無限次元Hilbert空間Hにおいて、Hの可算個の要素φ_1,φ_2,...が存在して、すべてのu∈Hが u=Σ_(k=1〜∞) c_kφ_k , c_k∈C(複素数全体の集合) のように表されるとしてみよう。 すると{φ_k}の線形結合Σ_(k=1〜r) α_kφ_k ,α_k∈Cの全体(= L({φ_k})はHで稠密である。 と書いてあり、このことの確認をしてみようと思ったのですがうまくいきません。
位相空間の稠密の定義に従って、各元u∈Hに対してその任意の近傍が少なくとも一つのv∈L({φ_k})が含むことを示そうとしました。 そこで、uのε近傍はN_ε(u):={x∈H | d(u,x)<ε}だから まずd(u,v) (v∈L({φ_k})を計算しました。 d(u,v) := || u - v || =(<u-v,u-v>)^(1/2) =<Σ_(j=1〜∞) c_jφ_j - Σ_(j=1〜r) α_jφ_j , Σ_(k=1〜∞) c_kφ_k - Σ_(k=1〜r) α_kφ_k>^1/2 =(Σ_(j=1〜r) |c_j-α_j|^2 + Σ_(j=r+1〜∞) |c_j|^2)^1/2 となると思います。 そこで、任意のu∈Hに対して c_j=α_j(j=1,...,r)となるα_jをとれば d(u,v)=(Σ_(j=r+1〜∞) |c_j|^2)^1/2 となります。 しかしこれでは、任意のε>0に対して、∃v∈L({φ_k}) s.t. v∈N_ε(u)となることは言えないです。 実際u∈Hは任意だからc_jも任意でありどんなε>0に対しても (Σ_(j=r+1〜∞) |c_j|^2)^1/2 < ε となるとは限らない。 アドバイスお願いします。
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No.27609 - 2014/07/04(Fri) 19:36:40
| ☆ Re: 可分なHilbert空間 / ハオ | | | 書き忘れましたが、φ_1,φ_2,...は正規直交性をもっているものとします。
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No.27611 - 2014/07/04(Fri) 19:56:20 |
| ☆ Re: 可分なHilbert空間 / ast | | | 話が迷走していますね. ハオさんのやり方だと, v をとって d(u,v) の計算をしてみてから, 計算しやすいように v を u の部分和にしているため, 最初に v を取った時点での r を最後まで固定したまま話をしてしまっていませんか.
各 u にうまく v を決めて, という話なのでもちろん r の値をどうするのかということもうまくとることの中に含まれます.
任意の u ∈ H を u = Σ_[j=1,...] c_j*φ_j と書けば, その部分和 u_r = Σ_[j=1,...,r] c_j*φ_j の列によっていくらでも近似できるというのがここでの稠密性の議論です. r はちゃんと動かして, ε に対して残りの部分 (Σ_(j=r+1〜∞) |c_j|^2)^1/2 が小さくなるように r は十分大きくとるという議論の運びをしなければいけません.
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No.27616 - 2014/07/05(Sat) 00:04:06 |
| ☆ Re: 可分なHilbert空間 / ハオ | | | astさんありがとうございます。 確かに僕が書いたことは天下り的な内容で証明の体をなしていないと気づきました。 そして、rの値を固定してしまっているのも問題だとわかりました。 ですから、astさんの議論の運びを参考にして
任意のu(=Σ_[j=1,...] c_j*φ_j) ∈H と任意のε>0に対して、 (Σ_(j=r+1〜∞) |c_j|^2)^1/2 <ε を満たすように初めにrを決めて、 v=Σ_(j=1〜r) α_j*φ_j (ただし、 α_j=c_j(j=1,...,r)とする)と取れば d(u,v) := || u - v || =(<u-v,u-v>)^(1/2) =(Σ_(j=1〜r) |c_j-α_j|^2 + Σ_(j=r+1〜∞) |c_j|^2)^1/2 =(Σ_(j=r+1〜∞) |c_j|^2)^1/2 <ε となる。 従ってu∈Hの任意の近傍はv∈L({φ_k})を含む。 というような証明の流れを考えました。
しかし、ここで疑問なのは上のような有限の値rが存在する保証があるのかということです。 有限の値rが存在するためには、 Σ_(j=r+1〜∞) |c_j|^2 が収束する必要があると思うのですが任意のu∈Hに対して、Σ_(j=r+1〜∞) |c_j|^2が収束するとは限りませんよね? その場合、有限の値rは取れない気がします。 (例えば、|c_j|=10(j=r+1,r+2,...)の場合を考えると、どんなrを取ったとしても (Σ_(j=r+1〜∞) |c_j|^2)^1/2 > 10 となってしまいますよね?)
何か勘違いしてる気がするのですが、どこをどう勘違いしているのか中々気付けません。数学の本を読んでいても結構な頻度で勘違いをしてしまいます。 アドバイスお願いします。
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No.27617 - 2014/07/05(Sat) 02:31:07 |
| ☆ Re: 可分なHilbert空間 / ast | | | > というような証明の流れを考えました。 悪い議論運びが全く直っていないと思います. そもそも「初めに v や r をとる」という発想はやめたほうがいいです. 既に述べているように, 部分和は u 自身に収束するので十分大きな r まで展開したものを v とすればよい, つまり「こういうふうにやれば < ε となるように r が取れる」という趣旨の文が結びに来なければいけません.
> 従ってu∈Hの任意の近傍はv∈L({φ_k})を含む。 もちろん, これで任意の近傍に入ると結論できるのは, ε-近傍が基本近傍系を成すからなので, 一言くらい断るべきだと思います.
> 疑問なのは上のような有限の値rが存在する保証があるのかということ H において任意の u が可算線型結合に書けるという主張には, もちろん, 部分和の列の (その内積の導く距離空間の位相に関する) 収束性の議論も含まれます (つまり, 形式的無限級数の空間を考えているのでは全くない). すなわち, u に対して上でわたしが取った部分和の列 {u_r} は必ずコーシー列になります. それが保証です.
# 解析学は苦手なので, これ以上分かり易く説明するのは私にはたぶん無理です. # 分かりにくい場合は, 解析学の初歩を扱ったテキストを参照してください.
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No.27626 - 2014/07/05(Sat) 20:14:23 |
| ☆ Re: 可分なHilbert空間 / ハオ | | | ありがとうございます。 >つまり, 形式的無限級数の空間を考えているのでは全くない この一文ですべて納得できました。
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No.27634 - 2014/07/06(Sun) 19:56:19 |
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