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記事No.2365に関するスレッドです

No.2365 むかしカメラ小僧だった写真感 投稿者: yotchan 2013/07/30(火) 18:04 引用 - -

あるお宅で仕事を終えて台所でコーヒーをごちそうになっている時、額に入れた写真が目に留まりました。どこかの山の写真です。どこの写真ですかとたずねると、定年退職したご主人が、大学時代の友人登山者(京大卒のようです)に連れられて山登りをはじめ撮ってきた写真とのこと。登山道中で向こうに見える山を撮ったようですが、前を行く他人の登山者二人の後ろ姿も映っている。奥さんがいうには、ご主人はこの写真を「あの二人が邪魔だなぁ」とこぼしているとのこと。で、私は言った。「あの二人が映っていなかったらこの写真価値無いですよ」と。

夏山で南アルプスに行った時だと思うが、天気も良くてパノラマ風景を楽しめる山行でした。稜線で何名かの写真家がスタンドに据えたカメラで撮影していました。その中の一人と帰路、どこかで一緒になり思い出して声をかけました。「晴天に恵まれていい写真が撮れたでしょうね」と。意外な返事が返ってきました。「天気がいいといい写真は撮れないんですよ」と。つまり、天候に恵まれて感動する風景の写真は、そこを通過する素人が撮っても綺麗に映り似たり寄ったりの写真になる。プロなり写真愛好家が撮りたいのはそんな写真ではなく、荒れた天気で視界が効かないなか、一瞬の雲の切れ目に姿を現す、例えば剱岳の雄姿を収める、これはその場にいなければ二度と撮れない自然現象の写真、それが写真だとのこと。そのために荒天に耐え何時間も一点を見据えてシャッターを押し続けるのです。

で、yamaotoさんの洛中HPトップ写真に拍手を送りたくなったのです。ヤマヤは写真を撮るために山に行くのではないから、写真は通過点の記録でしかありません。しかしその写真に、動くもの、人間以外でも動物・鳥・雲などが脇役が存在感を持つと、二度とないロケーションの写真になります。八ヶ岳の遠景は曇って冴えなくても、存在感のある男二人の後ろ姿に目が行きます。登山姿ではないな?、登山者の帽子ではないな、タバコに火をつける後姿は映画のワンシーンの」ようだ、などなど、ジワッと人それぞれが違った想像をさせる写真だと思いました。