならば 2x = ±6. よって、x = 3 ならば 2x = ±6.の問題においては、x = 3 ならば x^2 = 9.のところが、同値ではなく、必要条件になっているわけですよね。よって、結論が出た時点で、今度は、逆をたどって、十分条件を調べなければならないわけですよね。すると、2x=-6が、不適当であるとなるわけですよね。
河童先生のおっしゃるように、本問は、A⇒Bを示せばよいのであれば、確かに必要条件を示せばよいわけで、与不等式から出発して、D>0、-1<a+d<1, f(1)>0, f(-1)>0 を示せたら、必要条件として、A⇒Bを示せたことにあるように思うのですが・・・。
先生は、たまたま上手くいったと、おっしゃっていますが、僕にしたら、何日も必死で考えて、先生のご指導を得て、それをもとにまた必死で考えた結果、何とか最後までたどり着けたわけですから、たまたま上手くいったとは、思えないのですが・・・。
先生、教えてください。宜しくお願いします。
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No.3373 - 2009/06/27(Sat) 16:27:10 |
| ☆ Re: / 河童 ♂ [中国] [塾講師] | | | | けん太郎さん、こんばんは。
たまたまという言葉には語弊があったかも知れません。気に障ったらお許しください。 ただ、わたしがたまたまと言った意味は、決して、けん太郎さんがたまたま問題を解いた、という意味ではありません。そこのところを汲み取ってやってください。
わたしの挙げた例が悪かったかも知れません。
> よって、結論が出た時点で、今度は、逆をたどって、十分条件を調べなければならないわけですよね
たしかにそうなんですが、これは運がいい方で、ことによると、結論が出ないかも知れないんです。 必要条件というのは『非常に緩い条件』なんですね。 例えば、『河童は頭に皿が乗っている』という命題を証明するために『河童は夏目雅子が大好きだ』という条件を引っ張り出しても無理ですよね。 けん太郎さんはご存じないかも知れませんが、夏目雅子という女優の頭には皿は乗っていませんからね。違うか(マイブームです、無視してください^^)。 『河童は頭が薄い』でもダメ。『河童は実はカナヅチである』でもだめ。 白状しますが、これらはすべて河童(このわたしのことです)であるための必要条件です。 これらの必要条件をいくら引っ張り出してきても、皿が乗っていることは証明できません。 AならばBであるという命題が別の必要条件Cを使って証明できるのは、 Aの真理集合がCの真理集合に含まれ、さらにCの真理集合がBの真理集合に含まれるという幸運に恵まれたときだけなんですね。 お分かりでしょうか?
そろそろ種明かしをしましょう。 実は、けん太郎さんが導いた(6)かつ(7)という条件は、 元の連立不等式とは同値ではないが、問題の前半Aとは同値である のです。
思い出してください。 けん太郎さんは、最初、2つの不等式の辺々を掛けましたね。 一般的な話をしましょう。
a < b かつ x < y
という連立不等式の辺々を掛け合わせ、
a x < b y
という不等式を作ったとします。すべてが正の数ならば、この変形は問題ないですね。 ところが、a x < b y という不等式から、a < b かつ x < y という連立不等式は出てこないんです。 お分かりですか?
ところが!!! です。 結果的にはこれでよかったんです。 その理由は、問題文の『同時に満たす正の数s,tがあるとき』というひと言にあります。 もう一度思い出してください。 わたしもけん太郎さんと同じ式を導いたと書きましたよね。その過程を振り返ってみてください。
c / ( 1 - d ) < t/s < ( 1 - a ) / b ……(5)
こんな式を導きました。 この不等式が元の連立不等式と同値なのはよろしいですか? ここで、『同時に満たす正の数s,tがある』というのですから、そのための必要十分条件は、
c / ( 1 - d ) < ( 1 - a ) / b ……(*)
ですよね。 何故なら(5)を満たすような t/s があるならば、(*)が成り立つのは自明ですし、 逆に、(*)が成り立てば、s, t を上手く選べば、例えば t/s として両辺の平均をとれば、(5) が成り立つからです。 この不等式(*)が、まさに、けん太郎さんが導いた不等式なんです。 この不等式は、問題文の前半と同値だったというわけですね。
どうでしょう? ここまで分かって、初めてこの問題が解けたという気がしませんか? けん太郎さんは、決してこの問題だけを解くために勉強しているわけではないはずです。 ですから、この問題から、いままで意識しなかったことを学び取らなければなりません。 『存在する』という言葉が出てきたら、とりあえず、その文字について解くと考えてください。とりあえずですが、ほぼ9割方はこれで解決するはずです。 ですから、わたしは、t/s について不等式を解いたんですね。
お分かりになりましたか?
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No.3383 - 2009/06/29(Mon) 03:21:42 |
| ☆ Re: / 浪人生けん太郎 ♂ [近畿] [浪人生] | | | | 河童先生、こんばんは。いつも丁寧なご指導、ありがとうございます。
僕は先生の「たまたま解けた」の言葉を完全に誤解していました。どうもすみませんでした。僕が考えたのは、偶然に解けた、という意味でした。しかし、先生のお返事を読ませて頂いて、そうではなく、「A⊆C⊆B という恵まれた条件があってこそ、解けた」という意味だと、やっと気付きました。
なるほどそうであるならば、この問題は僕がやった不等式変形でも、たまたま解けたのかもしれないと思いました。
でも、入試問題は解けるように出来ているから、難問でも、きわどいところで恵まれた条件設定がしてある、ともいえないでしょうか?僕には、よくは分かりませんが。
とにかく、本問は、少し時間を置いて、もう一度解いてみようと思いました。
先生が最後におっしゃった、「『存在する』という言葉が出てきたら、とりあえず、その文字について解くと考えてください。」を、次回から忠実に守りたいと思います。
僕にとっては、必要十分条件の議論はとても難しく感じます。やはり数学のセンスが無いのかなとも感じます。
河童先生のお蔭で、この問題からいろんなことを気付くことが出来ました。本当にありがとうございます。
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No.3394 - 2009/06/30(Tue) 01:44:43 |
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