写真の命題1.3の証明についてですが、赤線部に書いてあることがわからないです。 なぜ命題1.2にδ0=min{c-a,b-c}を代入すると命題1.3が示せるのでしょうか?赤線部に「なぜならば…」 と理由も書いてありますがその部分もわからないです 解説おねがいします。
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No.88180 - 2024/06/11(Tue) 10:20:32
| ☆ Re: イプシロンデルタの性質の証明について / ast | | | # まず以って # > 命題1.2にδ0=min{c-a,b-c}を代入すると命題1.3が示せる # という表現が, だいぶ認識がオカシイのではと疑うに十分なマズさを感じさせるが…… # (例えばこの場面でこれを「代入」ってまず言わないとは思うが, すくなくともニュアンスがズレてるのは確か) 命題 1.3 の「証明」は形式上証明と書いてはあるが, 単に「命題 1.2 を I=(a,b), δ_0=min{c-a,b-c} の場合に限って述べたもの」が 1.3 そのものだと言っているだけです (その意味ではそこの「適用」とは, 「用いて示す」ことではなく「そのままなぞって書けばそうなる」ということ). ただし > なぜならば〜 の部分は「I および δ_0 を特定の集合および値に決めうちすることで 1.2 の各所で (たとえば x の満たすべきいくつかの制約条件のなかで) 自明な条件になる部分が生じるので, そこは記述をきちんと整理して平易な形にしてある」ということを意味しています.
そもそも命題 1.2 (およびその証明) はその命題の前に (それ以前のページから続けて) 書かれていることを厳密な形でまとめたものであり, その証明が何をしているかと言えば「内容も意図も命題の前に書かれていることと一貫して一致するものだ」ということです. もしそのように認識ができていないのであれば, そこを「(数学的な意味で)読んだ」とは到底言えない, というところからのように思います.
そのうえで, 1.2 が δ_0>0 に込めている意図が「I に部分集合として含まれるいくつかの区間のうち, c を含む区間 I_0 だけがクリティカルな情報であって, I_0 (とその近くにある区間) 以外の区間はいくら I の中に存在していようが論理的に無視してよい, さらに (もし c が I_0 の端点でない(※)なら) I_0 の部分集合で c を含むようなさらに小さい開区間 I_{00}:=(c-δ_0,c+δ_0) だけ考えてもよい」という内容であることを読み取れなければなりません (標語的に言うならば「極限や連続性は局所的性質である」ということ). すると I_0=(a,b) (あるいは a<c<b である限り [a,b] や (a,b], [a,b) などでもいいが) のときが命題 1.3 である (命題 1.2 が命題 1.3 の内容を含むものになっている) という話ができる. # "δ_0:=min{b-c,c-a}" は "I_{00}:=(c-δ_0,c+δ_0)" が "I_0 の部分集合で c を含むような開区間" # になるようなもの (そうなるのであればなんでもよいが) のなかで十分 (おそらく「最も」と言って # 差し支えない) 平易なものを持ってきたにすぎない. ## 相変わらず (以前確か黄桃さんあたりが明確に指摘していたはずですが)「○○であるならばなんでもよい」 ## (無数にあるが一つ挙げればよいし逆にその値に拘る必要もない) 部分が意識できているか怪しいのかな.
---- ※ 1.2 では I_0 は閉区間 [c,b] や半開区間 (a,c] とかかもしれないので, その場合は 開区間 (c-δ_0,c+δ_0) を考えるわけにはいかないが, それでも I_{00}:=(c,c+δ_0) なり (c-δ_0,c) なりを相手に 1.3 と似たようなことはできる.
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No.88181 - 2024/06/11(Tue) 15:17:29 |
| ☆ Re: イプシロンデルタの性質の証明について / 黄桃 | | | いつものように、教えてgooにもマルチ投稿しているようなので、質問の答ではなく、テキストを読んだ私の感想を記します。
astさんのおっしゃる通りですが、それは分かっている人の意見のように思います。 私には、命題1.2 の書き方が不親切、というか、不正確、というか、不適切なのが非常に気になります。
#論理式を使って厳密に書け、とまではいわないけれど、初学者を対象に #ε-δをやるからには、曖昧さがないように(全称と存在やその依存関係は特に) #きちんと書くべきでしょう。
(i)はf,c,A,Iに関する条件だが、 (ii)はf,c,A,I以外にε0,δ0,Cが出てきているから、f,c,A,I,ε0,δ0,Cに関する条件。 (ii)には(i)には出てこない変数ε0,δ0,Cがあるにもかかわらず、(i)と(ii)が同値とはどういうことか。 少なくともε0,δ0,Cを束縛しないと「命題」にはならない。 「定数」とは何でもいいのか、たまたま条件を満たすものがあったとする仮定なのか、この文章だけでは伝わらない。
(ii)の解釈として、とりあえず (ii)-a すべてのε0,δ0>0 に対して,次を満たす C>0が存在する: すべてのε(0<ε≦ε0)について、適当なδ(0<δ<δ0)があって、 すべてのxについて, x∈I-{c}かつ|x-c|<δ ならば |f(x)-A|<C*ε を満たす (ii)-b 適当なε0,δ0, C>0が存在して次を満たす: すべてのε(0<ε≦ε0)について、適当なδ(0<δ<δ0)があって、 すべてのxについて, x∈I-{c}かつ|x-c|<δ ならば |f(x)-A|<C*ε を満たす (ii)-c すべてのε0,δ0, C>0に対して次が成立する:すべてのε(0<ε≦ε0)について、適当なδ(0<δ<δ0)があって、 すべてのxについて, x∈I-{c}かつ|x-c|<δ ならば |f(x)-A|<C*ε を満たす の3つを考えます(他にも考えられるが、状況と証明を読むとこの3つくらいが妥当に思える)。
命題1.2の(i)⇒(ii)の証明を読むと(ii)-aらしく、もしかしたら、(ii)-bかもしれないが、(ii)-cはありえないと思われる。 (ii)⇒(i)の証明では、(ii)-bっぽく思えるが、(ii)-aでも、(ii)-cでも証明自体は通用する。
同値と書いている以上、(ii)-c ではなく、(ii)-a か(ii)-bらしいと推測できる。 より一般性のある (ii)-a で証明が通用するので(ii)-aという解釈に気づいた人はこちらを支持するであろう。
誤って(ii)-bと解釈したとしても、命題1.3でδ0に好きな値を代入している記述をみて、(ii)-bでは破綻するとわかる。 そこで、(ii)-aの解釈に気づけば、(ii)-bという解釈は誤りであり、(ii)-aだったのだろう、と推測することになる。 しかし、(ii)-aの解釈に気づかないと、一体どうなってるの?と疑問に思うことは自然ともいえる。
なお、命題自体は(ii)-c で成立するので(しかし、証明はそうなってない)、著者自身も曖昧なままなのかもしれない。
私だったら、 (i) (ii)-c (ii)-a は同値、として、(i)⇒(ii)-c の証明を (ii)⇒(i)にならって書き直すような気がする。
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No.88185 - 2024/06/11(Tue) 23:45:12 |
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