たとえば好きな映画であれ、好きな酒であれ、好きなバイクであれ、嗜好が自分とおんなじだったり、似ていたりするひとに出会った時というのは、心強いものです。 仲間を見つけたというか、援軍を得たというか、「よし、俺はまちがっていなかった」みたいな、そんな感じ。 もちろん好きなバンドやミュージシャンの時もそうであり。 ロンドンのとある駅にてチャック・ベリーとマディのレコードを抱えてたミックに、キースが声を掛けたところからストーンズが始まったというエピソードもあります。
80年代の中頃だったか、某音楽雑誌にてそのキースのインタビューを読んだことがある。 「最近のお気に入りは誰ですか?」 インタビュアーの問いかけに対しキースはこう答えた。 「うん、最近はジョーン・ジェットがいいな。あとAC/DCもいいぜ」 カキーンっ! まるで大谷選手が特大ホームランを放った瞬間のフル・スウィング・バットから響く音のようなものが、わたしの脳内スタジアムに響きわたりました。 「おいっ! キース、俺と一緒だぜ!」
90年代の初め頃だったか、当時働いていた会社に同世代の若者が途中入社しました。 わたしは安価英国車の代表格であるミニという自動車に乗っていたのですが、彼もミニに乗っていた、しかもかなり改造してあるやつ。 「おーいいねー、かなり改造してあるじゃん」 「いえいえ。あ、ナカムラさんはストーンズ好きなんですか?」 「好きだけど、なんでわかるよ?」 「だって、ナカムラさんのミニのルーム・ミラーにベロ・マークの札(ふだ)が引っ掛けてあるじゃないですか」 「あ、だよねー(笑) んで、キミはナニ聴くの?」 「ぼくAC/DCが大好きなんですよ」 「おー! 俺も大好き。ところでキミはAC/DCをヘヴィメタだと思う?」 「いやいや、AC/DCはロックンロール・ブギ―です!」 「おいっ! キミ、俺と一緒だぜ!」
11月中旬より、AC/DC熱が再沸騰中。バチバチ。 所有するレコードを聴いたり、ユーチューブを拝見したり。 そして、気づくとギターを手に取ってユーチューブ映像に合わせて弾いている自分がそこにいた! リード・ギターのアンガス・ヤングはもちろんだけど、兄貴であるリズム・ギターのマルコム・ヤングがカッコいいことを再認識。 はい、自動的に「スリックスでこんな楽曲ができるだろうか? ニッポン語で、スリーピースで演れるだろうか? うーん、演ってみたい」という発想になるんですね、これが。 受け身で(?)保守的で(?)引っ込み思案なぼく(?)は、いつもこーやってナニかに導かれっぱなしなのさ。
この文章を2022年に読んでくれたみなさん、一年間ありがとうございました。 よいお年をお迎えください。 この文章を2023年に読んでくれたみなさん、昨年はありがとうございました。 本年もよろしくお願いします。
B.G.M.「AC/DC / IT’S A LONG WAY TO THE TOP(IF YOU WANNA ROCK’N’ ROLL)」 左:1975年発表、オーストラリアでのセカンド・アルバム「T.N.T」および右:1976年発表、世界各国でのデビュー・アルバム「HIGH VOLTAGE」のA面1曲目に収録。 この曲の間奏でスコットランド音楽でよく使われるバグパイプみたいな音色のフレーズが飛び出してくる。 バンドはオーストラリア出身と広く認識されてるけど、マルコム・アンガス兄弟はスコットランド、グラスゴーの出身らしく、納得した次第。 でも、こんなこと(エレキ以外の音色の使用)は、ぼくが知る限りこの曲だけなんじゃないかな。 ワン・パターンとかマンネリって言葉が太刀打ちできないところで、このバンドは音を鳴らしてると思います。 あきらかに、とんでもなくぶっ飛んでるバンド。
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No.1640 - 2022/12/31(Sat) 16:19:36
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