No.46512で同じ内容の質問をしたものですが、再度質問させてください。
添付画像の説明の中で、「この操作は積分するということに他ならない」とありますが、その部分がいまいちよく分かりません。 積分とシグマの関係は
∫[a,b]f(x)・dx = lim[n→∞]Σf(x)・Δx = f(x1)・Δx1 + f(x2)・Δx2 + ・・・・
だと認識しているのですが、画像では
∫[a,b]h(x)・dx = lim[n→∞]Σh(x) = h(x1) + h(x2) +・・・・ ※h(x) = f(x)g(x)
としているように見えます。Δx に相当するものはいらないんですか?
No.46512で質問した際には、「Δxをつける必要があるので画像の説明は間違っている」「ネット上の情報は間違ったものもあるので本を読んだ方がいい」との回答をいただいたので、一度本などの情報源を当たって見ました。しかし、自分が読んだ本ではどれも同じような説明で、Δx をつけている説明はありませんでした。その後もう一度ネット上の情報も探しましたが、やはり結果は変わりませんでした。
多くの情報を当たってもやはり同じ説明がなされており、ということは間違いではないのかと思うのですが、Δx をつけないでなぜ積分と同値になるのかがどうしても理解できません。
どなたかご説明よろしくお願いします。
(画像引用元:http://examist.jp/mathematics/integration-expression/kansu-naiseki/)
|
No.46547 - 2017/10/27(Fri) 15:00:20
| ☆ Re: 関数の内積 / 黄桃 | | | ぽけっとさんのおっしゃることの繰り返しにしかなりませんが、そのサイトの説明は分かっている人にしかわからない説明だと思うので、もう少し詳しく説明してみます。
積分と内積との類似にはコーシーシュワルツの不等式を使うのがわかりやすいでしょう。
(a[1]^2+a[2]^2)(b[1]^2+b[2]^2)≧(a[1]*b[1]+a[2]*b[2])^2 ...(*)
これがコーシーシュワルツの不等式で、2項でなく何項でも言えます。つまり
(Σ_[k=1,n] a[k]^2)(Σ_[k=1,n] b[k]^2)≧(Σ_[k=1,n] a[k]b[k])^2
です。これなら両辺に(Δx)^2 をかけて極限をとれば、適当な積分区間において (気持ち悪ければ、a[k]=f(k/n), b[k]=g(k/n), Δx=1/n とすれば、区間[0,1]において)、
(∫f(x)dx)^2(∫g(x)dx)^2≧(∫f(x)g(x)dx)^2 ...(**)
という形になります。
一方(*)は a=(a[1],a[2]), b=(b[1],b[2])というベクトルと見ると |a|^2*|b|^2≧(a,b) (a,bの内積) となっています。これと(**)とを見比べると関数f,gの内積を定積分 ∫f(x)g(x)dx で定めるという気持ちがわかるでしょう。
ぽけっとさんがおっしゃっているのは、次のことを勉強しましょう、ということです。 (1)積分できる関数は、「ベクトル空間」である:つまり、積分できる関数f,g と実数 p,q に対して p*f(x)+q*g(x) もまた積分できる関数である。 (2)区間Iでの定積分は「内積」である。つまり、f,gに対し、(f*gもまたIで積分可能で)、その内積(f,g)を∫_I f(x)g(x)dx で定義すると、次の4つの条件(内積の公理)を満たす。 ここで、f,g,hは積分できる関数、kは実数とします。 1. (f,g)=(g,f) 2. (f,g+h)=(f,g)+(f,h) 3. (kf,g)=(f,kg)=k(f,g) 4. (f,f)≧0, (f,f)=0 ⇔ f=0 (この場合、関数として0)
高校数学で習う内積ももちろん、これらの条件を満たします。 内積があれば、そのサイトのように直交という概念を、内積が0と定義できます。
なお、この内積の公理だけで、a,bをベクトル(ベクトル空間の点)とするとき、(|a|^2=(a,a),|b|^2=(b,b)とかくと) |a|^2*|b|^2≧(a,b)^2 が言えます。 |a|^2=0なら4よりa=0なので、3より(0,b)=(0*0,b)=0*(0,b)=0だから等号が成立。 |a|^2>0なら、実数tについて F(t)=(at+b,at+b)と置くと、右辺は、1,2,3により「展開して整理」できるので、 F(t)=(at+b,at)+(at+b,b)=...=(a,a)t^2+2(a,b)t+(b,b) となります((a,a)t=t(a,a)は実数の交換法則)。 (a,a)>0だからこれはtの2次関数と見ることができます。 そして、4によりF(t)はすべての実数tで正か0です。 したがって、2次方程式 F(t)=0 の判別式は負か0、つまり、(a,b)^2-(a,a)(b,b)≦0 です。
1-4は簡単な性質のようですが、これが内積の本質なのです。
#ちなみに、(*)で単純にn→∞とした場合に対応するものは数列空間l^2 と呼ばれるものの方が自然でしょう。 #これは数列{a[n]}の中でΣ_[n=1,∞] a[n]^2 が収束するもの全体のなすベクトル空間、です。 ##ベクトル空間は大学レベルの概念なので高校生向けの「お話」では、わかりやすさを優先して ##不正確な説明になる傾向があります。「お話」はガイドブック程度と割り切り ##実際に自分の足で確かめるしかないと思います。
|
No.46556 - 2017/10/28(Sat) 08:36:44 |
|