定理1.5.7の帰納法の証明の骨子がつかめません 証明4行目の「仮定法の仮定を適用する」というところで 「仮定法の仮定」とは何のことで、「適用する」とは何をしているのかがわかりません。 宜しくお願い致します。
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No.11925 - 2010/10/15(Fri) 18:35:50
| ☆ Re: 基底の延長定理?の証明 / ast | | | お書きの内容だけからでは何に引っかかっているのかちょっとよくわからないですが, 高校で数学的帰納法は履修済みと思うのでそのつもりで書きます.
定理の内容を, (はじめに与えられる生成系に属するベクトルの個数) n を一つ止めるごとに定まる命題 P(n) の集まりとみなして, 全ての自然数 n に対して P(n) が真であることを主張するものと読み替えるというのが, 「n に関する (数学的) 帰納法で示す」という文言が暗黙に含む内容であるととりあえず理解してください. つまり, 本問では P(n) は「ベクトル空間 V に n 個のベクトルからなる生成系 {x_1, ..., x_n} で(省略)は V の基底である」ということを指します. # もとの問題文との差異がわからんという場合は, 高校でやるように杓子定規に「n=k のとき〜」などと書いて P(k) などを考えればいいと思いますが, 悪戯に文字を増やすだけにしかならないので普通はしません. # また, 実際には m も 0 ≤ m ≤ n の範囲で任意の値をとりうる定数ですが, (自明な場合を例外として先に処理してしまえば) 議論が m に依存しない形で (たまたま) 展開できるので, 目立ったところには出てきていませんし, 以下でも特には言及しません.
周知のように, 帰納法の肝は "「P(n-1) が真と仮定する」ならば必ず P(n) もまた真" を示すところにあり, 「P(n-1) が真と仮定する」がいわゆる「帰納法の仮定」です. # 仮定法ではありません, 仮定法は英語だかフランス語だかの文法です :-)
そして,「帰納法の仮定を適用する」とは文字通り, P(n-1) が真であることから導き出される事実を確認することです. P(n-1) が真であるとはどういうことかを適用する対象に即して書き出すことだといっても良いでしょう. 本問では, n-1 個のベクトルからなる生成系が取れるような (任意の) 部分空間では定理の主張するような方法 (既知の一次独立系に一次従属となる「余分なベクトル」を省きながら, 番号の若い順に一次独立なベクトルを付け加えていく方法) で基底が本当にとれるということです.
しかし, もしかすると rio さんがわからないと仰るのは帰納法自体ではなく, 仮定を適用するために行う場合わけの指針が立たないということではないかと邪推しています.
まず, 本問よりも前にどうやら既に一次独立系にベクトルをうまく増やせば基底に延長できるという「不足系から増やす」方向の定理が登場しているようですが, 本問はこれとはむしろ逆に「過剰系から減らす」方向で基底が取れるということを述べており, 実際そのあとの「系」ではそれらをまとめた形に述べてあります.
これを踏まえて, あるベクトルが余分なベクトルなのか必要なベクトルなのかを考えます (これが証明の骨子だと私は思います). そして, そのようなことを検討するベクトルとしては, i_j たちの選び方から x_n に注目するのが妥当であり, 模範解答では先に x_n が余分だった場合と, 後で x_n が必要となる場合を述べて, いずれの場合も P(n-1) として処理できる形に帰着できることを用いています.
# 明らかなことではありますが, ここで (特に後者の場合に), {x_1, ..., x_n} と {x_1, ..., x_[n-1]} から選び出される i_1, ..., i_[r-1] は必ず一致する (i_r は除く) ことにも一応注意しておいたほうが良いでしょう (解答では {i_1, ..., i_r} は既に選び出された後で場合わけが始まりますが, このことは i_r = n のときに W の基底がそれらの i_j たちを使って得られることの理由になります).
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No.11969 - 2010/10/18(Mon) 03:47:45 |
| ☆ Re: 基底の延長定理?の証明 / rio | | | ありがとうございます。少し考えさせて頂きたいと思います。
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No.12024 - 2010/10/23(Sat) 11:21:46 |
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