初めてレコード盤を買ったのは10歳の頃だったか。 1枚600円のシングル盤。 それ以降、お小遣いを工面してシングル盤を買うようになった。 初めてLPレコード盤、つまりアルバムを買ったのは、その一年後ぐらい。 1枚2500円した百恵ちゃんのアルバムに収録されているシングル曲は『いい日旅立ち』だけだったことにぼくはズブンと意気消沈してしまった。 「おいらの『プレイバック・パート・ツー』『絶体絶命』『謝肉祭』は未収録?」って。 そんな事を思いつつ、ひとつの謎も生まれた。 「このアルバムは12曲入りで2500円だら。つまり1曲換算208.3円。だがしかし、シングル盤は2曲入りで600円だから1曲換算300円だに。なんなんだ、この格差は。シングル盤ってのはコスパに問題ありだと思うんすけど」
1月某日、ザ・クロマニヨンズのシングル盤を購入した。 そのバンドは2021年8月から2022年1月までに渡り、毎月シングル盤を発表する企画の真っ最中で今回がその最終回。 おまけに6枚目のシングル盤発売日に、そのシングルおよびそれまでのシングル盤5枚の収録曲全12曲を網羅したアルバムも発表したからそれも購入。 シングル盤は1枚1320円なので1曲あたり660円、アルバムは3500円だから1曲あたり292円弱。 ん〜すごい格差、というか俺が高校生だったらシングル盤をすべて購入したかな。もしかしてアルバムが出るまで六か月のあいだ我慢したかも。 嬉々として毎月シングル盤を買い続けたわたしが言うのもへんだが、今回の彼らの姿勢はどうなんだろうと思います、ティーンエイジャー・ファンも多いバンドだけに。 あ、でも今回のアルバム自体は作品としてめちゃくちゃ好き。うん、サイコー!
「秘伝のタレを使用した〇〇」なんてなキャッチ・コピーで一般人の購買欲を誘(いざな)おうとする食品メーカーや菓子メーカー。 だがしかし、われわれは結果論で生活してるんで。 つまりは「美味いかどうか」ってことであり、「このクルマには我が社の技術の結晶が詰まっております」って力説されても、そのクルマが「カッコいいかどうか」もしくは「俺が求める走りができるかどうか」ってことであり。
自作曲や自作画で表現を試みるひとたちがいる。 んで、わたしはその大木(たいぼく)の末端になんとかぶら下がっているギター弾き。 上述したメーカーの方々同様、われわれも自作曲作成にあたり様々な手段で完成に近づけます。 器財を駆使した「宅録」という手段を用いて自部屋でバンド・サウンドを構築したり、ギター1本の弾き語り音源をメンバーに渡したり、深夜なのにメンバーに電話して「新曲できたで聴いてや」つって受話器で披露したり。 そしてわれわれ音楽好きは、その「新曲」がライブや音源で演奏された時点でカッコいいかどうか、ってところで生きている。 つまり、そこにはコスパなんて言葉が存在するわけがないのさ。
1月某日、ワタナベマモルの最新アルバム「PRIVATE TAPES 1995-1998」を購入した。 マモルさんが1995年から1998年にかけて発表した4本にわたる宅録カセット音源を2枚組のCDにまとめたもの。 古今東西から響いてくるグッド・ロックンロール・ミュージックのエッセンスが詰まった曲調、そこに日々の生活の中で感じたことがらを、時にはユーモアも混ぜながら、彼の言葉で唄ってるのが氏のスタイル。 わたしはそこに非常なシンパシー(共感)を感じるのです。 だから今回の作品には制作した90年代中盤以降という時期や宅録という録音方法など、すべての面でものすごく興味があった。 そして、その音源を聴き終えたぼくはこう唸った「やっぱ、すげぇ」。 つまり、ワタナベマモルが演ってるのはコスト・パフォーマンスではなく、ロックンロール・パフォーマンスってことさ。もうサイコー!
B.G.M.「ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61」 昨年からのマイブーム継続中〜。
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No.1623 - 2022/01/31(Mon) 00:05:35
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