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記事No.149に関するスレッドです

1000円かあさん / タラオ・バンガイ
CDショップの店頭のワゴンで,「日本名作映画集30」なるDVDを
1枚1000円で売っていた。「東京物語」「麦秋」「雨月物語」「地獄門」
「また逢う日まで」など中々のラインナップである。
作品は映画会社を超えて構成されているが、パッケージの裏に全作品
「50年以上経過しているため・・・」と記してあるので、著作権が切れた
作品と言うことなのか、よく判らないがメッケモノだった。

うれしかったのは、成瀬の「おかあさん」「銀座化粧」があったことで、新東宝
作品なので、「キネマ倶楽部」に国際放映が加入するまで、ビデオに中々ならず
「おかあさん」はアメリカ発売のビデオ「Mother」を取り寄せて初めて見た。
「浮雲」を除けば、戦後の成瀬作品のベスト・ワンではないだろうか?

当初山田五十鈴が予定されていたらしい主役「おかあさん」を、絹代さんが演じ、汚れ役ではないが決してキレイとは言えない役を、母親の「誇り」を内面に輝かせて、見事に表現している。

水木洋子の脚本がまた素晴しい。女性でなければ判らない(書けない)キメ細かさで、
子供に夏みかんを買いに行かせるシーンの「果物屋じゃなくて八百屋で買うのよ、
値段が違うからね」に思わず笑ってしまう。
もちろん成瀬定番のチンドン屋も、ちゃんと出て来る。

No.149 - 2007/10/23(Tue) 19:50:31 [p1248-ipbf212fukuokachu.fukuoka.ocn.ne.jp]

Re: 1000円かあさん / 久留米無法松
こちらもこの映画の素晴らしさはいろんなところで力説してきました。田中絹代さん、自分が若いときは、この人が戦前の大スターだったことがわかりませんでしたが、今はたぶん自分にとって最高の女優さんだと思います。個人的には戦後の成瀬のベストは<流れる>そしてこの<おかあさん>です。父親役の千秋実もよかったですね。DVD,スペイン盤、今回の1000円盤そして自家製と3種類もあります。
No.150 - 2007/10/23(Tue) 20:45:43 [210-135-222-110.parkcity.ne.jp]

Re: 1000円かあさん / タラオ・バンガイ
父親(主人)役は三島雅夫だよ〜〜ん。

早逝する息子の片山明彦も哀しい位良い。
香川京子、岡田英次、三好栄子、沢村貞子、加東大介、沢村貞子、一の宮あつ子、
田武謙三、本間文子、中村是好みんな良い。斉藤一郎の音楽がこれまた良い。
(助監督が石井輝男なのな)

あぁ!芳醇な成瀬の世界。

No.151 - 2007/10/23(Tue) 21:06:39 [p1017-ipbf510fukuokachu.fukuoka.ocn.ne.jp]

Re: 1000円かあさん / 久留米無法j松
すみません。父親役、三島雅夫が頭にあったのに、なぜか
千秋実と書いてしまいました。なぜ?

No.152 - 2007/10/23(Tue) 21:13:20 [210-135-222-110.parkcity.ne.jp]

絹代さんとチエミさん / タラオ・バンガイ
無法松さんのわが国NO1アクトレスは田中絹代さんとのこと。
彼女とチエミさんの実現しなかった幻の企画があったのを、無法松さん「知っとうや?」

そのタイトルは「君大空に果てるとも」原作:川口松太郎(サノサ節)、監督:川頭義郎、
脚本:成澤昌茂、主演:江利チエミ、田中絹代、勝呂誉で、確か昭和37か8年
の年頭に、その年の松竹の製作予定作品として、複数の映画雑誌に発表された。

原作は読んでないが、ラジオドラマで水谷八重子(初代)が演じたのは聞いた。
特攻隊の青年に出撃前夜、芸者が今生の別れに「さのさ節」を歌って聞かせてやる、
そんな話だった。ラジオでは小梅姐さんが「さのさ節」を歌った。映画ではチエミさん
が芸者、勝呂さんが特攻隊員、そして絹代さんは特攻隊員の母で、戦争が終わってから、
芸者に会いに来てお礼を言うのだと思う。チエミさんの「さのさ」がヒットしたので、企画
されたらしい。この頃チエミさんは優先本数契約でもあったのか、松竹の仕事が多い。

脚本の成澤氏は溝口門下であり、新藤兼人の「ある映画監督の生涯」でその美丈夫ぶり
を見ることが出来る。監督作品もある。木下の「香華」も、当初彼が監督の予定だった。
監督の川頭氏は木下門下の、誠実な作風で知られ「子供の眼」「涙」が代表作である。
これだけの粒ぞろいのスタッフ・キャストが具体的に決まっていたのに、製作されなかった
のが残念で仕方がない。脚本が当時のシナリオ誌や映画誌に掲載されていたのでは?
或いは準備稿が出来ていたのでは?と、神保町界隈にも頼んであるが、今のところ
見付かっていない。川頭氏は既に鬼籍に入られたが、脚本の成澤さんは80余歳でご健在である。
昨年、思い切って手紙で問い合わせて見たが、返事はなかった。
 
 絹代さんの「おかあさん」系列の作品では、山村聡監督の「母子草」が小品ながら、
愛すべき佳作だった。この「君大空に果てるとも」も完成していたら、そんな作品に
仕上がったのでは?とチト口惜しい。
(画像は「宗方姉妹」)

No.153 - 2007/10/24(Wed) 16:41:21 [p1117-ipbf505fukuokachu.fukuoka.ocn.ne.jp]

Re: 1000円かあさん / 久留米無法松
「君大空に果てるとも」のことは知りませんでした。さすが日本映画に造詣深いタラオ・バンガイさんです。実現できず惜しかったですね。最近の映画で確か特攻隊が飛び立つ前に好きなベートーヴェンの月光ソナタを聞かせるというのがありましたが・・・
脚本の成澤さん、<ある映画監督の生涯>でその美丈夫ぶりを確かめてみましょう。大好きな<赤線地帯>も彼の本でしたよね。監督作品の<雪夫人絵図>は失敗作といわれているようですが、僕は決して嫌いではありません。川頭義郎さんが川津裕介の実兄だということ知りませんでした。以前テレビで見た<台所の花嫁>(久我美子 日守新一)がなかなか爽やかな映画で好きでしたが。山村聡の<母子草>は未見です。渥美清という人、あまり得意ではありませんが、関係ないですが、<父子草>はお気に入りの映画です。

No.154 - 2007/10/25(Thu) 15:00:50 [61-24-15-45.rev.home.ne.jp]

Re: 1000円かあさん / タラオ・バンガイ
無法松の親分サン、早速の書き込みありがとうござんす!
「月光の夏」でしたね、悪い映画ではなかったけど、私的には渡辺美佐子の演技に、
ある種の翻訳劇調の臭さがあって・・・・(+_+)?・・・・でした。

成澤監督の「雪夫人絵図」は私も同意見です。東映で撮影されながら「お蔵入り」し、
日活のロマンポルノとして封切られた不幸な作品。いずれ「時」が評価するでしょう。
ところで、成澤脚本の溝口で撮る予定だった「青電車」読みましたか?

川頭さん(「台所の花嫁」は「お勝手の花嫁」だと思う)の「子供の眼」は成瀬調の佳作
だったけど、傑作たり得なかったのは、成瀬と違って「視線のいやらしさ」がないから?

「父子草」好きなの?木下惠介脚本、丸山誠治演出、渥美と石立鉄男の「愛の歴史」
・・・・そうなんだ、あれが好きなんだ・・・・・
大映で森茉莉原作「枯葉の寝床」を増村保造監督、田宮二郎、大田博之で撮る計画
があったそう。ただ永田ラッパの「男同士はキビが悪い」の一言で中止になったとか。
当時の田宮も大田もキレイだった。大田は第二の岡田時彦で売り出したかったみたい。
「盲獣」を作る会社だけに、思い切って作ってりゃ良かったのに。今となっては惜しい企画。

では親分サン、新米を肴にブタ汁喰い過ぎない様に!「肥満は諸悪の根源」でっせ。

No.155 - 2007/10/25(Thu) 17:56:56 [p2068-ipbf608fukuokachu.fukuoka.ocn.ne.jp]