チエミさんの「恋のキッスは」は、訳詞が殆どオリジナルの「コミック・ソング」になっている。 この歌の詞で、発売当時の風俗が良く判って面白い。 キスをキッスと歌っているのも「時代」が感じられる。もう一つ「ベーゼ」も使われている。 フランス語で「接吻」のことだそうだが、歌の発売当時ですら、死語とは言わないまでも 古典的な言葉に近かったと思う。
木下恵介の傑作「女の園」(昭和29年)の中に、姫路城の城壁の前で恋人に扮した 高峰秀子に田村高広が「ボクたち、未だベーゼもしていない」と語り掛ける、有名なシーンがある。 封切り後から25年後位後に銀座の並木座で見たが、このシーンの「ベーゼ」に客席の大学生 から笑い声が起きたものだった。
後年その役の田村さんと話す機会があって、並木座の笑い声の件を話したら、田村さん怒ったネ。「ベーゼ、良い言葉じゃないか!笑う処(シーン)じゃァないンだヨ!」 続けて大マジメに言ったものだ。「“口吸い”と言ったのならともかく!」だって・・・・・
田村さんらしいエピソードで、忘れられない。
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No.78 - 2007/09/18(Tue) 20:25:06 [p2135-ipbf315fukuokachu.fukuoka.ocn.ne.jp]
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