知人が津軽のりんごを送ってくれた。 子供の頃津軽の近くで育ったので、りんごは懐かしい。 デリシャスだとか紅玉、ゴールデン・デリシャスの品種の名を聞かなくなって久しい。 サッカリン(人口甘味料)に似た甘さの「印度」りんごの、バカバカしい味?を 時折思い出す。
20代の頃、母の住んでいたその町(故郷と言う意識は私にはない)に帰った際、 当時秘かに憧れていた女人とH市まで買い物に行った。丁度りんごの開花期だった。 バスの中からりんご園の風景を見ていたその人が、「りんごの花って、ほら佳い詩が あるわねェ」と話かけた。「はぁ〜?ひばりの<りんご追分>かァ?」と私は答えた。 ○○子さんの顔に一瞬軽い失望の影が過ぎった。「ううん、そうじゃなくて伊藤整の・・・・」と ○○子さん。更に追い討ちを掛ける私「イトウセイって<チャタレー夫人の恋人>かァ?」 ・・・・ダメダコリャ!と思ったのか○○子さんは話を変えた。
最近急に気になって、古本の文庫で伊藤整詩集を買ってみたが、どうも「林檎園の6月」 と言うのが、それらしいのだが・・・・・・・少し恥ずかしく甘酸っぱい思い出である。
りんごと言えばもう一つ大島渚の「青春残酷物語」で、堕胎手術で寝ている恋人(桑野みゆき) の横で、川津祐介扮する大学生が、りんごを長回しで丸々1個齧るシーンがあった。 青春の敗北感が伝わる名場面だった。確かシナリオのト書きには「青春を食いつくように」と 言った様なことが書いてあった、と思う。
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No.199 - 2008/01/24(Thu) 00:46:33 [i125-201-182-91.s02.a040.ap.plala.or.jp]
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