座標平面において、x座標、y座標がともに整数である点を格子点と呼ぶ。4つの格子点O(0,0),A(a,b),B(a+c,b+d),C(c,d)を頂点とする平行四辺形OABCの内部をDとする。 (1)ad-bc=1のとき、D内には格子点は存在しないことを示せ。 (2)ad-bc=2のとき、D内に格子点があれば、それは平行四辺形OABCの対角線の交点であることを示せ。
1989年度京都大学後期試験の問題と類似しているのですが、解説を読んでもよくわからなかったので質問させて頂きました…お手数ですが、どなたかお願いいたします。
|
No.79352 - 2021/11/11(Thu) 22:09:54
| ☆ Re: 格子点 / 高校三年生 | | | ぜんぜん、類似してない気が・・・。 過去問は、一辺が座標軸に平行となる場合ですね。 その「縛り」が無くなるだけで、超難問と化してますわ。
私からも、どなたかお願いいたします。m(_ _)m
|
No.79358 - 2021/11/12(Fri) 16:10:04 |
| ☆ Re: 格子点 / らすかる | | | とりあえず証明してみましたが、非常に長いです。 入試問題ならばおそらくもっと簡潔な方法があると思います。
a=b=0またはc=d=0のときad-bc=0となり(1)(2)の条件を満たさないので、 AとCは原点とは一致しないと考えてよい。 a=c=0またはb=d=0のときad-bc=0となり(1)(2)の条件を満たさないので、 AとCが両方とも軸上にある場合は異なる軸上にあると考えてよい。
[AとCが両方とも軸上にある場合] 座標軸を90°単位で適宜回転させることにより、 A(a,0),C(0,d)(a>0,d≠0,b=c=0)とすることができるので、 この場合について示せばよい。 (座標軸を90°回転してもad-bcの値は変化しないことに注意) (1)ad-bc=1からad=1なのでa=d=1となり、D内に格子点は存在しない。 (2)ad-bc=2からad=2なので(a,d)=(1,2),(2,1)となり、D内に格子点は存在しない。
[少なくとも一方が軸上にない場合] (a)Cが軸上にある場合 座標軸を90°単位で適宜回転させることにより、Cをx軸の正の部分に移動できる。 このとき、Aがもし第2象限または第3象限にあれば、Aを原点に関して対称移動して AとCを交換する。 Aを原点に関して対称移動するとad-bcの符号が反転し、AとCを交換すると 再度符号が反転するので、ad-bcの値は変わらない。 また、上記のように移動しても平行四辺形が格子点上で平行移動しただけなので、 内部の格子点の個数は変わらない。 (b)Cが軸上にない場合 座標軸を90°単位で適宜回転させることにより、Aのx座標が正であるようにできる。 このとき、Cがもし第2象限または第3象限にあれば、Cを原点に関して対称移動して AとCを交換する。 この操作でad-bcの値と平行四辺形の形が変わらないのは(a)と同じ。
上記の操作により、AとCのx座標の値は両方とも正にできるので a>0かつc>0と仮定してよく、そのように仮定する。 (1)と(2)の条件からad-bc>0すなわちd/c>b/aなので、直線OCの傾きは 直線OAの傾きより大きい。 ここでb,dの符号により4つに場合分けして考える。
(i)b<0=dの場合 (1)ad-bc=1となるためには(b,c)=(-1,1)でなければならない。 このとき明らかにD内に格子点は存在しない。 (2)ad-bc=2となるためには(b,c)=(-1,2),(-2,1)でなければならない。 (b,c)=(-1,2)のときD内に格子点は存在しない。 (b,c)=(-2,1)のとき、aが偶数ならばD内に格子点は存在せず、 奇数ならば格子点は平行四辺形の対角線の交点((a+1)/2,-1)のみD内に存在する。
(ii)b=0<dの場合 (1)ad-bc=1となるためには(a,d)=(1,1)でなければならない。 このとき明らかにD内に格子点は存在しない。 (2)ad-bc=2となるためには(a,d)=(1,2),(2,1)でなければならない。 (a,d)=(1,2)のとき、cが偶数ならばD内に格子点は存在せず、 奇数ならば格子点は平行四辺形の対角線の交点((c+1)/2,1)のみD内に存在する。 (a,d)=(2,1)のときD内に格子点は存在しない。
(iii)b<0<dの場合 (1)ad≧1,bc≦-1となるため、ad-bc=1となることはない。 (2)ad-bc=2となるためには(a,b,c,d)=(1,-1,1,1)でなければならない。 このとき、格子点は平行四辺形の対角線の交点(1,0)のみD内に存在する。
(iv)それ以外の場合 b<d<0ならばAとCをx軸に関して対称に移動してAとCを交換して考えれば、 0<b<dで考えられる。 従ってこの場合はa,b,c,dがすべて正(の整数)で考えればよい。
平行四辺形の内部に格子点P(p,q)があったとすると b/a<q/p<d/c(p>0,q>0)となる。 b/a<q/pからaq>bp すべて正の整数なのでaq-bp≧1 … (c) q/p<d/cからdp>cq すべて正の整数なのでdp-cq≧1 … (d) (c)×d+(d)×bから(ad-bc)q≧b+d よってad-bc≧(b+d)/q (1) Pは平行四辺形の内部にあるのでq<b+dすなわち(b+d)/q>1 従ってad-bc>1となるので条件を満たすP(p,q)は存在しない。 (2) ad-bc=2から(b+d)/q≦2すなわちq≧(b+d)/2 もしq>(b+d)/2であるような点P(p,q)が存在するならば、 平行四辺形の対角線の交点に関して対称な点P'(p',q')も存在するはずだが q≧(b+d)/2からそのような点は存在しない。よって存在すればq=(b+d)/2 (c)×c+(d)×aから(ad-bc)p≧a+cとすると 上記と全く同様の理屈によりp=(a+c)/2も導出される。 よって存在するならばP(p,q)は平行四辺形の対角線の交点。
|
No.79362 - 2021/11/12(Fri) 20:42:43 |
| ☆ Re: 格子点 / m | | | 面積に注目するといい.
(事実i) (0,0), (a,b), (a+c,b+d), (c,d)を頂点とする平行四辺形の面積は |ad-bc| である.(ここでは,|ad-bc|=0のときつぶれた平行四辺形と呼ぶことにする.)
(事実i') (0,0), (a,b), (c,d)を頂点とする三角形の面積は |ad-bc|/2 である.
(考察I) a, b, c, d が整数のとき |ad-bc| も整数である.(事実i')より格子点三点からなる(つぶれていない)三角形の面積は 1/2 以上である.
以下,a, b, c, d を整数とし,O(0,0), A(a,b), B(a+c,b+d), C(c,d) とおく.D は平行四辺形OABCの内部とする.
(考察II) 内部 D に格子点 P が存在すると仮定すれば,△POA, △PAB, △PBC, △PCO の面積はそれぞれ 1/2 以上であり,従って平行四辺形 D の面積は 2 以上である.
(1) 平行四辺形の面積は 1 だから,(考察II)より内部 D の格子点は存在しない.
(2) 平行四辺形の面積は 2 だから,(考察II)よりD内の格子点をPとすれば,△POA, △PAB, △PBC, △PCO の面積はそれぞれちょうど 1/2 である. 直線 OA と点 P の距離を h,直線 BC と点 P の距離を h' とすれば,△POA=△PBC と OA=BC より h = h' である.同様に,点Pと直線AB,直線COの距離も等しい. これらを満たすような点 P は平行四辺形の中心,つまり対角線の交点のみである.
|
No.79366 - 2021/11/13(Sat) 02:21:39 |
| ☆ Re: 格子点 / 高校三年生 | | | らすかるさん、回答ありがとうございます。
なるほど。
「平行四辺形の対角線の交点に関して対称な点P'(p',q')も存在するはずだが・・・」
これが問題のキモでしたか。つまり、対角線の交点Mの座標は、
M(m/2,n/2) [m,nは整数]
で一般化されるわけですね。別解を思いつきました。
***************************************************
【別解】
(iv)それ以外の場合
対角線OBからの距離が最も近い格子点群を原点に近い方から、片側を P1,P2,・・・,Pn とし、 対角線OBを挟んで、反対側を Q1,Q2,・・・,Qn(nは自然数)と定めると、 対角線の交点を基準とする「格子点の対称性」から、
n = 【対角線OBを内分する格子点の数】+ 1
となる。
(1) 対角線OBを内分する格子点が存在すると仮定し、原点に近い方から、 M1,M2,・・・とすると、
▱OP1M1Q1 < ▱OABC
で、▱OABCの面積は2以上となるので、ad-bc=1に矛盾。 よって、対角線OBを内分する格子点は存在しない。 その代わりに、▱OP1BQ1が存在し、
▱OP1BQ1≦▱OABC
だが、ad-bc=1より▱OABCは最小面積をもつので、結局、
▱OP1BQ1≡▱OABC
なので、題意は示された。
(2) 対角線OBを内分する格子点が二つ以上存在すると仮定し、 原点に近い方から、 M1,M2,・・・とすると、
▱OP1M1Q1 + ▱M1P2M2Q2 < ▱OABC
で、▱OABCの面積は3以上となるので、ad-bc=2に矛盾。
[i] 対角線OBを内分する格子点が一つだけ存在する場合
対角線の交点を基準とする「格子点の対称性」から、格子点M1は対角線OBの中点で、
▱OP1M1Q1≡▱M1P2BQ2 < ▱OABC
だが、ad-bc=2より、▱OABCは二番目に小さい面積をもつので、結局、
▱OP1BQ2≡▱OABC or ▱OP2BQ1≡▱OABC
よってこのとき、D内の格子点は点M1のみ。
[?A] 対角線OBを内分する格子点が存在しない場合
点O(0,0)と点B(a+c,b+d)の中間点は格子点ではないので、
a+c≡b+d≡1 (mod 2) … ?@
また、ad-bc=2より、
ad≡bc≡0 or ad≡bc≡1 (mod 2) … ?A
?@、?Aより、結局、
[a,b,c,d]≡[0,0,1,1] or [1,1,0,0] (mod 2)
となり、辺OAと辺OCの中点をそれぞれ、点L(a/2,b/2)、点N(c/2,d/2)とすると、 点Lか点Nのどちらか一方が格子点となる。 さらに、辺BAと辺BCの中点をそれぞれ、点N’、点L’とすると、 2点L、L’か2点N、N’のどちらか一方が格子点となる。 その場合は、
▱OLL’C≡▱LABL’ or ▱OAM’M≡▱MM’BC ▱OLL’C + ▱LABL’≡▱OABC or ▱OAM’M + ▱MM’BC≡▱OABC
であり、▱OABCは二つの合同な最小面積をもつ平行四辺形を繋げた図形で、 連結部分の辺LL’(または、辺MM’)を内分する格子点は存在しない。 以上の内容と(1)の結果を合わせて考えると、このとき、D内の格子点は存在しない。
[i]、[?A]より題意は示された。
|
No.79367 - 2021/11/13(Sat) 06:16:52 |
| ☆ Re: 格子点 / 高校三年生 | | | mさん、回答ありがとうございます。
エレガントすぎる!!!!!!!!
三角形の面積が 1/2 以上であることは、すぐに気付くけど、
「平行四辺形の内部に四つの三角形をイメージする。」
のは、センスがないとできないっすよ。ビビりました。
|
No.79368 - 2021/11/13(Sat) 06:30:07 |
| ☆ Re: 格子点 / GM | | | (1)平行四辺形内の点の座標(e、f)は0<s<1、0<t<1を満たす実数s、tを用いて s(a,b)+t(c、d)と表すことができます。 うまく書けませんが行列表示にすると (a c)(s)=(e) (b d)(t) (f) 左辺の行列の逆行列を左から両辺にかけるとad−bc=1なので e,fが整数だとsもtも整数になってしまいます。
(2)ad−bc=2の場合に同様の計算を行うと s=(整数)/2、t=(整数)/2となります。 0<s<1、0<t<1を満たす必要があるのでs=1/2、t=1/2となり題意が示されます。
|
No.79378 - 2021/11/13(Sat) 19:30:01 |
| ☆ Re: 格子点 / m | | | > 高校三年生さん うれしい///
> GMさん あっぱれ.行列をそう使うのは初めて見ました.
|
No.79380 - 2021/11/13(Sat) 20:33:42 |
|