先週は一週間の間、どこか落ち着かない日々が続きました。仕事でもプライベートでも。あららら。 やる気があるのかないのか自分でもわかんないし。それは集中力が無いとも言えますし。例えるならば、そば、あるいはうどん、あるいはラーメンを食べてたとして。麺を中途で食い千切るという事を忘れて、いつまでもいつまでも永遠に続く商店街のアーケードみたいに、ズルズルズルと麺をすすり続けるというような集中力の無さでした。 ロックのライブ・コンサートで5分間から6分間、そして、ややもすると10分間にも渡り延々とギターソロを弾くギターリストがいます。こーゆーわたしもギターを弾くのです。が、しかーし、とてもとてもそんな長い時間のソロは弾けません。なぜならわたしのスタイルがあるからです。でも人間とは弱い生き物です。スタイルなんてすぐ壊れてしまうのです。例えば同窓会に集まった同級生の昔の面影を完全に逸した姿を思い出して見て下さい。そうです。先週の集中力が欠如したわたしがライブを演っていたとしたら、永遠に続く商店街のアーケードみたいにズルズルと長いギターソロを弾いていたかもしれないのです。アーケードの入り口には『スタイル評議会』という看板が黒地に白抜きの文字でぶら下がっているのです。 ふと気づきました。これは禁断症状なのかもしれません。アンプを修理に出して1週間。レコードを聴けない禁断症状です。わたしにはわたしの生活のスタイルがあるのです。
オークションで数枚のCDを落札しました。そのうちの一枚に『THE JAM TRIBUTE』というコンピ盤がありました。90年代に英国を中心に盛り上がったDETOUR RECORDSというインディ・モッズ・レーベルのバンドが全面参加しています。楽しみな心持ちで聴きました。初めてディズニーランドへ行く子供のバスの中の心持ちです。しかし期待外れの結果になりました。あまりにもジャムの原曲に忠実な演奏が多過ぎだったからです。わたしが聴きたいのはコピーではありません。ただでさえサイコーなジャムの曲を「俺たちはこうアレンジしたぜ」みたいな心意気が見たかったのです。ディズニーランドが苦手な子供も大人もいるはずです。
土曜日はメスカリンにKiLLER Q企画を観に行きました。2番目にShady Glimpse登場。圧巻の演奏でした。いきなりムナグラを掴まれて引き込まれるような演奏。プロだと思いました。感動したわたしは2枚同時発売となる新作の3曲入りシングル2種類を2枚とも購入。3番目にKiLLER Q登場。今回は初期の曲を多く演奏。初期の彼らの曲に特に思い入れがあるわたしは嬉しい。ルンルンルンです。4番目にIB89登場。初めて観ました。本編最後でカバー曲を披露。なんとTHE MODSの『TWO PUNKS』。気持ちが入った演奏。「原曲に忠実なカバーよりも俺たちはこうアレンジしたぜみたいな心意気が大切」だなんて言ってる輩が世の中には居ます。そんな輩にこそIB89の『TWO PUNKS』を聞かせてやりたかったわ。ふんとにもぉ。
日曜日、ついにアンプ修理完了との連絡がありました。うれしさ極まった私はお店までジェット機で飛んで行きたかったのですが滑走路の有無を電話で訊くと「お気持ちはわかりますが、あいにく当店には滑走路の設備はございません。お手数ですがクルマもしくはバス等の公共機関にてお越しください」なんて言いやがります。人の気持ちをなんだと思ってるの。そんな人ってわたし嫌い。まぁ無いものは無いので仕方がありません。浜松市南区高塚町に博多駅が無いのと同んなじです。 アンプを部屋に持ち帰ると早速セッチングです。白と赤のケーブルが行き交います。まるでギブ・アンド・テイクです。まるでカウンターを挟んだスナックのママとお客のサラリーマンです。セッチングが終了しました。さぁレコード鑑賞会のスタートです。「ワン!ワン!」2軒西隣のシベリアン・ハスキー犬が吠えています。午後の散歩のおねだりでしょう。 佐野元春さんの“月と専制君主”というセルフ・カバー・アルバムに決めました。彼の声が聴きたくなったのです。「原曲に忠実なカバーよりも俺はこうアレンジしたぜ」みたいな心意気を彼自身が自分の曲に対して見せています。素晴らしい。そしてなによりも年齢を重ねた彼の声が素晴らしいのです。そんなどこかの音楽雑誌に書かれていそうなレコード評みたいな事を頭に巡らしながらレコード盤をターン・テーブルに載せます。やがて、ゆっくりとレコードが廻りはじめました。 「レコードによる専制君主」それが我が家なのです。
B.G.M.「THE WHO/A QUICK ONE」
写真はジャムのトリビュート盤とシェイディの2枚と元春のレコード。佐野元春さんの新作が発売された。楽しみだ。
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No.1044 - 2013/03/13(Wed) 22:17:18
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