某年某日、こんなことがあった。 東京へライブを観に行った帰りの新幹線内で、こともあろうか事前に購入したビールを飲みつくしてしまったんだ。 それはこだま号だったから、車内販売はありません。 わたしは自分の先見の眼の無ささ加減に、いいかげんウンザリしちまったぜ。 そんな時、ちょうど通りすぎた車掌にウンザリ顔なわたしはこう問うた。 「すみません、次の新富士駅でビールを買いたいんですけど、時間的に大丈夫ですか」
彼はすぐさま答えた「それでしたら〇号車でお降りください。目の前が売店になっていますので。のぞみの通過を待ちますので大丈夫ですよ」 彼が言ったとおりわたしは〇号車の搭乗口まで歩んでゆき、そこで新富士駅到着の時を待った。 数分後、駅に到着すると目の前には売店があり、わたしはビールを購入しながらあの車掌のプロフェッショナルな案内に驚愕した次第。
11月某日、静岡市へ行った。 ピンパーズ・パラダイスでワタナベマモルさんの弾き語りツアー公演があったからだ。 共演が静岡市を代表するバンドのひとつ、C.C.RIDERと聞いて「行かないという選択肢」がわたしには見当たらなかった。 ぼくが好きなひとたち、そのひとたちが自分の好きなことをしているのが大好きなのです。
演奏はC.C.RIDER、店主でもあるマッキーさん、最後がワタナベマモルさんの順だった。 C.C.RIDERのヴォーカルで友人でもあるカトちゃ、そしてマッキーさんとマモルさんの声色(こわいろ)に引き込まれたサイコーな夜だった。 この世のなかには「背が高いひと」がいたり「走るのが速いひと」がいたりする。 それとおんなじように「いい声を持っているひと」がいるのです。 いろんな努力をすれば、それらにあてはまらないぼくのような人間でも、ちょっとは近づけるような気もする。 だがしかし、そうは問屋が卸さないものさ。 いまやメーカー直売りの時代だし。ね。
そんなことを考えながら、22時28分静岡駅発の新幹線ひかり号に乗車した。 その時刻に新幹線乗車するひとは少ない。 ガラガラな車内のなか、自由席の乗車券だったわたしはちゃっかり指定席に座っていた。 やがて車掌が現れ、こう言った。 「すみません、指定席券を拝見させてください」 「あ、すみません、持ってないです。でも、いいら、ぼく降りるの次の浜松だで。あと15分もすりゃあ着くに」 「いえ、やはり指定席券を買っていただかないと困ります」 「あ、そうなんだ。わかりました」 わたしは自由席へと向かいながら、脳裏のなかでこうつぶやいた。 「新富士駅ビール購入をサポートしてくれたあのときの車掌さんだったら、今回はどう言ったんだろう」
B.G.M.「THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE/I DON’T LIVE TODAY」 ジミヘンやポール・ウェラーというスーパー・ウルトラ・ミュージシャンが、自分の声にすごくコンプレックスというか引け目を感じていたという話を聞いたことがある。 「え〜ホント? ウソだろ」なんて思いながら、「ま、俺もしょうがねぇか。唄うしかないよね」なんつって開き直りつつ安堵する自分がいた日を、昨日のことのように覚えています。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★ ザ・スリックスのライブ予定です。
☆1月24日(日) at 浜松G-SIDE 詳細後報で
☆2月14日(日) at 浜松キルヒヘア 詳細後報で
|
No.1578 - 2020/12/06(Sun) 19:18:44
|