☆10月某日。 実家に行った。 「片づけをしてたら、こんなものが出てきたに」 と言ってお母ちゃんがくれたのは30×30×70の石柱。よく見ると印鑑だった。わたしの氏名が掘ってあった。反対側にはAマーク。両面印さ。 「おー、なつかしー。作った作った。高校ん時の美術か技術の時間だね」。 実用性ゼロ。だけど、たぶん捨てないと思う。 思い出は心の中にあったり、今回みたいに形で残ったり。ウゾームゾーとはこの事か。
☆11月某日。 ザ・クロマニヨンズの新作ツアーを観に行った。 ステージ上には変わらないふたりがいた。客席には変わらないぼくらがいた。 幾人かの友人と会った。その多くの方々が「久しぶりにヒロトとマーシーを観に来た」って言っていた。 「全然変わってないね」 って終演後、やっぱりみんな言っていた。 「だろ」 って、どういうわけかわたしが胸を張って答えていた。
☆12月某日。 家内がギターを担当するバンド、820光線☆のライブを観に行った。 このライブにて結成時からのVo.担当;キユウちゃんが抜けてしまうとの事。でもセンチな雰囲気になってない、いつもの彼女らのライブだった。 カッコいいアレンジを施した『プリティ・ウーマン』カバーも披露。木村カエラちゃんVer.とのこと。ワオっ。 キユウちゃん、お疲れちゃん。
☆12月某日。 シオンのライブを観に行った。 鍵盤に細見魚、アコギに藤井一彦というユニット。ベースもドラムもないのに、あのバンド感覚の演奏、ありゃなんなんだ!? あれはいつだったか。『月が一番近づいた夜』という曲を初めて聴いた時、ぼくは泣いた。次に聴いた時も泣いた。この前の8月の野音ライブでも泣いた。この日も泣いた。ぼくは泣いたのさ。 号泣とか嗚咽っていうような動きのある泣きかたじゃないよ。涙粒が静かに頬をながれてゆくんだ。
☆12月某日。 家内がギターを担当するバンド、ビートシーカーとアイドルズのライブを観に行った。 アイドルズを観るのは久しぶり。なんにも変わってなかった。むしろ昔よりカッコいいと思った。ジョニー・サンダースを自分たちのオリジナル曲でしっかり継承してるんだ。素晴らしい。 ビートシーカー、Ba.&Vo.のカオちゃんが新しいベースを使ってた。すごく似合ってた。新曲も披露。これからどう固まっていくのかが楽しみな曲だった。曲は演れば演るほどどんどん成長してゆく。ヒトやネコやヒマワリを始めとする生き物全部みたいに。 最後に出演したのが初めて観る東京のバンド。これもいい演奏だった。
☆11月某日〜12月某日。 好きだった俳優やミュージシャンの方々が次々と逝去された日々。 ビデオやDVD、レコードやCD。映画のストーリー、ワンシーンのセリフ、レコードから聞こえてくる音、観に行ったライブ会場での空気感。 そんなウゾームゾーなものを与えてくれたひとたちがいなくなってしまった。 「あ〜寒くなったな。今日はコートで出かけよう」なんて言いながら哀しい事は忘れたふりして出かける冬なのさ。
☆12月某日。 ちょっと早めに大掃除をした。窓ガラス拭き。 以前はガラス洗浄液を使用してたけど、ここ数年は水道水と古新聞でフキフキ。検索して見つけたんだ。水に浸した新聞紙を丸めてゴシゴシ。 掃除してたらみんな汚れた。トップ面の首相の顔も、国際面の各国首脳大統領の顔も、経済面の新製品のボディも、スポーツ面のスター選手のユニフォームも、社会面の選挙結果も、芸能面の女のコの顔も。みんな汚れた。 誰かの顔に泥を塗りたいんじゃない。ボクは大掃除をしてるだけなんだ。
B.G.M.「RCサクセション/SWEET SOUL MUSIC」
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No.1176 - 2014/12/23(Tue) 22:21:14
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