THE SLICKS BBS

ザ・スリックス、次のライブです。

12/18(土) 浜松G-SIDE
N.J.P 〜6th gig〜 NOZU the Last Show
\2,000(+1D) students\500 off
open 17:00/start 17:30
-act-
THE JASON BLUE-RAY
NOZU
The弾丸ノイズ
B-29
THE SLICKS







ゆきつけの場所にまつわる話 / 淳吉郎
6月某日、ゆきつけの病院に行った。
「ゆきつけ」という言葉を調べると「何度も行って、なじみがあること」と記されている。
だとしたら「ゆきつけの病院」ってのは妙な言いまわしかもしんない。
だがしかし、持病がある我が身にとっては、そんな気持ち(ゆきつけの気持ち)になってしまう。
それはロックンロール・ウイルスにヤラレタわたしたちが、ゆきつけのライブハウスへ行くことにちょっと似ている。

病院には看護師さんが数人いるのだが、2年ぐらい前、そのうちのひとりの方から
「わたしの子供、中学生なんだけど実はバンドを演っているの」
と打ち明けられた。
むろん、わたしがバンドマンということを知ったうえでの会話だ。
今回の診察の際、その方がこう言う。
「中村さん、わたしの息子、もともとベースだったんだけど最近、ギターを始めたんですよ」
「おー、いいねぇ」
「耳コピっていうの? ユーチューブ見て、一生懸命練習してるのよ」

看護師さんのお口から『耳コピ』という3文字が出てきたことは、釣り上げた魚をその場でサバいて食する刺身ぐらい新鮮だったし、なによりも高校生となった彼が現在も音楽を続けている、そして自分の耳で音を探している、それらのことすべてに、真夏の太陽と満天の星空と満月が一緒に輝いているような明るい未来を感じたのさ。
「音楽っていいだいね、いくつになっても続けられるで」
「そうそう」
「わたし、息子にも中村さんのことを話すんですよ」
「へぇーありがと。ちなみに今夜、俺は豊橋でライブ演るんだよーん」
「きゃぁ〜」

6月12日、ザ・スリックスは豊橋市のライブハウスAVANTIにてライブを演った。
来てくれたみなさん、ありがとうございました。
この日、ライブを演ることができたのは、個人的に、そしてバンドとして、誠にグッド・タイミングであったと思う。
誠といっても鮎川誠さんのことではありません。
「本当に」という意味でのマコトです。
グッドであれ、バッドであれ、タイミングっちゅーのはあくまで「結果として」ってことなんで、今回はまさしくラッキーだったと言えよう。
まるで、盆と正月とクリスマスが一緒に来た、もしくは真夏の太陽と満天の星空と満月が一緒に輝いていた、もしくはホンダCB400FOURとスズキGS400とカワサキKH400が一緒に走っていた、そんな感じ。

音楽っていいだいね、いくつになっても続けられるで。
あのかわいい看護師さんが遠州弁で言ったとおりさ。
そう、古今東西、ゆきつけの場所で、いつでもわたしはロックンロール。
この日のライブは、活動上のこだわりである「いつもおんなじ、いつも違うスリックス」にやっぱりなったと思う。
新曲を演ったり。10年以上披露していない古いレパートリーを復活させたり。今まで使ったことのない楽器を使用したり。
ゆきつけの場所で新しいことを演る、うん、カッコいいら。

B.G.M.「ヤンバル/クウネル ウタウ」
AVANTIを「ゆきつけの場所」ではなく「ホーム」として活動する沖縄風三人衆ヤンバル、2008年発表のファースト・アルバム。
現在、入手困難なこのアルバムをようやく聴くことができた。
メンバー全員がそれぞれ楽曲を作っているんだけど、どの曲も歌詞と曲調がヤンバルなのが誠にすばらしい。

写真はAVANTIのスタッフであり、ヤンバルのメンバーでもあるぴろみちゃん撮影。
ぴろみちゃん、今回のオファー、ありがとうございました。

No.1601 - 2021/06/14(Mon) 23:52:24
某日日記 / 淳吉郎
5月某日、浜松メスカリンドライブへライブ観戦。
友人ミッキーさんの企画《TOP FIGHT Vol.2》に、友人のバンドSandyが出演。
どうやら、サンディのみなさんはバンド・メンバーの平均年齢に似合わず(笑)初メスカリンだったらしく。
だがしかし、メンバー4人中3人がスキンヘッズである彼らはあいかわらずのグッド・オールディーズ・ロックンロールの連打、そしてその自前のステージ照明力で会場を盛り上げたのさ。
この日は全6バンドが出演し、DJはミッキーさん。
初見のバンドも多かったし、ミッキーさんの選曲もおもしろく実に楽しい夜だった。
ミッキーさん、サンディのみなさん、おつかれさまでした。ありがとう。

5月某日、我が家の庭の草取りをした。
今年は全国的に梅雨入りが早かったらしく、その反面、太陽の光がサンサンと降り注ぐ日もあったりで、現時点での我が国は植物にとっては至上の楽園ってことかもしんない。
浜松市南区に存する拙宅の拙庭も至上の楽園のひとつらしく、我が物顔で成長した草々を引き抜いた次第。
気づけば45リットル・ゴミ袋、4袋分の作業と相成った。
素直なぼくはよせばいいのに後先考えずに頑張っちゃうから、翌日の我が身体はものすげー筋肉痛。
あまりの痛さに「ゴミ袋1袋の時点にカムバック・プリーズ」っておもわずタイムマシンにお願いをしてしまったほどさ。
横を見ると飼い猫が、こっちの気持ちも知らずに「今、するべきことをしてるだけ」といった風情で自分の体毛の毛づくろいをしていた。

マシンの力を借りてでも過去をやり直したいだなんて、わたしたち人類はまったくおめでたい生き物です。
もし過去をやり直すことができたとして。
そこにあるのが、なんの変哲もない過去ばっかりだったとしたら、それはそれは味気ない未来があるだけなのだろう。

ここでお知らせです。
ザ・スリックスの次のライブ、開場開演時間が変更されました。
出演も3バンドから2バンドへ。
お酒もなーし。おえ〜ん(泣)


6月12日(土) 豊橋AVANTI

《AVANTI presents》
開場/開演;17:00/18:00
前売/当日;2000円/2500円(1d別)
出演;
官舘村慶介二
THE SLICKS

スリックスは18時から演奏開始です。

B.G.M.「JIMMY CLIFF/BRAVE WARRIOR」
1975年発表、ジミー・クリフのアルバム。
漢字一文字で言うなら、このひとは「粋(いき)」だね。

No.1600 - 2021/05/31(Mon) 23:46:22
タイトルにまつわる話 / 淳吉郎
本や映画のタイトルであれ、アルバム音源のタイトルであれ、もちろんひとつひとつの曲名であれ、それを知ったり聞いたりした時、「うわあ、なんかカッコいいね」つってグッとくることがある。
そう、心のなかで「いいね」を押すのさ。
不思議なことにその作品たちは、えてして内容もすばらしいことがとっても多く。
そういえばクルマもそうだった。
スカイライン、フェアレディ、ブルーバード、セリカ、レビン、トレノ等々、歴代の名車は名前もカッコいい。

5月某日、浜松市内の施設へ絵画鑑賞に出かけた。
母親が所属する絵画サークル、年一度の展覧会さ。
油彩画も水彩画も日本画も水墨画もあったから、いわゆるジャンル分けがない展覧会だった。
入場無料ということも含めて、それは「絵画的フリー・フェスティバル」だったといってもよかろう。
フリー・フェスティバル……なんて自由な響き。
個人的には油彩画がもっとも好みなのだが、今回の展覧会において水彩画の良さに気づいた。気づいてしまった。
ああ、そうだよな、強烈なパンクロックで目覚めた俺は、それ以降もなにかのタイミングでさまざまな音楽に出会い、その強烈さのおかげで現在も目覚め続けているのと、それはちょっと似ている。

ライブで使われる言葉のひとつに「コール&レスポンス」って呼ばれるものがあります。
かわいい看護師さんが「中村さ〜ん」って診察室から呼んでくれて、こちらも負けずに「は〜い」ってラブラブ・マーク満載で答える、あの感じ。か。
ライブに限らず、レコードを聴いていてもわたしたち音楽好きは回り続けるターンテーブルから発せられるコールに対し、なんらかのレスポンスをする。してしまう。
実は絵画鑑賞や映画鑑賞の場合でもわたしたちは無言でコール&レスポンスをしている、そう思います。
ところがどうだい、現在、大都市を始めとする全国各地では美術館や映画館が稼働休止状態にさせられている。
ううむ、もうちっと、あの方々は声なき声をキャッチした方がいいと思うけど。

絵画鑑賞をしたその日、展示された多くの絵画自体の完成度はすばらしかった。
だがしかし、わたしが感じたのは絵に付けられたタイトルのイマイチ具合だった。
たとえば玉ねぎが切り刻まれた絵画のタイトルが『刻まれた玉ねぎ』だったとしよう。
そのまんまだからもちろん間違いではないが、たとえば『流れる涙』って名付けたっていいかも。
そう思いながら会場内を巡っていると、最後にお母ちゃんの作品が現れた。
濃緑と薄緑がないまぜになった木々の風景画。タイトルは『風立ちぬ』。
「うんうんうん」そう言いながら、わたしはアンガス・ヤング氏のようにヘッド・バンキング……もとい首肯を繰り返した次第。
もちろん、心のなかで「いいね」も。

写真もいいけど、イメージを想起させる言葉だってすばらしい。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ザ・スリックスのライブ予定です。
この先の状況しだいでは開場開演時間の変更もあるかと思います。
その際にはあらためてお知らせいたします。


☆6月12日(土) 豊橋AVANTI

《AVANTI presents》
開場/開演;18:00/19:00
前売/当日;2000円/2500円(1d別)
出演;
官舘村慶介二
THE GOLDENBATS
THE SLICKS


写真:「SPACE ODDITY/DAVID BOWIE」
1969年発表、デビッド・ボウイのアルバム「スペース・オディティ」。
B面5曲目に『フリー・フェスティバルの思い出』収録。

No.1599 - 2021/05/25(Tue) 00:10:27
はなさないで / 淳吉郎
あの日ぼくは 夜空の満月を見ていたんだ
こぼれ落ちる しずくはまるでなにかのように光る
あなただって それを見ているかもしれない
願いがかなうなら ぼくを離さないで

この手のひら なにかをつかみかけた気がした
どこまで歩いても 履いてるブーツのかかとは擦り減らないまま
あなただって おなじことをしているはずで
答えはいらないから ぼくに話さないで

気になっている あなたのことだけが
気になっている 今そこでなにをしている

あなただって ぼくを見ているかもしれない
願いがかなうなら ぼくのそばにいてくれ
願いがかなうなら 
ぼくを離さないで
ぼくに話してくれ
きみを離さないぜ
これからも


No.1598 - 2021/05/23(Sun) 04:03:00
クラシックにまつわる話 / 淳吉郎
「マイブーム」という珠玉なる言葉を生み出したのは、ディラン・フリークとしても知られている漫画家のみうらじゅんさんだと伝え聞いている。
うん、マイブーム……なんて言い得て妙な創作英語なんだろう。
ぼくら音楽好きはみんな「それ」を体験してるから「だよね」つって首肯するしかないんだ。
そして、それって実生活におけるモチベーションとかバイオリズムに関係している気もする。
ちなみに、職場でさまざまな事を感じながら帰宅したわたしが、心を落ち着けるために選ぶレコードはパンク・ロックの場合が非常に多いのさ。
俺は俺のブームで生きている。

「音」ってのは相手、つまり聴いてるわたしたちに向かって容赦なく弾丸をブッぱなしてきます。
レコードであれ、CDであれ、動画配信サイトであれ。
ここ数か月のマイブームはクラシック・ミュージック。
パンク・クラシックとかモッド・クラシックというような使い方もありますが、現時点でのわたしの場合、ベートーベンやバッハ等、学校の音楽室の後方上部に陳列されている肖像画の方々が創作した音楽なのだった。
なぜなら、聴いていて気持ちがいいから、今のわたしにとって。

モーツァルト。
音楽室におけるこの男の肖像画はちょっくら異彩を放っていた、いわゆるイケメンってことで。
これまで「天は二物を与えず」ってことわざに対し、「そうじゃないだろ」と思ってきたが部屋でモーツァルトを聴いてると身体が宙に浮く感じがするから、やっぱり天は二物以上のものを彼に与えているようで。
んなわけで、5月某日、中村家のGW映画鑑賞会に採択されたのは『アマデウス』というモーツァルトの映画でした。

「ドボルザークのとある交響曲の一部分がベートーベンのとある交響曲の一部分にそっくり。やっぱりクラシックの偉人もぼくらとおんなじなんだ」
以前、そんなニュアンスの投稿をした覚えがある。
そして映画鑑賞中に、わたしはアマデウス・モーツァルト氏が新曲を作る際の姿勢を知ることになった。
「これまでとおんなじことはせず、最新型を目指す」
「権力側からの要請に対しては一歩距離を置いて、自身の表現を優先する」
なんだよ、やっぱり俺とおんなじじゃないか。

自分の鼻が外国人のようにちょっとだけ高くなった気がしながら、意気揚々と卓上の空き缶を眺めると、どうやらおいらは飲み過ぎているってことに、ようやく気がついた次第。
このように酒はいつだって「いい仕事」をしてくれるものさ。
うーむ、できれば俺もあやかりたい。

B.G.M.「フィジカル・グラフィティ/レッド・ツェッペリン」
1975年発表、ツェッペリン6枚目のアルバム。
ツェッペリンの楽曲には様式美があるから、そんなとこにクラシックを感じるんだよねー。
もうサイコー。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ザ・スリックスのライブ予定です。

☆6月12日(土) 豊橋AVANTI

《AVANTI presents》
開場/開演;18:00/19:00
前売/当日;2000円/2500円(1d別)
出演;
官舘村慶介二
THE GOLDENBATS
THE SLICKS

No.1597 - 2021/05/07(Fri) 23:53:05
ロックでいいとも / 淳吉郎
タモリさんが長年にわたって司会をしていたお昼の番組では「友達の友達はみんな友達」なんつって、いわゆる友達リレーが展開されていました。
ミュージシャンは音楽仲間を紹介することが多かったし、アイドルは仲のいいアイドル、俳優はタレントや業界関係者を紹介していた。
そんな中、ある時、いいともに出演した鮎川誠さんが瀬戸内寂聴さんを紹介したのにはビツクリした「えっ? どなた?」って。
つまり、恥ずかしながらぼくが寂聴さんの存在を知ったのは、そのときだったのです。
どうして鮎川さんは、いつでも新しい扉を開けてくれるんだろう。

2020年11月某日。名古屋のバンド仲間、NORTHWESTのBa.&Vo.担当ナミちゃんから連絡をもらった。
アメリカのバンド、THE MUFFSのトリビュート企画があるらしく、ぼくがマフスを敬愛してることを知っているナミちゃんはこう言ったんだ。
「あたしたちも演るんだけど、ジュンキチさんのスリックスも演ってみない?」

THE MUFFSのトリビュートにTHE SLICKSが参加しないわけがない。
二重否定は時として肯定よりも強い意味を持っていたりする。のかも。
企画発起人は札幌のバンド、THE KNOCKERSのあつしさん。
数日後、あつしさん本人からぼくのところにあいさつを兼ねてのメールが届いた。
友達の友達はみんな友達……やっぱ、そーゆーことか。
「笑っていいとも」ではなく「ロックでいいとも!」ってことさ。
だって俺にとって、ロックすることは笑っちまうほど楽しいのです。

ユーチューブを使用した映像によるマフス・トリビュート企画である今回、俺たちスリックスはカバーを演るにあたって、これまでとおんなじ手法を採択した。
それは、「原曲をそのまんまカバーする」のではなく「愛あるスリックス風味をふりかけみたいにまぶす」手法ということであります。
ワオっ、勢いあまって、ついつい「愛ある」だなんて似合わない言語を発してしまいました、さーせん。
いやいや、さーせんちゃうで、それはすみませんだに。
わたしは平仮名の羅列、そして発音時における音色感の丸みに「平和の響き」を感じてしまう。
ろっくんろーる、ほぉら、ころがってるかんじするでしょ。

ついに日本国内の全54組によるザ・マフスのトリビュート映像が完成しました。
ボリューム1、ボリューム2、それぞれに27組ずつ収録。
ナミちゃんのノースウエスト、そしてザ・スリックスもボリューム1に出演してます。
全54組の映像はこちらからどうぞ。
Vol.1


Vol.2



十人十色。
100人のギター弾きに100通りのジョニー・B・グッド。
そして、あたらしい類義語が生まれました。
「54組の演奏者に54通りのマフス愛」うん! まさに!
サイコーに素晴らしいトリビュート映像集です!
誘ってくれたナミちゃんありがと。
ノッカーズあつしさん、おつかれさまでした。最高な企画をありがとうございました。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ザ・スリックスのライブ予定です。


☆6月12日(土) 豊橋AVANTI

《AVANTI presents》
開場/開演;18:00/19:00
前売/当日;2000円/2500円(1d別)
出演;
官舘村慶介二
THE GOLDENBATS
THE SLICKS

No.1596 - 2021/04/28(Wed) 00:23:46
グッバイ・マイ・オールドフレンド / 淳吉郎
近代においてよく言われる話のなかに「電化製品は一定のタイミングで壊れる」というものがあります。
「メーカーが新製品を買わせるために仕組んでいるのさ」
口をそろえてみんな言う。
口をそろえるといっても、上唇と下唇を机やお皿の上に並べるわけではありません。
だって、そんなことをしたら口元が痛いし、たとえ痛くなかったとしても、いろんな口がそこに並んでいる光景はちょっぴり恐怖でもある。
なによりも、元に戻す際、誤って違う口を装着してしまったら大変じゃありませんか。
ミック・ジャガーの重厚なお口は、彼が持っている目と鼻と耳とまゆ毛と顔の形状にマッチしているからこそ。
それはわたしたち凡人でもおんなじなはず。

4月某日。30年間使用していた電化製品が壊れてしまった。
《Technics SL-1200MK3》というレコード・プレイヤー。
ほとんど毎日のようにあいつに触れているし、あいつも俺に触れている。
そんな仲だから、修理をするため浜松近郊のオーディオ・マニアが集まる老舗ショップに持ち込んだ。
だがしかし、40代ぐらいの気さくな男性店員は、店内で我が愛器の電源を入れて症状を確認するとこう言った。
「ああ、これは寿命ですねえ。メーカーにもパーツがもう無いんですよ」
「そうですか。うん、かくごはしてました。ぐっばぁ〜い、まい、おぉ〜るどふれ〜ん」
作り笑顔をしながら、わたしはひらがなで答えた。
そう答えるしかなかったんだ。

生産停止していた同器をメーカーが数年前に再発売していることをわたしは知っている。
「たしかテクニクスはこれを再発してますよね」
店員にそう確認したとき、彼の目がちらっと光ったのをわたしは見逃さなかった。
彼は小走りで商品カタログを持ってくると親切に説明する。
廉価モデル、通常モデル、そしてマニア向けモデルがあるらしい。へぇ〜。
そのお値段に驚愕しながらも通常モデルを注文した。
もしかして、ネットで探せば幾らかでも安い買い物ができるのであろう。
でも、個人経営の浜松老舗ショップがこうやって今も営業していることに対し、浜松市民であるわたしは購入することで敬意を表したいのさ。

購買契約を結んだ帰り際のわたしに向かって彼がこう言う。
「あ、実は今日までお客様感謝デイなんですよ。ここにガーベラがありますので、もしよろしかったら一鉢どうですか」
見ると色とりどりなガーベラが幾鉢も店内に鎮座している。
薄紅色のそれをいただいた。
テクニクス・マーク3がガーベラに変わった!
鉢を手にしながらわたしもこう言う。
「ありがとう。んじゃぁ今日は家内に『おう、花を買ってきたぜ』って言おうかな」
「あはは。ぜひそうしてください。あはは」

4月某日。あたらしいレコード・プレイヤーを受け取り、帰宅後さっそく設置した。
「好きになったあのコとの今度の初デートはどのTシャツでキメようか。それよりもパンツはどの色にしようかな」だなんて。きゃぁ。
それとおんなじで、「最初に聴くレコードはどれにしようかな」ってのは、むずかしいけどうれしい悩み。
そして「やっぱ、これだろ」つって選択したレコードを聴いた。

これまでとなーんにも変わらんサイコーな音だった。
つまり、レコードはプレイヤーを選ばんし、プレイヤーはレコードを選ばんっちゅーことです。
言い換えれば、わたしはやっぱりわたしの世界で生きているっちゅーことです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ザ・スリックスのライブ予定です。


☆6月12日(土) 豊橋AVANTI

《AVANTI presents》
開場/開演;18:00/19:00
前売/当日;2000円/2500円(1d別)
出演;
官舘村慶介二
THE GOLDENBATS
THE SLICKS

写真:最初のレコードはこれにしました。

No.1595 - 2021/04/18(Sun) 21:43:27
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