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記事No.1560に関するスレッドです

あいつの部屋 / 淳吉郎
築四十年以上と思われる木造平屋建ての建造物が二棟、近隣にある。
「昭和生まれの古民家」と呼べば聞こえはいいが、100歩ゆずって見ても「ボロ家屋」にしか見えない。
『365歩のマーチ』のごとく、♪100歩ゆずって2歩下がる〜♪をした、もしくは唄った、としても『入居者募集中』という色あせた立て札が郷愁を誘うのさ。

その前を通りすぎるたび、不思議に思うことがあった。
二棟のうち、一方の家屋では台所すりガラスのむこうに鍋や急須といった食器が見えるのだ。
わたしが現在地に住みだした11年前には、この家屋にひとが住んでいた。
顔は知らないが、ミニ・キャンピング・カーが駐車場にあったし、マフラーを改造した原チャリもあったので老人ではないはずだ。
「ははーん。引越しの際に、やつは食器類を置きっぱなしにして立ち去ったのであろう」とわたしは推測した。
「立つ鳥、あとを濁さずという言葉をおぬしは知らぬのか」とわたしは会ったこともないあいつに向かって言った。

先日、その二棟が取り壊された。
半壊状態の朝、わたしは期待を込めてあいつの部屋の偵察をした。
天井や土壁に河合奈保子ちゃんや柏原芳恵ちゃんや宮崎美子ちゃんたち、そしてもちろん美保純ちゃん(!)のポスターが貼ってあることを期待しながら。
貼ってあったときには、栄誉ある「昭和生まれの古民家」の称号を授与しようと思っていた。
だがしかし、家屋は授与されずにその日をむかえることになった。

偵察時に驚愕したのは、置きっぱなしは食器だけではなくソファーやタンスもあったこと。
そして、なんと地デジ対応の液晶薄型テレビジョンもあったんだ。
「え? これも? 財閥の令嬢と結ばれたのかもしらんけど、俺だったらせめて中古買取センターに持ち込むぜ」と思った。
その瞬間、液晶薄型テレビジョンがコクリとうなづいた。気がした。
「あいつはいったいどんなやつだったんだろう」
そう思いながら歩き始めたわたしの眼前にある真夏の陽光は、ただただ白かった。

B.G.M.「本間章浩/Steve」

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☆淳吉郎、DJイベントに出演します。

FRIDAY vol.4
9月4日(金)
場所;浜松メスカリンドライブ
開演 20:30
前売/当日;1000円 (+1d 600円)
DJ;saikou , chammboo ,
KEISHI , mio (820光線☆,BEATSEEKER)
淳吉郎

DJイベントのためスリックスの演奏はありません


写真:本間さんの六曲入り新作が発表された。
本間さんはいわゆる絶叫スタイルで唄う方なのだが、この作品では声質がマイルドになっていると感じた。
そしてアコギの音色でもそれを感じた。
これまでとは違う場所でのレコーディングということを伝え聞いてはいるが、それだけのことではないような気がしています。

No.1560 - 2020/08/17(Mon) 20:01:27