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記事No.1634に関するスレッドです

ふるさとにまつわる話 / 淳吉郎
10月某日、とある知らせを目にしてこんな言葉が脳裏を闊歩しました。
「ふるさとは遠きにありて思うもの」
ああ、そうか、親のありがたさは離れてみないとわからないってことか、と自己解釈していた次第。
その言葉の真の意味を知りたくネット検索をすると、そのような意味合いではないことが判明した。
自分の薄学さ加減を恥じるとともに開き直る。
「まあ、いいら、自分の唄が手元を離れた瞬間からその楽曲は勝手にみんなのところへ歩いていくんだ、解釈なんてひとそれぞれ、って多くのミュージシャンが言ってるし」

憧れの場所、福岡市博多を初めて訪れたのは西暦2001年7月のことです。
敬愛するポール・ウェラーさんの弾き語りソロ・ツアーを観るために。
わたしと同様に彼を敬愛する友人と一緒にブルー・トレインにて深夜に浜松を出発、ガタンゴトン。
目が覚めるとそこは九州だった。
立ち並ぶ工場群と晴天を突くような長い煙突の数々。
ふたりは古いアルバムのフォトグラフを眺める気分で車窓からの景色を見やる。
「ルースターズが生まれた北九州だね」

博多に到着するとふたりは別行動。
それぞれのお目当てがあるのさ、だってここはぼくらにとって憧れの場所だから。
下調べをした手書きの地図を頼りに、とあるレコード屋に向かった。
そこは高校生の時にその存在を知ったお店であり、訪店とともに店主にお会いするのがティーンエイジャーの頃からの夢だった。
7歳の野球少年が15年以上の歳月を経てようやく東京ドームに辿り着いたような気持ちでわたしはお店の扉を開ける。
商品をくまなく見た後、数枚のレコードをチョイスしレジに向かう。
だがしかし、店主は不在のようで若い男性がレジにいました。
「あ、康さんは?」
「すみません、康さん、今日は広島へ出張しています」

数年後、博多へ再訪、もちろんその店へも再訪。
お店の扉を開け、レジを見やるとそのひとはいました。
商品をくまなく見た後、数枚のレコードをチョイスしレジに向かう。
自分で言うのもなんですが、わたしは人見知りをしないタイプ。
でもその日、その店主を前にわたしは緊張してしまった。
だって彼こそ、70年代後半からの博多ロック・シーンにおける多くのバンドの音楽性を育(はぐく)んだ屋台骨のような存在、そうわたしは思っていたからです。

10月某日に受けた知らせは、その店主の訃報だった。
1977年開業のそのレコード屋も閉店するとのこと。
わたしにとって博多という街は、近くにある気がするけど、やっぱり遠くにある街。
わたしにとって博多という街は、とっても遠くだけど、すぐそこにある街。
「ふるさとは遠きにありて思うもの」
そう、これからもそのお店、ジューク・レコードはわたしの心のなかで営業中なのです。

B.G.M.「LITTLE WALTER/JUKE」
ウォルターの1stアルバム『THE BEST OF LITTLE WALTER』のB面1曲目に収録されたウォルターのハープがバリバリなインスト・ナンバー。

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ザ・スリックス、次のライブです。
WHIZZが7インチ・レコードのシングル盤発売っ! いぇーいっ!
ザ・スリックスはトップで演奏します。よろしくねー!

11/12(土)
浜松 Tehom
iNsideoUt 7

出演:
WHIZZ
Abe and The Shits
The 1970
THE SLICKS

DJ
SHOGO
KENGOi!

開場/開演 18:00/18:30
予約/当日 2000円/2500円 (+1d 500円)

No.1634 - 2022/10/23(Sun) 16:28:51