先日「ameno spazio」(アメノスパッツィオ)時代からの付き合いがあるレザーアルチザン,仲垣くんの新ショールームのお披露目が行われ、僕もお邪魔してきました。 彼と会うのも久しぶりだったんですが,せっかく行くので、彼との記念碑的な鞄を持っていこうと思い、最初に頼んだ「作品」を携えていく事にしました。 「YUHAKU」のFacebookに乗っている鞄が,彼との第一号の「逸品」です。 ちょっとしか載っていないので少々分かりづらいかもしれませんが,下の書き込みで、あへさんが書かれている、アルミ製アタッシュケースとのコラボといいますか、その外側に新たに小物を収納出来る鞄を装着したタイプの物になります。 この事は依然にも触れた事もあったかもしれませんし,ショートエッセイでも取り上げていたと思いますが、アルミアタッシュケースは、今では知る人ぞ知るというか、鞄好きには羨望の眼差しで仰ぎ見られているであろう「エアロコンセプト」の初期モデルで、僕がゲットしたのは、確か「ユナイテッドアローズ」原宿店とのコラボ(形は同じで大きさが違う3タイプ)の内の一つだったと記憶しています。 購入した当初はアタッシュのみで活用していたのですが,使い勝手が今一つ悪く、暫くお蔵入りの状態だったんです。 そんなある時「小物も収納出来る外付けの鞄みたいなのがあればいいのか」的な発想に至り、仲垣くんとの出会いでそれが実現する事となったんです。 何せ,あの、横浜は戸部というところにあった本当に小さなガレージを改装した工房がある二階で(一階は彼の友人である木嶋くんがヴィンテージバイクの工房として使っていました)、僕は初対面にも関わらず、その自分の構想を彼に話し、そのアタッシュを携えて行っていたので「出来るかな?」的な話に及んでいたんです。 結果は,もうそれはそれは驚くばかりの「逸品」の誕生となった訳なんですが。 あっここでやはり触れておかなければいけないのは,仲垣くんの友人である、木嶋くんの事でしょう。 仲垣くんを語る上で,木嶋くんはなくてはならない存在なので。 木嶋くんと仲垣くんは,あるシューズブランドで一緒だったんです。 で僕はある時期,横浜のマルイに通っていたんですが、その中の靴を扱うエリアに木嶋くんが、そのブランドのショップスタッフとして常駐していたんです。 僕はその頃には,色々なブランドの情報を集めては、様々な所へ足を運び、レザーバッグ・シューズ・ウエア等の見聞を広めていたんです。 その中でも横浜のマルイは,全国のマルイの中でも特筆すべき靴好きが集まる 店舗として有名だったんです。 その時の店長もとても面白い方で,色々な靴に対する講釈を毎回拝聴していました。 木嶋くんには,レザーシューズを新しく購入すると必ず見せに行き、シューズ談義に花を咲かせていました。 彼の務めるメーカーの靴も何足も購入していたんですが,その内の一足がちょうど仲垣くんがデザインしたものだと後年分かったりしました。 そんな木嶋くんとの付き合いが数年続き,親しくなってからは彼の趣味だというレザー小物作りで、CDケースやMDケース等を作って貰いました。 ある日,いつものように話に行くと、彼は以前から遣りたいと思っていた、ヴィンテージバイク造りを遣るために今月で今の会社をやめるんですと、僕に語ってくれました。 そしてその時に「レザーバッグとかだったら友達で,同じ工房をシェアするレザー職人がいるんで、そいつを紹介しますよ」と話してくれて、僕は仲垣くんと出会う事になったんです。 そして可笑しいのが,その時になって初めて木嶋くんが「そういえば中原さんていつも平日の昼間に良くいらっしゃるじゃないですか?お仕事って何をされているんですか?」と聞かれ、そこで自分の仕事を彼に初めて話したんです。 その時彼は大層驚いていて,僕の出ていたある作品が、彼の彼女が大好きだった作品らしく。(笑) 木嶋くんはとってもいいやつでした。 実は仲垣くんと出会って数か月しか経ってなかった頃に,仲垣くんの結婚式の披露宴に呼んで貰ったりした事もありました。 勿論,木嶋くんも同じテーブルにいました。 その後二人の工房は川崎の方に移転するんですが,諸々の事情から、木嶋くんはヴィンテージバイクの工房を閉める事になったんです。(この頃には木嶋くんも結婚していてお子さんが生まれていました) その話しを聞いた僕は「何か3人の記念になる物を創れないか」と思い,それを仲垣くんに相談して形になったのが「ノートPCケース」だったんです。 ちょうどこの頃僕は仲垣くんに「レッツノートレザーエディション・アメノスパッツィオモデル」を依頼していて「特別なノートPCには特別なケースを」とも思っていたので、これを二人の共作で創ってもらう事にしたんです。 レザー部分は仲垣くん,そしてアルミ部分は木嶋くんという分担で。 そしてそして,これも超弩級の素晴らしい「逸品」として生まれました。 これを持つ度に,僕は木嶋くんの事を憶い出します。 僕と仲垣くんを結びつけてくれたのは,まぎれもなく木嶋くんなのですから・・・ これもどんな「逸品」なのかは,その内に「YUHAKU」のサイトか「アメノスパッツィオ」のサイトで紹介される日が来るかもしれません。(もしもう紹介されているようでしたらごめんなさい) 今度久しぶりに仲垣くんと「飲みに行こう」と約束しました。 「YUHAKU」ウェブチームの二人とも一緒です。 「ブロンプトンレザーエディション・アメノスパッツィオモデル」も是非撮影させて下さいと請われたので,今度そう遠くない内にショールームで撮影させていただく予定です。 仲垣くんにフルオーダーを掛けた「逸品」達は,正確には数えてないんですが、大・小併せて30アイテムに上るかと思われます。 その間,彼にも様々な事がありました。 それでも,頑張って、頑張って、ここまでブランドを成長させてきました。 特に「染色」は,得意とする「多色染め」は、日本で唯一、いや、世界で唯一の彼しか持ちえない究極の技法です。 「染料」のみであれだけの綺麗な色を出し,多色で染めて尚、あれだけのグラデーションを出せるなどとは信じられない程の事だそうです。 僕などただ単に「仲垣くん,この色合いは凄いねぇ・・・ちなみにこんな色合いは出せる?」など、彼の甚大な労力の事など考える事もなく、無茶な事ばかりを言ってきたような気がします。 先程の「染料」の事なども,その筋の専門家が驚嘆していた記事を見て「仲垣くんてそんなに凄かったんだ」と今更ながらに思ったくらいだったので。
でも僕も,新ショールームのお披露目のあの場に呼ばれてとても嬉しかったですし、何より彼がとても喜んでくれた事が嬉しかった。 「是非飲みましょう」と言ってくれた事が嬉しかった。
仲垣くん,次は世界だね。 でもきっと,君のものづくりに対する姿勢はずっと変わらないんだろうね。 俺の中では,君が、この世界の中で、唯一無二のナンバーワンレザーアーチストだから。 君と出会ってもう8年,いや、まだ8年なんだよねぇ。 全く俺の周りには「情熱」の塊みたいな奴らがゴロゴロいるんだよ。 そういう君らと接する度に「俺もちゃんと立たなきゃ」って思わされるんだ。 仲垣くん,これからもよろしくね。 そして,お互い「新しい世界」を見よう! 「新しい世界」を切り開こう!
それでは又!!
|
No.2649 - 2014/03/16(Sun) 22:23:24
|