♪群集心理もろ出しで あいつがやるから俺もやる 何でもやります うわべだけ はやりすたりに敏感で♪ そんな唄が、とある13歳の少年の鼓膜を通過しました、ギューン。 そのあと、そいつは彼の心のなかにある琴線(きんせん)という部分を揺さぶった。 少年は斯(か)くして、世間でもてはやされているさまざまな物事に追従すること、それをカッコ悪いと思うようになった。 もしかすると、彼がもともと持っている性格によるところが大きいのかもしれぬが。
5月から6月にかけて国内でアイス・スケートのショーが開催された、らしい。 それは有名選手が出演するイベントらしく、まあ音楽でいうならば「モンタレー」とか「ウッドストック」とか「ワイト島」ってところかもな、って想像した次第。 ふとしたタイミングでそのイベントにおける羽生結弦さんのショーをネット拝見した。 実のところその映像にて初めて彼のスケートに触れたのです。 なぜならわたしは「あの日」から42年が経過した今でも「世間でもてはやされてるさまざまな物事に追従することをカッコ悪い」と思ってしまう輩(やから)。 だから、オリンピック等で彼のスケートを見ることを避けていたきらいがあるんだ。
シンフォニー(交響曲)の中でマエストロの指揮棒が宙をたゆたう。 まるで、バイク乗りがコーナリングの手前でアクセル・オフしてやわらかく廻り、そのあとのストレートで一気にアクセル全開するように。 もしくは、カレーライス店の厨房におけるコックさんのフライパンで、肉や玉ねぎやニンジンが強火で炒められ、そのあと注がれた水が彼らをクール・ダウンさせることなく安定した弱火でビートを刻み続けるように。
マエストロの指揮棒のように、羽生選手は氷面上をたゆたっていた、舞っていた。 ワイルドネスとテンダネスをハイ・スピードの滑走の中に共存させている。 「なんなんだ、これは」「うつくしい」「彼はアスリートではなくアーティストだ」そう感じた。 初めて接した羽生選手のスケーティングにわたしはとんでもない衝撃を受けてしまったのです。 彼のファンになった。 そんななか7月某日、彼が競技を退きプロとしてショーを中心に今後は滑っていくというニュースが報じられた。 わたしはその報を読む、飲酒しながら。
「バッチリだと思います、だってあなたはアーティストですから」 「あのお、音楽でも演奏テクニックはいっぱしなのに肝心かなめのライブやオリジナル楽曲がダサいミュージシャンの方が圧倒的に多いぐらいなんです。いわゆる表現力の欠如と言うやつだら。その点、先日のアイスショーでのあなたの表現力にわたしは圧倒されただに」 「おい、ユズっ(酔いもまわり勝手にあだ名で呼んでいる失礼な男)、いつかキミのショーを観にいくでね。んで、たとえば年齢を重ねて70歳ぐらいでも演っててほしい。その頃には《ハニュー・スロウ・スケート》ってジャンルが確立されているんだ。そしてマエストロの指揮棒はゆっくりと弧(こ)を描(えが)いてるはずさ、イェイ」
B.G.M.「藤井一彦/情熱と呼ぶには」 2022年発表、THE GROOVERSの藤井さん3枚目のソロ作品『月を見ろよ』7曲目に収録。 1枚目2枚目同様、弾き語りのアルバムなんだけど「新しいスタンスで演る」という姿勢がギンギンに伝わってくる傑作だと思う。すばらしい。
☆★☆★☆★☆★☆★ ザ・スリックス、次のライブです。 よろしくお願いします。
11/12(土) 浜松 Tehom iNsidEoUt7
出演: WHIZZ THE PIANICA THE SLICKS etc..
DJ Masa68 KENGOi!
詳細後報します。
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No.1631 - 2022/07/31(Sun) 16:37:10
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