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記事No.1567に関するスレッドです

10代の暴走、もしくは50代の走行にまつわる話 / 淳吉郎
マモル&ザ・デイヴィスのレパートリーのなかに『キャデラック5号』という曲がある。
歌詞の一部に
「キモチいいぞ 眠たいときの あと5分 いくぞ! キャデラック」
というくだりがある。
くだりなのにのぼり調子なのさ。
たったこれだけの唄いまわしで、そうそうそう、わかるわかる、と首肯してしまう。
これこそ詞であり詩だと思うし、母国語で唄われる楽曲の良さのひとつだと思います。

ここ最近、目覚まし時計が発する「チリリリン」という号令よりも早く起床している。
前夜に摂取したアルコールを含んだ水分の影響なのかは不明であるが、号令の1時間前ぐらいに尿意が「ニョイニョイ」と揺さぶりを掛けてくるのである、熟睡中のわたしに。
トイレから戻り、掛布団のなかにもぐってマブタを閉じるが眠気は復活しない。
ひつじの数を数えるが、マブタの奥にあるわたしの眼球は、まるで不良少年が持つあの「燃える目」のようにランランとしているんだ。
こうして一時間後、わたしは目覚まし時計に向かって「おい、そろそろ起きる時間だぜ」なんて語り掛けている始末さ。

ティーン・エイジャー前半のころ、富士登山をした。
登山口に到着し、いざ富士山。
山頂を見上げて驚愕した。
だって、標高3776メートルの頂上が「すぐそこにある」ように見えたんだ。
「けっ! ニッポンいちの富士山つったって、ほら、そこに頂上があるじゃんか。一時間で到着だな」
世界遺産登録されるよりも、すーっと前の時代だったのだが、わたしはエラソーにそう思ってしまった。
だがしかし、登れど登れど頂上は近づかず、おんなじ場所に鎮座ましましているばかり。

届きそうで届かない山頂に向かって、
「富士山さん、どうしてあなたは富士山さんなの?」
おもわずそう訊いてしまった。
しかしながら、まるでそれはサンサン七拍子みたいで、問いかけているのか応援してるのか、わからなくなってしまったんだ。
と同時に、こう思った。
「マモルさんが唄っている『キモチいいぞ 眠たいときの あと5分』と、俺が最近体験している見切り発車の起床時間なのに、目がランランとし続けているのと、これはもしかして、おんなじじゃん」
「それってさ、掴(つか)んでいないと思ったのに、手のひらを広げてみたらナニかがちょこんと存していた、ってのにちょっと似ている」
「それってさ、手に入れたと思ったのに、かばんを開けたら空っぽだった、ってのにちょっと似ている」

10代前半のぼくは50代前半の俺だったってことか。
50代前半の俺は10代前半のぼくってことか。
あ、そうか、つまり、なーんにも成長していないってことじゃんか。

B.G.M.「リズム・アンド・ブルース・デラックス/V.A.」

☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ザ・スリックスのライブ予定です。

☆10月24日(土)岐阜の某ライブハウス。
詳細後報にて

☆11月7日(土) at 浜松G-SIDE
‪BEATSEEKER pre. 「MODERN PLOT vol.15」

BEATSEEKER
‪THE SEE-SAW (京都)
‪STUPID BABIES GO MAD (富士)
‪The lostnumbers (福山)
THE SLICKS

‪DJ: PUJARI, SUE

‪OPEN 18:00 / START 18:30
‪TICKET 2,000円 (+1D 500円)


写真:
東京・下北沢へライブを観に行く際は、いつも三軒茶屋のホテルに宿泊し、茶沢通りという街道を歩きながらライブハウスに向かいます。
その道中に風情のある古本屋があって、そこにはレコードも少しだけ置いてある。
このR&Bのオムニバス盤は、その店で1000円で購入。
『キャデラック5号』は2012年発表の「YOUNG BLUES」の7曲目に収録。

No.1567 - 2020/09/27(Sun) 21:48:23