『プリーズ・ミスター・ポストマン』って曲がある。 「ねぇ、郵便屋さん、あたしのお気に入りの彼からの手紙があなたのバッグに入ってる?」そんな内容。 めちゃくちゃリアルでありながらファンタジー、かつロマンチック。 目標に向かっているという点において「恋してるひと」はある意味アスリートだと思う。 そして、「恋のゴール」はひとそれぞれでしょう。
2000年代になってから浸透したメールというシステムによって「気持ち」のキャッチボールやパスワークはスピーディーになった。 文明の利器を使用してすばやく行動、日々のもろもろのみならず、恋の告白でも。か。 だがしかし、上記の楽曲が発表された1960年代初頭で、彼氏の手紙をじっと待っている彼女の「気持ち」だってスピード感満載だと思う。 生活の中のすべての出来事に、「速い」「早い」「ゆっくり」とかではない「自分に合った」「それにぴったり」なスピードがある。
7月某日。 ポストを開けるとぼく宛てのハガキがあった。 「おっ!? 誰から? もしかしておいらは今夜、イニシエの名曲の主人公ってわけ? 郵便屋さん、お忙しいなか、どうもありがとーございました」 わたしは浜松西郵便局の方角に向かってコウベを垂れた次第。 ハガキにはこう記されていた「まもなく車検の時期です」
恋文ではなく自動車屋からのハガキだったことにガクゼンとしつつ、え? そうだっけ、とわたしは思った。 だってマイカーの車検期限は2022年1月12日なのです。 6か月後が「まもなく」なんだ? 先手必勝ってやつ? 車検対象者の青田買い……って、こちとら青い稲の年齢じゃないっちゅーに。 「恋のゴール」や「老いのゴール」「生活のスピード」がひとそれぞれなように、日本語のとらえ方もひとそれぞれらしく。
B.G.M.「ザ・ハイロウズ/千年メダル」 1998年発表、ザ・ハイロウズのシングル盤。 ♪この恋がいつの日か 表彰台にのぼる時 君がメダルを受けとってくれないか♪ この時代のヒロトにとっての「恋のゴール」がこんな言葉で表現されています。 初めてこの唄を聴いた時、涙がぼくの両目からとめどなく流れたのを昨日のことのように覚えている。
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No.1606 - 2021/08/08(Sun) 18:45:15
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