「人は日々の変化の中で在るべき処に到達する」
今回移籍となった経緯には様々な要因が絡んでいるが,自分から口火を切った事ではなく、それによる話し合いでこのような結論に至った事は、ある意味「青天の霹靂」といっても過言ではない出来事であった。 ただ昨年の終盤あたりから「今の状態で本当にいいのだろうか」「もう一度原点に立ち返り,声優であるという自分の最大の長所をもっと伸ばし、深化させて、その時々の場面に対応出来るように準備をしていった方が、より良い仕事をしていく事が出来るのではないか」と、折に触れ、考えるようになっていたのは事実だ。 一つには,取り組んでいたナレーション技法の習得が上手くいかなかったという事が挙げられる。 しかしそれは本当は些細な事柄で「根本的」な部分で「ズレ」と「違和感」をずっと抱き続けていたような気がする。 「本気」になれなかったから出来なかったのではないのかと。 だから逆に言うと,絶妙なタイミングと言えなくもなかったのだ。 そして自分は「動く」決意をした。 併せて「これが最後だ」と強く思っていた。 結果,一つではなく、複数の事務所の代表やマネージャーと接触し話す事を、積極的に行ってきた。 ただ,初めの段階から頭の隅に在り続けていたのが「ローカルドリームプロダクション」だった。 代表の山陰くんとは,ある人から紹介され、昨年の11月に初対面を果たしていたのだが、勿論その時は「何か一緒に出来ればいいね」位の遭遇であったのだ。 同じ「声」を「喋り」を生業(なりわい)にはしているのだが,畑が全く違い、だからシステム自体も大きく異なる世界。 「声優」とは全くと言っていい程交わらないのだ。 しかし・・・ そう,しかし、ある時から「平行移動では何の意味もないのでは」と思い始めてきている自分がいた。 「フリー」になる事や「業務提携」という形も思い描いてみたのだが,何か「中途半端」な気がしていた事は確かだ。 「最後」と定めているのであれば,少しではなく、思いっきり躊躇なく「跳ぶ」べきではないのか。 今の停滞した環境に風穴を開けたいと思っているのなら「思い切る」事は重要かつ必要な「必須事項」であるのではないのだろうかと。 こう考えるようになってきた背景には彼の「人間力」がある。 雑談の中から,彼は様々なアイデアを供出し続け、尚且つそれを実現させてしまう力を持っているのだ。 人との繋がりの多様さも大きな武器だろう。 彼と知り合ってからまだ間もないし,ミーティングもそんなに行った訳ではない。 「縁」というものが「長さ」だけではないんだという事は身をもって理解しているつもりだ。 僕がまだやった事がない分野の仕事で,既にスタートを切った案件もある。 ただ,これがどう進んでいくのかはまだ「暗中模索」ではあるのだが。 それも含め「新たな仕事を掘り起こす」という点で,彼とは考えが一致し、彼も「声優」である僕が、自分のテリトリーでどんな「波紋」を起こすのかという事に、興味津々であってくれるのだ。 今も実は新たな「案件」が,その実現の時を今か今かと待ち侘びているところだ。 実現すれば良し,ダメであれば、また次の「案件」を創作すれば良いのだ。 幾分と言うか,かなり停滞していた自分が再び動き出した感がある。 長所を徹底的に磨き,伸ばすべきなのだ。 「当たり前」の事を「当たり前」に遂行すべきなのだ。 長年に渡り培われてきた「声優」というスキルを,思う存分発揮すべきなのだ。 何かどこかで押さえ付けてきた自分というものを解き放つべきなのだ。 そんな時に出会ったのが冒頭に認めた言葉だった。
「人は日々の変化の中で在るべき処に到達する」
この言葉は今の自分の中にスーッと入ってきたのだ。 水が染み込むように入ってきたのだ。 在るべき処へ。 何かに導かれるように,足が自然に向いていたのだ。 「諦めない事」「自分を信じ続ける事」 その積み重ねが,やがて「大輪」の花を咲かせる。
33年目のシーズンスタート。 青空が,いつもより清々しく、僕の瞳に映りこんでいた・・・
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No.2674 - 2014/05/05(Mon) 14:25:45
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