以前とくらべ、動画投稿サイトで音楽映像を眺める時間が格段に増している。 今では動画投稿を生業(なりわい)とするひともいるらしい。 ライブ映像の場合、実際のライブでは何曲も演奏しているはずなのに、あえて1曲ずつ紹介する手法が多々見受けられる。 それはトータル・アクセス数(動画再生時間)を稼ぐためなのだろうか。 まあ、こっちもお目当ての楽曲のみ見たい場合もあるから、これはこれで便利なのだが。
「あんたさあ、こんなのも興味あるんじゃない?」 そんな鼻に掛かったエッチな声で誘(いざな)うように、お目当て映像が終わると勝手に次の動画が始まってくれちゃう。 「ごめんね、今夜は手持ちが少ないんで」という言葉でお誘(さそ)いを断るように、別の動画を自分で選択するのさ。 誘ってくれる気持ちはうれしいけど、やり過ぎない方がいいときもあるよ。 だって、人にはそれぞれ事情があるのさ。
先日、ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツの映像を観ていた。 次の動画も、その次の動画もジョーンだったので、その日はサイトの言うがままに任せて見続けた。 そしたら4曲目の紹介はジョーンではなく、中島みゆきさんの『糸』という曲を名も知らぬ四人組の女子アイドルが歌番組でカバーしている映像だった。 興味はなかったが見た、というかついつい見てしまった。 パソコン画面に出ていた女のコたちの顔や衣装より、下に出ているその曲の歌詞に惹かれた。 中島みゆきというひとに興味が生まれた瞬間です。
家内にそのことを話すと「わたし、中島みゆきのレコード持ってるのよ」と言う。 家内は誇らしげな顔つきで2枚のレコードをぼくに手渡した。 そのうちの1枚を3日間にわたって夕飯時に聴いた。 なるほどと思った。 4日目、ステレオの前のソファーに座って歌詞カードを見ながら聴いた。 とある曲でぼくは、あやうく落涙しそうになった。
もし、涙がこぼれ落ちてしまったとしよう。 おそらくぼくは、 「玉ねぎを切っている真っ最中だった」とか 「地球に重力があるから落ちただけだ」とか 言い訳をしただろう。 メロディ、歌詞、曲の展開、歌声と唄い方、まさに非の打ちどころがない楽曲だった。 じっくりと中島みゆきさんのレコードを、できれば発売順に集めてゆこうと思った。
私感ではジョーン・ジェットと中島みゆきの接点は「自分の言葉で唄っている」ってこと以外、そんなにないと思う。 「あんたさあ、こんなのも興味あるんじゃない?」 あの日、鼻に掛かったエッチな声でぼくをみゆきさんに引き合わせたのは、いったい誰だったんだろう。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★ THE SLICKSの次のライブです。 この日の出演は2バンドのみとなりそうです。
AVANTI presents 2020年6月27日(土) 場所:豊橋二川アバンティ 開場:18:00/開演 19:00 前売:1500円/当日:2000円 (+1d 500円) 出演:Big Remark , THE SLICKS
B.G.M.「中島みゆき/寒水魚」 B面3曲目収録の『時刻表』という曲がそれです。 おそらくこの先、彼女のいろんな名曲を知るようになると思うけど、この曲が揺(ゆ)るぐことなくベストのまま、そんな気がすでにしている(笑)。
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No.1548 - 2020/06/08(Mon) 19:32:43
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