今日、衛星放送で、木下恵介監督の昭和31年度作品「太陽とバラ」を観たのですが、予想をはるかにこえた、見ごたえのある映画でした。 当時は石原慎太郎氏の「太陽の季節」がブームになってるころだけど、それを木下さんが思い切り皮肉ったような”アンチ太陽族映画”です。 主人公は、まだ10代後半と思われる中村嘉葎雄さんで、貧しさから心が荒んでゆく純情な不良少年を熱演してます。 それに対して裕福な家庭の不良(=太陽族)を演じるのは木下作品でおなじみの石浜朗さんで、これが自己中心的なイヤな奴です。 モノクロ映画ですが、当時の神奈川県、湘南海岸などの風景や、ベルト付き海パンなどのリアル三丁目の夕日な映像も堪能できます。 7月中にまだ放送あるようなので、観れる環境の方は是非ごらんになってください。 http://www.shochiku.co.jp/kinoshita/content/filmdetail/27.html P.S. 出番は少ないけど、主人公がとりあえず就職する工場の主任役は文学座の名優、龍岡晋さん。 頼もしげな人情家で、僕なんか、こんな人が職場の上司だったらどんなにいいだろうか、なんて思うのですが、劇中の主人公はノンケの不良少年なので「親切面しやがって」とか「坊主みたいに説教しやがって」とか、罰当たりにもほどがあります。 |