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記事No.1225に関するスレッドです

ハチコロリアンの話 / 淳吉郎
☆一軒家を借りて住んでる。
大家さんとの関係は良好といってもよかろう。
というか、いい人なんで。彼は。権力をいっさいちらつかせないし。ぼくはそういう人が好きだ。
そんな彼は毎年、10月になると南側と北側に植わってる垣根の刈り込みに来てくれる。
今年も来てくれた。平日の昼間にご夫婦での作業。
その日、帰宅すると北側の垣根が途中まで刈られたままの状態だった。
「なんだろう。キツネの嫁入りがあったかな」とか思いながら家の中に入った。黒ラベルを飲みだしたら電話がプるるる。
「はい、中村でーす」
「あ、中村さん?」
「あ、大家さん、今日は刈り込みありがとうございました」
「うん、だけどね・・・」
「あ、ちょっと残ってますよね」
「いやあ、垣根の中にスズメバチの巣があってね。俺、刺されちゃったんだよ」
「えーーーっ!」

☆インターネットで『浜松 スズメバチ駆除』にて検索。
家から1kmのご近所に業者の存在を発見。ど近い。すげえ。連絡したら4日後に来てくれる事になった。まずは依頼者立会いのもと現場確認をするらしい。状況次第ではその場で巣の除去作業も始めちゃうとの事。
秋が深まり午後6時半にはすでに夜のカーテンが辺りをおおう昨今であります。当日、そんな時刻に業者がやってきた。
巣の場所を教えるとそこへ行き
「ああ、ここですね〜うん、はい、それではやりましょう。少々お待ちください」。

☆3分後に低予算の近未来映画みたいな衣装に着替えた彼が登場した。
たぶん彼の役名はハチコロリアンだな、とぼくは思った。ハチコロリアンは右手にスプレー、左手に収納袋を持つと
「すみません、玄関の明かりは消してくれますか」
「はい、わかりました」
ハチコローがんばれ、そう思った。
真剣な彼の姿勢になんか尊敬と親近感が混ざったようなものが芽生えちゃってね。だからぼくはもう彼の事をハチコロリアンなんて堅っくるしい本名で呼ばない。ハチコローってあだ名で呼ぶのさ。

☆100円ショップで買ったような簡易スタンド・ライトを設置するとハチコローは子供の頭ぐらいな大きさの巣にあるハチの出入り口からスプレーをプシュぅ〜〜〜。
10分で作業は終了した。料金は8000円(税別)。
「ハチだけに8000円なんですね」
と言おうと思ったがある意味、彼は命を賭した作業をしていたと思う。だから言わなかった。

☆帰り際にハチコローは名刺をくれた。
そこには事務所の所在地と電話番号とメール・アドレスが記載されてた。よく見ると普通電話と携帯電話とアドレスすべてに“8”という数字が多用されてた。やっぱりか。そしてこう言った
「中村さん、この時期はもうハチの子供が飛び立ってますんで来年、気を付けてください。場所を覚えていて戻ってくる可能性大です」
「えっ〜〜〜っ!」
来年の初夏、俺がハチコロリアンか?

☆サイド・ギターとしてヘルプ参加中のバンド、ファンブラーズの
ライブが決まった。
そしてこのライブでわたしのヘルプ参加は終わりとなります。
ご都合つく方、よろしくお願いします。

“Foolish Heart vol.3”
11月29日(日) 浜松キルヒヘア
18:00/18:30 1500円(+1d 500円)
出演;
FUMBLERS’66
820光線☆
TOMMY 来風
SUICIDE CRY BABYS

写真は「BARRETT/SYD BARRETT」
大家さんからの電話を受けた後に「ハチ」って思って聴いたのがこのレコード。
シド・バレットの2枚のレコードって聴いてると彼の声のトーンに刺されたような気分になっちゃう。

No.1225 - 2015/11/03(Tue) 23:06:34