[ 掲示板に戻る ]

記事No.1289に関するスレッドです

12月中旬にまつわるいくつかの話 / 淳吉郎
☆「年齢を重ねると一年が早く過ぎてくように感じる」って多くの方々が言われる。
そして本日の昼食時、社内食堂で「もう12月中旬だに。一年早いね〜」なんて会話を同僚の女性と交わしてしまうのは、やっぱり自分も年老いたからか。いや、もしかして地球の自転速度と太陽系惑星の公転速度がアップしてるだけじゃないのか。一日は23時間弱。一年は360日弱。ぐらいのはず。そうさ、みんな生き急いでんのさ。
「歳喰うと自分の非をかんたんに認めたくないようになる」って多くの方々が言われてる。

☆10日(土)の真昼間、浜松中心街の地ビール・レストラン敷地内にあるギャラリーへ出向いた。
60歳越えの知り合いの方が主催する作品展。12名の方々の作品。油絵・写真・水彩画・版画・切り絵・バイクのイラスト・盆栽・押し花・パッチワーク・人形・グラスアートなど目白押し。すごいら。ひとつひとつ丁寧に拝見した。すべて素晴らしかった。でも「うおっ!カッコいいーっ!」って心を奪われたのが盆栽。だった。盆栽に対し初めてそんな気持ちになった。
年齢を重ねたって新しいものが見えてくる。らしい。

☆その帰り、本屋にぷらっと立ち寄った。
やっぱり最初は音楽雑誌コーナー。向かうとひとつの雑誌が俺の方を向いておじぎをした。「こりゃどうも」つってこっちもおじぎ。歳を重ねると礼儀深くなるのさ。彼奴はミュージック・マガジン12月号『特集:文学としてのボブ・ディラン』だった。「へぇ〜。なに?買ってもらいたいの?俺に?あ〜〜〜そう。わかったわかった、買ってやるよ・・・あ、す、すいません、購入させていただきます、ディラン翁」。表紙を飾る似顔絵ディランのサングラスの奥で翁の目がキラッと光った気がしたんです。
歳を喰うと「上から目線」的な「やってやるよ感」的な、でも「尊敬の念は忘れません」的な態度が如実に表れてくる。っぽい。

☆10日(土)の夜、再び浜松中心街のライブハウス:キルヒヘアへ出向いた。
出演はピンク・ロリータ・ジュリエッツ、Gangliphone、UP-TIGHT、スランキーサイド。今回はお店企画だったけど、いやぁ〜楽しかった。おそらく20代〜30代〜40代(一部50代)の各年齢層バンドがそれぞれの音を響かせてた。爆音で。
演者が歳を重ねればその音色も歳を重ねるんだと思う。カッコわるい事じゃない。むしろそれはカッコいい事だと俺は思う。

☆11日(日)は件の雑誌をペラペラ読みながらディランを聴いてた。
「そーいえばノーベル賞の授賞式に翁は出席されないけどパティ・スミスがディランの歌を唄うって新聞に書いてあったな」つってユーチューブ。期待通り早くも動画がアップされてた。ディラン初期の代表曲『はげしい雨が降る』を彼女は唄った。歌唱中にちょっとだけアクシデントはあったけど彼女はしっかり唄ってた。気がする。でも、はからずも、ぼくは確信してしまったんだ「パティは気持ちを込めて、情感たっぷりに唄ってたけど、ディランはレコードでけっこうサバサバと唄ってるよな、あの曲。うん、それ以外の曲でも彼は淡々と唄ってるのが多いよなあ。それがきっとポイントのひとつなんだ。ディラン・ミュージックの」。そんな事をあれこれ考えながらディランを聴き続けてたらいつの間にか夜になってた。
そうさ、俺はディランのレコードをひねもす聴きながら一日分の歳を重ねたのさ。それはきっと、幸せな事だ。

B.G.M.「UP-TIGHT/夜明けは遠い」
写真は土曜日に中村家ふたりで購入の数々。ミュージック・マガジン、アップ・タイトのアナログ、スランキーサイドとガングリフォンの新作CD。

No.1289 - 2016/12/12(Mon) 22:56:08