「来年のことを言えば鬼が笑う」と申します。 ですから、昨年のことをふりかえると鬼は泣いてしまうのでしょう、おそらく、きっと。
新聞購読をしているのだが、日々の生活リズム……出社時間が早く、帰宅時間が遅いおかげで週末にまとめ読み、1週間から2週間分を。 しっかりとではなく、第一面の右側に列挙されている目玉ニュースのうち気になった記事をさらっと、です、残念ながら。 昨年10月23日(日)の新聞の目玉ニュースのひとつがこれだった『小平奈緒 有終のV』。 「あ、小平ってあのスピード・スケートの方だら。滑っている時の写真がいっつも眼が釣りあがってて、まるで怒っているような女性だよね。でも、有終ってなによ? 引退ってこと?」
わたしはその記事を読んだ。 彼女がその日(10月22日)をラスト・レースに選んだ理由、これまでの数々の記録、そして彼女が発したたくさんの言葉、その語録をわたしは知った……知ってしまった。 「なんなんだ、このひと。氷上の500mを滑走する36秒から38秒のあいだに『唯一無二の自己表現をしたい』だなんて。だって、俺たちはその5倍にあたる3分前後の楽曲に対して『どうやって自己表現をしようか』って、もがいているだに。そもそも、ぼくらは音楽だから『表現』ってカッコつけて言ってるけど、彼女はスポーツだら。なんなんだ、このひと」 上記を含む彼女の数々の言葉に「哲学」を感じたのです。 彼女のファンになりました。
昨年7月31日の投稿にて、おんなじスケート界のスーパースター、羽生結弦さんについて「ファンになった」とわたしは記しています。 昨年12月初旬、その彼が今年の2月下旬に東京ドームにてワンマンショーを開催するというニュースを新聞で知った。 「東京ドームでスケート? しかも今回は自分でストーリーを書いて、それをこれまで自分を支えてくれたみなさんに贈り物として届けたいだって? なんなんだ、このひと」 彼もまた自分のスケートに対し『表現』という言語を使っていた。 「よし、彼の東京ドーム公演を観るしかないら」そう決断したのさ。
『GIFT』と名付けられた彼の東京ドーム・ライブのチケットを取るべくネット検索。 そしてぼくは途方に暮れてしまった。 なぜなら、彼のライブは電子チケット・オンリーだったからです。 それはスマート・フォンでなければゲットできないチケット、だがしかし、ぼくはガラケー所有。 「今年はついに俺さまもスマホ・デビューするしかないのか……羽生ライブのために」とひとりごちた12月某日。
ガラケー所有のまんま年を越えたわたしは現在もスマホ転換に関してお悩み中。 ありゃ? こんな苦渋の執筆をしているわたしにどこかから声が聞こえてきます。 「ははは、やめとけやめとけジュンキチロー、おまえにはスマホは似合わねえ、ガラケーで充分だよ。羽生ライブは永遠にお預けだな。ははは」 ああ、そうなんだ、昨年のことを言ってるぼくに対し、どうやら鬼さまは泣くんじゃなくって笑っておられるようで。 いやいや、鬼だけでなく、世界中に笑いがあふれる一年でありますように。
B.G.M.「THE CARDIGANS/CARNIVAL」 スウェーデンのバンド、ザ・カーディガンズの1995年発表のセカンド・アルバム「LIFE」のA面1曲目に収録。 この投稿文の執筆に当たり「久しぶりに聴いてみるか」って何気なく選んだ1枚だけど、撮影の際にジャケットの女性、ボーカルのニーナさんがスケート靴を履いていることに初めて気づいた次第。 こーゆー偶然、というか不思議なタイミングでぼくらはみんな生きている、のかもね。
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No.1641 - 2023/01/15(Sun) 23:50:35
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