n個の実数a[1]、a[2]、・・・、a[n]が0<a[i]≦1(i=1,2,3,・・・,n)をみたす。このとき任意の2以上の整数nに対し、不等式 (A)a[1]+a[2]+a[3]+・・・a[n]≦a[1]・a[2]・a[3]・・・a[n]+(n-1)が成り立つことを数学的帰納法で示し、等号が成立する場合を明記せよ。 <解> 数学的帰納法で示す。 (i)n=2のとき 0<a[1]≦1、0<a[2]≦1より a[2]≦a[1]・a[2]+1 a[1]・a[2]-a[2]+1 =a[2](a[1]-1)+1≧0 なのでn=2のとき(A)は成り立つ。 (ii)n=kのときa[1]+・・・+a[k]≦a[1]・a[2]・・・・a[k]+(k-1)・・・?@が成り立つと仮定し、 【a[1]+・・・+a[k]+a[k+1]≦a[1]・a[2]・・・・a[k+1]+k】・・・?Aの結果が得られることを示す。 ?@の両辺にa[k+1]を足すと a[1]+・・・+a[k]+a[k+1]≦a[1]・a[2]・・・・a[k]+(k-1)+a[k+1]・・・?B ?Aの右辺と?Bの右辺の大小を比較すると ?Aの右辺≧?Bの右辺となるので(計算略) ?Aが成り立つ。 よってn=k+1のときも(A)は成り立つ。 したがって〜〜示された。
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No.22941 - 2013/10/29(Tue) 15:21:00
| ☆ Re: 数学的帰納法 / 加瀬 | | | ?A等号成立について
0<a[i]≦1(i=1.2.3.・・・.n)より、 (1-a[1]a[2]a[3]・・・a[n-1])(1-a[n])≧0(n=2,3,4・・) よって ≪≪a[1]a[2]a[3]・・・a[n]+1≧a[1]a[2]a[3]・・・a[n-1]+a[n](等号成立はa[1]=a[2]=・・・=a[n-1]=1またはa[n]=1のとき) ・・・ a[1]a[2]+1≧a[1]+a[2](等号成立はa[1]=1またはa[2]=1のとき)≫≫ 以上を辺々加えて整理すると、 a[1]a[2]a[3]・・・a[n]+n-1≧a[1]+a[2]+・・・+a[n] 問題の等号成立の条件は ≪≪ ≫≫部分のすべての不等式において等号が成立する。 いま、あるkに対してa[k]≠1とすると a[1]=a[2]=・・・=a[k-1]=1かつa[k+1]=・・・=a[n]=1 すなわち、他の(n-1)個はすべて1に等しくなる。 したがって等号性が成立する条件は a[1],a[2],・・・,a[n]のうち少なくともn-1個が1に等しい。
とあるのですが、数学的帰納法の証明は自分でできたのですが、等号が成立する場合を明記するところが解説をみても意味がわかりませんでした。 なぜ≪≪ ≫≫部分の不等式を列挙するのか、0<a[i]≦1より、 (1-a[1]a[2]a[3]・・・a[n-1])(1-a[n])≧0(n=2,3,4・・) というのがどうしてぱっとでてくるのか? 後半のn-1個のくだりも意味がわかりませんでした。 理解力がないのでだれかわかる方教えてください。よろしくお願いします。
※同じ質問を間違えて二つ立ててしまいました。本当にごめんなさい。
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No.22943 - 2013/10/29(Tue) 15:25:09 |
| ☆ Re: 数学的帰納法 / angel | | | 結局のところこの問題のポイントは、 0<A,B≦1 に対し 0≦(1-A)(1-B) であるため A+B≦AB+1 です。 ここから、
a[1]+a[2]≦a[1]a[2]+(2-1) ※A=a[1],B=a[2]に相当 a[1]a[2]+a[3]≦a[1]a[2]a[3]+1 ※A=a[1]a[2],B=a[3]に相当 → a[1]+a[2]+a[3]≦a[1]a[2]a[3]+(3-1) ※上2つの式を辺々足す a[1]a[2]a[3]+a[4]≦a[1]a[2]a[3]a[4]+1 ※A=a[1]a[2]a[3],B=a[4]に相当 → a[1]+a[2]+a[3]+a[4]≦a[1]a[2]a[3]a[4]+(4-1) ※上2つの式を辺々足す … → a[1]+a[2]+…+a[n-1]≦a[1]a[2]…a[n-1]+((n-1)-1) a[1]a[2]…a[n-1]+a[n]≦a[1]a[2]…a[n]+1 ※A=a[1]a[2]…a[n-1],B=a[n]に相当 → a[1]+a[2]+…+a[n]≦a[1]a[2]…a[n]+(n-1) ※上2つの式を辺々足す
という内容を帰納法にしているのが今回の証明です。 これって、→ で始まる行を除いた a[1]+a[2]≦a[1]a[2]+(2-1) a[1]a[2]+a[3]≦a[1]a[2]a[3]+1 a[1]a[2]a[3]+a[4]≦a[1]a[2]a[3]a[4]+1 … a[1]a[2]…a[n-1]+a[n]≦a[1]a[2]…a[n]+1 を全て足し合わせているのと同じことなのですね。 なので、等号成立条件は、これらの不等式全てで等号が成立すること。 これが、 > なぜ≪≪ ≫≫部分の不等式を列挙するのか に対する答えです。
> (1-a[1]a[2]a[3]・・・a[n-1])(1-a[n])≧0(n=2,3,4・・) というのがどうしてぱっとでてくるのか? 元の A+B≦AB+1 の根拠である 0≦(1-A)(1-B) と、上にある「不等式全てを辺々足したもの」を意識しているからです。
ただ、正直なところを言えば、等号成立条件についても帰納法で書く方が分かり易いです。つまり、 a[1]+a[2]+…+a[n]=a[1]a[2]…a[n]+(n-1) が成立する条件は、 a[1]〜a[n]の内、少なくともn-1個が1に等しいことである の、帰納法による証明を書くと言うことです。 今度は、0≦(1-A)(1-B)⇔A+B≦AB+1 ではなく、0=(1-A)(1-B)⇔A+B=AB+1 から A=1orB=1 が基本になります。
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No.22957 - 2013/10/30(Wed) 00:43:54 |
| ☆ Re: 数学的帰納法 / 加瀬 | | | すみません。最後に補足なのですが 0<A,B≦1はどこからきたのでしょうか? お願いします。
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No.23011 - 2013/11/01(Fri) 21:40:17 |
| ☆ Re: 数学的帰納法 / 加瀬 | | | すみません。先ほどの質問は解決しました。 きになるのは最初に帰納法によって題意は示されましたが、 この証明の結果からどうして辺々を加えたものが帰納法によって示される結果になるのかということです。 0<A,B≦1 に対し 0≦(1-A)(1-B) であるため A+B≦AB+1がポイントとのことですがどうしたらこれを利用することに気付けるのかわかりません。よろしくお願いします。
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No.23012 - 2013/11/01(Fri) 23:10:30 |
| ☆ Re: 数学的帰納法 / angel | | | > この証明の結果からどうして辺々を加えたものが帰納法によって示される結果になるのかということです。
それが帰納法の特徴です。帰納法は、 (1) n=1 の時を調べる (2) n=1 の時の結果に、n=1,2 の違いを加味して n=2 の時の結果を導く (3) n=2 の時の結果に、n=2,3 の違いを加味して n=3 の時の結果を導く … (k+1) n=k の時の結果に、n=k,k+1 の違いを加味して n=k+1 の時の結果を導く … ということで、全ての自然数nに対する説明を行うものです。 ※(2)以降のステップは、kという文字でまとめて行うため、実際は2ステップ分だけで済む
であれば、各ステップでの「違い」を全て蓄積させるという考えもできるです。 例えば、 n=1の時の結果に n=1,2の違い、n=2,3の違い、n=3,4の違いを加味する → n=4 の時の結果が導かれる といった具合にです。 今回であれば、「不等式の辺々を全て足す」というのが相当します。
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No.23020 - 2013/11/02(Sat) 15:32:19 |
| ☆ Re: 数学的帰納法 / angel | | | > 0<A,B≦1 に対し 0≦(1-A)(1-B) であるため A+B≦AB+1がポイントとのことですが > どうしたらこれを利用することに気付けるのかわかりません。
帰納法の時には、nの値を増やした時の差分 ( 上で「違い」と言っているもの ) を見つけるのが重要です。 例えば、今回の問題での n=3,4 の違いを探す場合、 n=3 … a[1]+a[2]+a[3] ≦a[1]a[2]a[3] +(3-1) n=4 … a[1]+a[2]+a[3]+a[4]≦a[1]a[2]a[3]a[4]+(4-1) 見比べると、 ・左辺に +a[4] が追加されている ・右辺の a[1]a[2]a[3] に ×a[4] が追加されている ・右辺の定数項が +1 されている ということで、a[1]a[2]a[3]=A, a[4]=B と置きかえると A+B≦AB+1 が成立してくれると都合が良さそう ( 証明に十分 ) となります。この構造は n=4 の時に関わらず常に同様であることも、幾つかnの値を試してみると気付くと思います。 ※加えて、n=1 の時の不等式がそのまま A+B≦AB+1 の形をしているというのもある
しかも A+B≦AB+1 はちゃんと証明ができます。( もちろん A,B の値の範囲が限定されていることが前提ですが ) なので、やっぱり A+B≦AB+1 がキーだな、ということになります。
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No.23021 - 2013/11/02(Sat) 15:52:08 |
| ☆ Re: 数学的帰納法 / 加瀬 | | | angelさんすごくわかりやすい回答ありがとうございます。 「各ステップでの「違い」を全て蓄積させるという考え」というのは初めて知りました。 たとえば、 「n が正の整数のとき、1+2+3+···+n=n(n+1)/2 …成り立つことを証明せよ。」という問題があったとき、 n=1のとき左辺=1 右辺=1より成り立つ。 n=2のときも同様に両辺が3となり成り立つ。 n=3のときも同様に両辺が6となり成り立つ。 では、n=4のときの結果を導くためには? ここで先ほど教えていただいた、「違い」の蓄積という考えで、n=1のときの結果にn=1,2の違い(左辺同士の差が2) n=2,3の違い(左辺同士の差が3)、n=3,4の違い(左辺同士の差が4)より n=4のときの結果(両辺が10)が導かれる。 こういうことなんでしょうか? 何度も質問申し訳ありません。
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No.23038 - 2013/11/05(Tue) 01:43:36 |
| ☆ Re: 数学的帰納法 / angel | | | > 「各ステップでの「違い」を全て蓄積させるという考え」というのは初めて知りました。
私のような言い回しは初めて見るかもしれませんが、同じようなモノには、触れたことがあるはずですよ。 S[1]=a[1] S[n]=S[n-1]+a[n] ( n≧2の場合 ) このS[n]は数列a[n]の和を表すものです。ここで出るnは、2以上の自然数を代表しているに過ぎませんから、 S[1]=a[1] S[2]=S[1]+a[2] S[3]=S[2]+a[3] … S[k+1]=S[k]+a[k+1] … をまとめたものになっていて、これはそのまま帰納法と同じ表現になっています。 ( なので、これをS[n]の帰納的定義と言ったりします )
一方で、数列の和というのは、 S[n]=a[1]+a[2]+…+a[n] ですが、n≧2の場合に見方を変えれば、S[1]=a[1]にそれぞれの差分a[2],a[3], …, a[n]を蓄積したもの、とも言えます。
こういったことを解答の中で直接的に説明することはないですが、自分の中でイメージを持っておけば、もっと楽に取り組めるものと思います。
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No.23039 - 2013/11/05(Tue) 08:07:55 |
| ☆ Re: 数学的帰納法 / 加瀬 | | | angelさん!! 何度も回答して頂いて本当にありがとうございました! とてもわかりやすく、また一つ理解を深めることができました。ほんとうにありがとうございました!
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No.23042 - 2013/11/05(Tue) 19:18:11 |
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