マモル&ザ・デイヴィスのレパートリーのなかに『キャデラック5号』という曲がある。 歌詞の一部に 「キモチいいぞ 眠たいときの あと5分 いくぞ! キャデラック」 というくだりがある。 くだりなのにのぼり調子なのさ。 たったこれだけの唄いまわしで、そうそうそう、わかるわかる、と首肯してしまう。 これこそ詞であり詩だと思うし、母国語で唄われる楽曲の良さのひとつだと思います。
ここ最近、目覚まし時計が発する「チリリリン」という号令よりも早く起床している。 前夜に摂取したアルコールを含んだ水分の影響なのかは不明であるが、号令の1時間前ぐらいに尿意が「ニョイニョイ」と揺さぶりを掛けてくるのである、熟睡中のわたしに。 トイレから戻り、掛布団のなかにもぐってマブタを閉じるが眠気は復活しない。 ひつじの数を数えるが、マブタの奥にあるわたしの眼球は、まるで不良少年が持つあの「燃える目」のようにランランとしているんだ。 こうして一時間後、わたしは目覚まし時計に向かって「おい、そろそろ起きる時間だぜ」なんて語り掛けている始末さ。
ティーン・エイジャー前半のころ、富士登山をした。 登山口に到着し、いざ富士山。 山頂を見上げて驚愕した。 だって、標高3776メートルの頂上が「すぐそこにある」ように見えたんだ。 「けっ! ニッポンいちの富士山つったって、ほら、そこに頂上があるじゃんか。一時間で到着だな」 世界遺産登録されるよりも、すーっと前の時代だったのだが、わたしはエラソーにそう思ってしまった。 だがしかし、登れど登れど頂上は近づかず、おんなじ場所に鎮座ましましているばかり。
届きそうで届かない山頂に向かって、 「富士山さん、どうしてあなたは富士山さんなの?」 おもわずそう訊いてしまった。 しかしながら、まるでそれはサンサン七拍子みたいで、問いかけているのか応援してるのか、わからなくなってしまったんだ。 と同時に、こう思った。 「マモルさんが唄っている『キモチいいぞ 眠たいときの あと5分』と、俺が最近体験している見切り発車の起床時間なのに、目がランランとし続けているのと、これはもしかして、おんなじじゃん」 「それってさ、掴(つか)んでいないと思ったのに、手のひらを広げてみたらナニかがちょこんと存していた、ってのにちょっと似ている」 「それってさ、手に入れたと思ったのに、かばんを開けたら空っぽだった、ってのにちょっと似ている」
10代前半のぼくは50代前半の俺だったってことか。 50代前半の俺は10代前半のぼくってことか。 あ、そうか、つまり、なーんにも成長していないってことじゃんか。
B.G.M.「リズム・アンド・ブルース・デラックス/V.A.」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★ ザ・スリックスのライブ予定です。
☆10月24日(土)岐阜の某ライブハウス。 詳細後報にて
☆11月7日(土) at 浜松G-SIDE BEATSEEKER pre. 「MODERN PLOT vol.15」
BEATSEEKER THE SEE-SAW (京都) STUPID BABIES GO MAD (富士) The lostnumbers (福山) THE SLICKS
DJ: PUJARI, SUE
OPEN 18:00 / START 18:30 TICKET 2,000円 (+1D 500円)
写真: 東京・下北沢へライブを観に行く際は、いつも三軒茶屋のホテルに宿泊し、茶沢通りという街道を歩きながらライブハウスに向かいます。 その道中に風情のある古本屋があって、そこにはレコードも少しだけ置いてある。 このR&Bのオムニバス盤は、その店で1000円で購入。 『キャデラック5号』は2012年発表の「YOUNG BLUES」の7曲目に収録。
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No.1567 - 2020/09/27(Sun) 21:48:23
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