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記事No.73471に関するスレッドです

なんだこれ / 学生s
高校物理で見せられました よくわかりません
No.73471 - 2021/03/27(Sat) 08:03:05

Re: なんだこれ / 関数電卓
まずは, こちら をご覧下さい。かなり難解ですが…
ここの中ほどに出て来る ガウス引力定数 k
 k=0.01720209895
とは何ものか?

平面上,原点 O の周りを等速円運動する点を考えます。1回転に要する時間 (周期) を T とすると,1回転の回転角を 2π[rad](ラジアン) として 2π/T は 単位時間 あたりの回転角を表すもので「角速度」(ω) とよばれる物理量です。現在,物理学では単位時間として を用いると決められています(国際単位系 (SI)) が,何も「秒」じゃなくても 1時間 でも 1日 でも「単位時間」です。

ここで「地球の公転」を考えます。厳密には軌道の形は楕円ですが,これを「等速円運動」で近似します。これは十分に良い近似です。
時間の単位として「日」を採用します。地球の公転周期は,365.2422 日 ですので,この単位での公転角速度は,
 ω=2π/T=2×3.141592/365.2422=0.0102027
が得られます。末位の差違は,定数の「打ち切り誤差」によるものです。
すなわち,k とは,名前こそ「引力定数」となっていますが,実は,地球の公転の1日あたりの回転角 のことでした。

ガウスは,なぜこんなものを考えたのか?
それは,上に引いたサイトに書かれているとおり,
 万有引力定数 G=6.67430(15)×10^(−11)
の「精度の悪さ」です。
天文学(天体力学)でこの G を用いる限り,ここから導かれるさまざまな量は,すべてこの精度の悪さを引きずることになります。
そこで,G を用いず k を用いて天体力学を精度良く再構築しよう としたのが「ガウスの試み」だったのです。このことから k の名前に「引力」が冠されていることも頷けますね。

難解ですが,お分かり下さいますか?

No.73478 - 2021/03/27(Sat) 18:30:23

Re: なんだこれ / 関数電卓
ところで,冒頭の
 A^3=GMD^2/k^2 …(1)
にある A とは何ものでしょうか?

地球の,公転半径を R,公転周期を T,公転速度を v とすると,運動方程式から
 GMm/R^2=mv^2/R=m(2πR/T)^2/R …(2) (m:地球の質量)
で,ここから
 R^3=GMT^2/4π^2 …(3)
が得られます。
(3)に SI 単位での数値
 G=6.6743×10^(−11) [Nm^2/kg^2]
 M=1.9891×10^30 [kg]
 T=365.2422 日=31470729 [s(秒)]
 π=3.14159
を入れると
 R=1.49338598×10^11 [m]
が得られ,これが,1天文単位(AU) (太陽-地球間の平均距離)です。こちら のサイトに 1[AU]=1.4957870700×10^11 とあるのは,やはり用いた数値の打ち切り誤差によるものです。

ここから分かるように,単位時間として「年」を採用すれば単位の長さ「天文単位」が導かれます。すなわち,単位時間として「日」を採用し導いた単位の長さ A の実測値を用いて G を再決定しよう というものがガウスの目論見だったのです。

引いたサイトに書かれているとおり,これは現在の天文学では用いられていません。
ガウスが活躍した時代には,相対論は見出されていませんでしたから…。

No.73479 - 2021/03/27(Sat) 20:19:58