f(x,y)=(x^3+y^3)/(x-y) (x≠yのとき), f(x,y)=0 (x=yのとき) で定義された多変数関数がある. このとき原点における極限値を求めよ. x=rcosθ,y=rsinθとおく. (?@)θ≠π/4,5π/4のとき lim[(x,y)→(0,0)] (x^3+y^3)/(x-y) =lim[r→0] r^3(cos^3θ+sin^3θ)/r(cosθ-sinθ) =0 (?A)θ=π/4,5π/4のとき f(x,y)=0
一方,y=x-kx^3とおく. f(x,y)に代入して整理すると f(x,y)=(2-3kx+3k^2x^4-k^3x^6)/k x→0のときy→0より lim[(x,y)→(0,0)]f(x,y)=2/k これはkに依存するので極限値は存在しない.
いつもは極限値を求めるときは極座標変換して極座値をもとめていたのですが,この問題は実は極座値は存在しないそうなのです. いつもは極座標変換でできたのに今回はなぜ,このような解き方をするのでしょうか? また,極座標を使っても求まらない時はどのような時かがわかりません.
僕の考えでは今までこのような問題ではf(x,y)の定義式は一つだけでした.(f(x,y)=0 (x=yのとき) のような部分はいつもの問題では見ませんでした.)
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No.39464 - 2016/10/09(Sun) 01:03:07
| ☆ Re: 多変数関数の極限(極座標を用いてもダメな場合) / noname | | | >いつもは極座標変換でできたのに今回はなぜ,このような解き方をするのでしょうか?
原点への近づき方がどんなものであろうと極限値が一意であるならば,極限の計算では厳密には極座標変換を行い,
0≦|f(rcosθ,rsinθ)-α|≦g(r) (αは極限値の候補,g(r)はlim_[r→0]g(r)=0を満たす関数)
においてはさみうちの原理を用いる必要があります.一方で,原点への近づき方に対して極限値の候補が変わるならば収束先が存在しないことになります(収束するならば,収束値は一意でなければならないから).よって,この場合では「収束先の候補が点の近づき方に依存すること」を示す必要があり,その様に議論すればよいです.
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No.39465 - 2016/10/09(Sun) 02:34:12 |
| ☆ Re: 多変数関数の極限(極座標を用いてもダメな場合) / noname | | | また,極限を持つ場合をどう判別するかについてですが,これについては直感や試行錯誤の結果の判別に頼るしかないです.今回の場合は分母の式が3次式なので,例えばxとyの差がax^n(nは自然数,aは0でない定数)に等しい場合を考えるとどうなるかを調べてみます.この時,
x^3+y^3 =x^3+(x-ax^n)^3 =x^3+x^3(1-ax^{n-1})^3 =x^3{1+(1-ax^{n-1})^3}
よって,n<3やn>3では上手くいかなさそうなので,n=3とするとどうなるかを調べてみると,
(x^3+y^3)/(x-y)=(1+(1-ax^{n-1})^3)/a
となり,x→0とすると(x^3+y^3)/(x-y)→2/aとなって収束先が原点への近づき方に依存する形になり,問題をうまく考えることが出来たということになります.まあ,要するに試行錯誤が大事だということです.
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No.39466 - 2016/10/09(Sun) 02:48:42 |
| ☆ Re: 多変数関数の極限(極座標を用いてもダメな場合) / らぐ | | | 丁寧なご回答をありがとうございます. 納得することができました. 練習問題をたくさんやってできるようになります.
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No.39484 - 2016/10/09(Sun) 16:26:50 |
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