1 個のバクテリアが 1 分後に 2 個、 1 個、 0 個になる確率が、それぞれ 1/4 , 1/2 , 1/4 であるとします。
初期状態でバクテリアが 1 個あったとします。
(1) n を正の自然数とします。 n 分後の バクテリアの個数の期待値は n にかかわらず常に 1 でしょうか。
(2) n を正の自然数とします。 n 分後に個数が 0 になっている確率 p(n) について考えます。 n → ∞ のときに、 p(n) は収束しますか? また、もしも収束するならば p(n) の極限値は、 1 でしょうか、あるいは 1 より小さいでしょうか。
==
私が計算もせず直観で予想するに、
(1)では、 n 分後の バクテリアの個数の期待値は n にかかわらず常に 1 と考えますし、
(2)では、 p(n) → 1 と考えます。
(1)より、バクテリアの個数の期待値は常に 1 。 (2)より、 n → 無限 で n 分後に個数が 0 になっている確率 は 1 となります。
(1)と(2)とは矛盾するように感じるのですけれども、私の勘違いの原因はどこにあるのでしょうか。
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No.70249 - 2020/10/17(Sat) 00:04:50
| ☆ Re: シン・増殖 / Tom | | | 1 個のバクテリアが 1 分後に 2 個、 1 個、 0 個になる確率が、それぞれ 1/4 , 1/2 , 1/6であるとします。ではありませんか?
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No.70251 - 2020/10/17(Sat) 00:21:18 |
| ☆ Re: シン・増殖 / Tom | | | No.70252 - 2020/10/17(Sat) 00:24:01 |
| ☆ Re: シン・増殖 / らすかる | | | (1)と(2)は矛盾しません。 この問題の条件には合わない簡単な例で示しますが、例えばn分後に 0個である確率が 1-1/n n個である確率が 1/n であれば、期待値の極限も0個である確率の極限も1になります。
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No.70255 - 2020/10/17(Sat) 01:34:28 |
| ☆ Re: シン・増殖 / URHANL | | | らすかるさん、有り難うございます。シンプルな例ですがわかりやすくとても参考になります。
さて、その後 p(n) が収束してその極限値が 1 であることを確かめるために以下のように段取って考えてみました。
?@: p(n+1) と p(n) との間の関係式を求める。
?A:?@の結果から p(n) が単調増加であることを示す。 p(n) は確率なので 1 を越えることなく上に有界。以上より p(n) は収束する。
?B: p(n) の極限値を α とする。これを?@で求めた関係式の p(n+1) , p(n) に代入して α についての方程式を得てそれを解き、α = 1 であることを確認する。
段取りは以上ですが、面倒なのは ?@ のステップです。
あらためて課題を下記に書きます。 1 個のバクテリアが 1 分後に 2 個、 1 個、 0 個になる確率が、それぞれ 1/4 , 1/2 , 1/4 であるとします。
初期状態でバクテリアが 1 個あったとします。
n を正の自然数とします。 n 分後に個数が 0 になっている確率 p(n) について考えます。
p(n+1) と p(n) との間の関係をみていきます。
(n+1)分後に個数が 0 になる道筋を 3 通りに分類して、それぞれで個数が 0 になる確率を求め、それらを総和することとします。 道筋には次の3パターンがあります。
【1】最初は 1 個で、 1 分後に 0 個になる。この道筋では、以後いくら n が増えても変化がおきない。
【2】最初は 1 個で、 1 分後に 1 個になる。この道筋では、残りの n 分後に個数が 0 となるように確率を考えればよい。
【3】最初は 1 個で、 1 分後に 2 個になる。バクテリアに名前をつけて A, B とする。この道筋では、残りの n 分後に、 A から発生する個数が 0 となり、【かつ】 B から発生する個数が 0 となる確率を 考えればよい。
【4】上の【1】【2】【3】の道筋の分岐がどのような確率で起きるかについてはあらかじめわかっています。 【2】【3】の道筋のそれぞれで、《 1 個のバクテリアが n 分後に、 個数が 0 となる》確率を、p(n)で表せばよいということになります。これらより
p(n+1) = (1/4)(p(n))^2 +(1/2)(p(n)) +(1/4)
が得られました。 変形すると
p(n+1) -p(n) = (1/4)(p(n))^2 -(1/2)(p(n)) +(1/4) = (1/4)(1 -p(n) +)^2 ≧ 0
が得られて、これにより、 p(n) は単調増加することが示されました。 確率なので p(n) ≦ 1 ですから、上に有界で、単調増加する p(n) は n → ∞ で収束し、極限値を持ちます。これを α とします。
p(n+1) = (1/4)(p(n))^2 +(1/2)(p(n)) +(1/4)
でしたから
α = (1/4)*α^2 +(1/2)*α +(1/4) これを解いて α = 1 を得ます。
以上より、 n 分後に個数が 0 になる確率は n→∞ において 1 に収束することがわかりました。
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No.70266 - 2020/10/17(Sat) 14:59:00 |
| ☆ Re: シン・増殖 / URHANL | | | p(1) = 1/4 , p(n+1) = (1/4)(p(n))^2 +(1/2)(p(n)) +(1/4)
上記の p(n) の一般項がわかれば n → ∞ における極限値がすぐにわかると当初は思いました。
しかしながら一般項が私には求められませんでした。
良い方法があればご教示いただけると幸いです。
なお、 n がごく小さい場合の p(n) の値の一覧を以下に揚げておきたく思います。
p(1)=1/4=0.25
p(2)=25/64=5^2/2^6≒0.390625
p(3)=7921/16384=89^2/2^14≒0.483459473
p(4)=590733025/1073741824=(5^2*4861^2)/2^30≒0.550163002
p(5)=2770476522953572801/4611686018427387904=(101^2*16479949^2)/2^62≒0.600751333
p(6)=54496323787368204373233033868754097025/85070591730234615865843651857942052864=(5^2*89^2*16589129306474069^2)/2^126≒0.640601208
分母はともかくとして、分子がめんどくさい感じです。 分子の素因数に 5 や 89 が目立ちますが理由がわかりません。偶然なのでしょうか?
上記の特徴的な素数があらわれているページがありましたので以下にURLを記します。
https://math.stackexchange.com/questions/1687728/why-does-this-pattern-of-large-primes-appear-in-this-series
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No.70268 - 2020/10/17(Sat) 15:51:02 |
| ☆ Re: シン・増殖 / らすかる | | | q[n]=(p[n]+1)/4とおくと q[n+1]=(q[n])^2+1/4, q[1]=5/16 となりますが、 a[n+1]=(a[n])^2+c の形の漸化式はおそらく(c=0または)c=-2の場合しか解けませんので 一般項は求められないのではないかと思います。
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No.70270 - 2020/10/17(Sat) 16:24:19 |
| ☆ Re: シン・増殖 / URHANL | | | らすかるさん。
一般項は求められないとのこと、納得いたしました。
お教え頂きましてまことに有り難うございます。
さて。 a[n+1]=(a[n])^2-2 の一般項はいかなるものなのでしょう。 暫くの間トライしようと思っています。
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No.70312 - 2020/10/18(Sun) 21:22:00 |
| ☆ Re: シン・増殖 / URHANL | | | 最後に。
1 個のバクテリアが 1 分後に 2 個、 1 個、 0 個になる確率が、それぞれ 1/4 , 1/2 , 1/4 であるとします。
初期状態でバクテリアが 1 個あったとします。
n を正の自然数とします。 n 分後に個数が k になっている確率 a[n,k] について考えます。
f(x) = (1/4)*x^2 +(1/2)*x +(1/4) として、
1 分後に k 個(0≦k≦2) となっている確率は、 x^k の項の係数として現れています。
2 分後に k 個(0≦k≦2^2) となっている確率は、 f(f(x))を展開した整式の x^k の項の係数として現れています。 3 分後に k 個(0≦k≦2^3) となっている確率は、 f(f(f(x)))を展開した整式の x^k の項の係数として現れています。
n 分後に k 個(0≦k≦2^n) となっている確率は、 f(x)をn重に合成関数した関数を展開した整式の x^k の項の係数として現れています。
面白いことと思います。
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No.70315 - 2020/10/18(Sun) 21:38:16 |
| ☆ Re: シン・増殖 / らすかる | | | > さて。 > a[n+1]=(a[n])^2-2 > の一般項はいかなるものなのでしょう。 > 暫くの間トライしようと思っています。
これは答えた方が良いのですか、 それとも答えを書かない方が良いのですか?
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No.70321 - 2020/10/18(Sun) 23:21:53 |
| ☆ Re: シン・増殖 / URHANL | | | らすかるさん。
> > さて。 > > a[n+1]=(a[n])^2-2 > > の一般項はいかなるものなのでしょう。 > > 暫くの間トライしようと思っています。 > > これは答えた方が良いのですか、 > それとも答えを書かない方が良いのですか?
根をあげてしまいました。 宜しくお願いいたします。
a[4]-2=(a[3])^2-4 =(a[3]+2)(a[3]-2) =(a[3]+2)(a[2]+2)(a[2]-2) =(a[3]+2)(a[2]+2)(a[1]+2)(a[1]-2)
ここから先には一歩も進めませんでした。
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No.70339 - 2020/10/19(Mon) 17:33:26 |
| ☆ Re: シン・増殖 / らすかる | | | a[1]はいくつでも構わないのですが、 たまたま手元にa[1]=3の場合の証明がありますので それをコピペします。
問題 a[1]=3, a[n+1]=(a[n])^2-2 の一般項を求めよ。
解答 (u+v)^2=u^2+v^2+2uv だから uv=1とすると (u+v)^2=u^2+v^2+2 ここで a[n]=u^(2^(n-1))+v^(2^(n-1)) とおけば a[n]^2-2={u^(2^(n-1))+v^(2^(n-1))}^2-2=u^(2^n)+v^(2^n)=a[n+1] となり、a[1]=u+v=3 とすれば条件を満たす。 uv=1, u+v=3 から u,v=(3±√5)/2 なので a[n]={(3+√5)/2}^(2^(n-1))+{(3-√5)/2}^(2^(n-1)) ={(1+√5)/2}^(2^n)+{(1-√5)/2}^(2^n)
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No.70344 - 2020/10/19(Mon) 22:19:57 |
| ☆ Re: シン・増殖 / URHANL | | | らすかるさん、これは本当に凄い証明ですね。素敵です。
驚きました。
御教示をまことに有り難うございます。
周辺をごそごそいたしまして、以下のルートもあると気がつきましたので御報告いたします。
下記のリュカ数列を考えます。
L(n) = L(n-1) + L(n-2), L(0) = 2, L(1) = 1
この数列について以下の公式が知られているようです。
非負整数 a,b について a ≧ b b は偶数 のときに、
L(a + b) + L(a - b) = L(a)*L(b) ここで a=b=2^(n+1) とすると
L(2^(n+2)) + L(0) = L(2^(n+1))*L(2^(n+1))
L(0) = 2 なので a(n) = L(2^(n+1)) で置換すると a(n+1) = a(n)^2 -2
こうしてみると L(0) = 2 が効いているのですね……
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No.70351 - 2020/10/20(Tue) 14:12:00 |
| ☆ Re: シン・増殖 / らすかる | | | ちなみに、-2≦a[1]≦2の場合は a[n]=2cosθとおくと a[n+1]=(a[n])^2-2=4(cosθ)^2-2=2cos2θ θ=arccos(a[1]/2)なので a[n]=2cos(2^(n-1)arccos(a[1]/2)) a[1]≧2の場合は a[n]=2coshθとおくと a[n+1]=(a[n])^2-2=4(coshθ)^2-2=2cosh2θ θ=arccosh(a[1]/2)なので a[n]=2cosh(2^(n-1)arccosh(a[1]/2)) のような方法もあります。
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No.70354 - 2020/10/20(Tue) 17:46:42 |
| ☆ Re: シン・増殖 / URHANL | | | らすかるさん。
よもやそのような方法がありえるとは。
実に興味深いことです。
有り難うございます。
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No.70374 - 2020/10/21(Wed) 20:33:55 |
| ☆ Re: シン・増殖 / URHANL | | | らすかるさんがおっしゃるに
> q[n]=(p[n]+1)/4とおくと > q[n+1]=(q[n])^2+1/4, q[1]=5/16 > となりますが、 > a[n+1]=(a[n])^2+c > の形の漸化式はおそらく(c=0または)c=-2の場合しか解けませんので > 一般項は求められないのではないかと思います。
以下で一般項が求められるかどうか検討してみました。
1 個のバクテリアが 1 分後に 2 個、 1 個、 0 個になる確率が、それぞれ A/D , 2*B/D , C/D であるとします。ただし、A,B,C,Dは、正の整数で D=A+2*B+C とします。
初期状態でバクテリアが 1 個あったとします。
n を正の整数とします。n 分後にバクテリアの個数が 0 になっている確率 p[n] について考えます。
p[n+1] = (A/D)*(p[n])^2 +(2*B/D)*p[n] +(C/D)
ですけれども、 D=A+2*B+C に気をつけながらこの式をを変形すると
(A/D)*p[n+1] +(B/D) = ( (A/D)*p[n] +(B/D) )^2 -( (A/D +B/D)*(1 -(A/D +B/D) ) )
を得ます。
q[n] = (A/D)*p[n] +(B/D) として置き換えますと、
q[n+1] = ( q[n] )^2 -( (A/D +B/D)*(1 -(A/D +B/D) ) )
を得ます。
-( (A/D +B/D)*(1 -(A/D +B/D) ) ) が 0 または -2 に等しければ、らすかるさんによるご教示の通りに、一般項が求められそうです。 しかし、確率を題材にしていますので 0< (A/D +B/D) <1 でして、 u = (A/D +B/D) とすると
-( (A/D +B/D)*(1 -(A/D +B/D) ) ) = -u*(1-u)
-1 < -u*(1-u) < 0
ですので、 これは 0 にも -2 にもなりません。
このタイプのバクテリアの増殖の問題でn分後にバクテリアの個数が0となる確率について一般項を求めることはかなり難しいということになりました。
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No.70484 - 2020/10/26(Mon) 21:53:14 |
| ☆ Re: シン・増殖 / URHANL | | | OEIS の A001566 によれば下記のごとくです。
The recurrence a(n+1) = a(n)^2 - 2 with initial condition a(0) = x > 2 has the solution a(n) = ((x + sqrt(x^2 - 4))/2)^(2^n) + ((x - sqrt(x^2 - 4))/2)^(2^n) .
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No.70508 - 2020/10/27(Tue) 19:46:01 |
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