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記事No.1485に関するスレッドです

アカデミックにまつわる話 / 淳吉郎
☆日々の生活の中で出会うヒトとの会話の中で、ぼくがバンド活動をしているという展開になることがたまにある。「すごい!バンドやってらっしゃるのね」「ええ、まあ」と言いながら、さらに鼻の穴を少し広げて「オリジナル曲を演っているんです」と言うと相手がたまげる場合が多い。鼻穴の大きさではなく自作曲作成の事実にたまげるのであろう、おそらく。
そして「楽譜、読めるの?」って質問される。「読めないんです」と答えると「そういえばサザンの桑田さんも読めないという話を聞いたことがあるけど」「そうです、そうです、その話です。譜面が読めなくても不思議なことに、曲は作れるのですよ」。

もし、桑田さんや淳吉郎さん(彼はわたし)をはじめとする多くのミュージシャンが幼少期からの教育等で譜面が読めたとして。自作曲をメンバーに伝える際は譜面を起こして、それを渡していたとしよう。その場合、それぞれのバンドの楽曲の響き方は今のヴァージョンとおんなじだっただろうか。もしかしたら、アカデミックなだけでおもしろみをなんにも感じない「それなり」の作品が仕上がっていたかもしれない。そこは非常に気にかかるところではあります。

☆8月某日。トヨタ自動車の所在地として有名な愛知県豊田市を訪れた。豊田市美術館で開催中の『クリムト展:ウィーンと日本 1900』。西暦1900年前後に活躍したオーストリアの画家:クリムトの展覧会。クリムト作品を数点しか知らないので、会場内各所に設置されている画家のバイオグラフィも含む解説をしっかり読み、「なるほど」とひとり合点(がってん)しながら絵を見ていった。
やがて、とある代表作品が現れた。上から目線の半開きなふたつのおめめと半開きな上下くちびるの女性。彼女はぼくをじ〜っと見ている。いや、左隣にいる美術大学の画学生風な女性や右側でぺちゃくちゃと的外れ(まとはずれ)な会話をしているカップルではなく、彼女は確実にこのぼくを見つめているのさ。こちらを見つめてくれているのに目をそらしたら彼女に対して失礼だと思いぼくも見つめる。あれれ? いま、彼女の艶(つや)っぽいくちびるが動いたぜ。

「ねぇ、あんたジュンキッチーでしょ」
「は、はい、そ、そうです」
「来てくれてあんがとね」
「あ、あんがとって・・・いやいや、こちらこそお会いできて光栄です、ははは」
「あんたさあ、上の文章で桑田とかまわりのバンド仲間と同次元で自分を語ってたでしょ」
「はい?」
「幼少期からの教育とかで譜面が読めたとして、とかどうとか言ってたらぁ!」
「は、はい!言ってました!・・・言ってたらは遠州弁なんですけど・・・」
「あんたねぇ」
「はい!」
「あたいが言いたいのはさぁ、あんたがいっちばんアカデミックってことなんよ!前例にならって曲や歌詞を作って、シロウト相手にすごいだろ?なんて、いい顔してるだけよ、そんなイケメンでもないくせに。ははは。ダァっっっサっ!今度のスリックスの新曲、どうするべきかこれ以上あたいに言わせんじゃないわよ!わかったわね!」
「わ、わかりました!ユディトさまっ!」

中学2年の時の担任は美術担当のきれいな女性教師だった。絵画鑑賞の時間、たしか彼女は「絵と対話してください」って言ったような記憶があるのだが、ぼくはついにそれを達成できたってことか。そして夏休みの自由研究は「アカデミックではない自作曲作成」って事か。んんん、今日(18日)で夏休みは終わりなのに・・・。

B.G.M.「THE MOTHERS OF INVENTION/FREAK OUT!」

☆★☆★☆★☆★☆★
ザ・スリックスの次のライブです。

☆THE 1970 A GO! GO!
■9月23日(月) 浜松キルヒヘア
■開場/開演 17:30/18:00 前売/当日 ¥2000 (1d別)
■出演;
THE 1970
地獄の季節
THE SHOTGUN GROOVE
THE SLICKS
■DJ:F山(PHONOSICS,WHIZZ)

写真:このフランク・ザッパのレコードは30年前に購入した。当時所有のロック名盤ガイド・ブックに載ってたから。当時は良さがわからずダメだった。30年経過したんで「そろそろかな」と思って聴いたけど、やっぱり距離感は変わらず。次の30年後は俺、82歳か。とりあえず3年後ぐらいに聴いてみようかな。
購入後、観ていなかった遠藤ミチロウさん監督および出演の映像作品をこの夏、ようやく鑑賞。4月末の訃報とは関係なく感慨深く観ました。
最近読んでるのは好きな作家:町田 康さんといしいしんじさんの対談集。おもしろすぎる。対談集なのに哲学書みたいなんだ、ぼくにとって。

No.1485 - 2019/08/18(Sun) 19:48:42