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記事No.1034に関するスレッドです

人間性の話。 / 淳吉郎
昨年末、自分のバンドのドラムスを新たに探さなければいけない事になった。そこで俺はインターネットを利用した。インターネットでなんでも手に入る時代だし。全国組織のバンド募集サイトっつーのがあって。そこにログイン。投稿及びメンバー検索。「二匹のうさぎを追っかけたって一匹も捕れないよ」なんて事を多くの人々が古(いにしえ)から申されております。が、しか〜し、この俺は2年半前にドラムスを募集した時「ブルース、R&B、ソウル等の黒人音楽。そして60年代ビート・バンド〜グラム・ロック〜パブ・ロック〜初期パンク〜ネオ・モッズという流れの中のロック。そして邦楽だったら鮎川誠、忌野清志郎、ヒロト&マーシー、めんたいロック、ピーズ、グルーヴァーズ等の日本語のロック。そんな音楽を好むドラマー大募集!」という言葉で募集広告を出した。とっても解かりやすい音楽嗜好。思考。指向。志向。それってつまりイカしたロックン・ロールって事でしょ!みたいな。たった一匹のうさぎだけを追いかけ続けてるぜ!みたいな。が、しか〜し、そんなうさぎはどこにもいなかった。浜松にうさぎはいなかったんだ。うなぎならいるけど。
そんな体験をもとに昨年末は作戦変更。んじゃぁ今回は二匹も三匹も追っかけよう!みたいな。ひとりでフォワードとミッド・フィルダーとボランチだ!みたいな。守備範囲だって拡げるぜ。ひとりでキャッチャーやりながらファーストとレフトも守るぜ!みたいな。「ロックが好きならまぁいいか」と思うようにした(ヴィジュアル系は除く)。まずは話をしてみよう。若い奴ならフーのビデオを見せりゃぁキース・ムーンのドラミングの虜(とりこ)になるに決まってらぁ。だんだんとこっちの世界に染めていけばいいのさ。そう決めた俺の希望は浜名湖に掛かる浜名大橋よりも真っ直ぐ伸びていた。
ドラム加入希望という方々、合計5人に連絡してみました。そのうちのひとりは19歳。前途有望だ。まるで大海原だ。遠州灘だ。太平洋だ。カスピ海だ。2回のメール交換のあと「会ってみたいですね」「そうですね」そしてそれ以降、19歳のカスピ海からは連絡が途絶えてしまった。他の4人においては最初の返信すらもまったく無し。とりあえずの返信をしないのかな。「連絡ありがとうございます」みたいな。んで断るんだったらテキトーに嘘つけばいいんだよ「ちょうど他のバンドに加入が決まっちゃいました」とか「ちょっと音楽性が違うみたいです」とかさ。嘘も方便。第九はベートーベン。山田太郎はドカベンだ。
「まぁ人間性の問題なんで。そんなやつらがカッコいい音を出せるわけないよ」俺はひとりごちた。

先週、音楽仲間から真昼間にメールを受け取った。俺の大好きな英国のギター弾きがツアーではなくプライベートで来日中。そしてその方が「末期のすい臓がん」という事を公表したとメールには書かれてあった。ショックだった。そして昨秋にはツアーで来日してるのに「日本のファンに会いたい」という理由で急遽東京と京都でライブを決行するとの事。ファンを大切にするその気持ちに涙が出そうになった。さらにその後、知ったのだけどライブの収益金はすべて東北に寄付するとの事。言葉が出なかった。
彼のギターはぶっちぎりのカッコよさ。やっぱりそうなんだ。カッコいい人間はカッコいい音を出すに決まってる。

B.G.M.「STATUS QUO/THE CLOWN」

写真はステイタス・クォーの1stと2ndの編集盤。全21曲収録。彼らの初期がこんなにカッコいいとは!

No.1034 - 2013/01/15(Tue) 22:45:29