6月某日。6年前に亡くなった実父の七回忌法要が執り行われた。 葬儀以降に行われた法要は初七日、四十九日、一周忌、三回忌だけど、実はわたしはこれらの法要が苦手ではなかった。 なぜなら「日々の生活とは違う異質な空間」だったから。 不謹慎な言い方かもしれぬが「それ」は楽しかったって言葉にちょっとだけ近いかも。
今回もお寺の広い空間に、和尚様の読経がこだました。 そんな中、とある瞬間、お寺の前に植わっている樹木から「ホーホケキョ」とウグイスが鳴いた。 西川のりおさんの「ホーホケキョ」ではありません、モノホンの「ホーホケキョ」です。 その声質と発声のタイミングが絶妙だったんだ。 それはアンサンブルを重視するバンドマン、そのハシくれに必死でぶら下がっているわたしですら首肯してしまう瞬間だったし、やっぱり法要は苦手ではないと思った次第。
法要の種類によってお経の内容は変わっていくのであろうか、和尚様は今回、いつよりも増して「ナンマイダー、ナンマイダー」と連呼している気がした。 「えーと、ビートルズは解散まで12枚のスタジオ・アルバムを発表しました。ストーンズは23枚だっけ……60年代中盤まではイギリスとアメリカでタイトルや収録曲が違ったりして、ややこしいんで、すんません和尚さん、イギリス盤で勘弁してつかーさい……あ、それとあいつら、90年代以降はベスト盤とかライブ盤で最後にスタジオ録音の新曲とかを入れるセコイやり方、もとい商売上手なやり方を……」 「それではみなさん、ご焼香をお願いします」 「ホーホケキョ」またしてもウグイスが絶妙のタイミングで合いの手を入れたのさ。 まるでキースに呼応するロニーみたいに。
B.G.M.「RCサクセション/うぐいす」 1990年発表、RCサクセションのアルバム『Baby a Go Go』の5曲目に収録。 もしもわたしの願い事がかなうならば、ツバサよりもこのアルバムのLPレコードが欲しい。
|
No.1603 - 2021/06/27(Sun) 22:24:44
|